金谷ゆうき

映像クリエイター

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千葉県
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  • 恋愛論

    今日、4時限目の授業を途中で抜け出した。
    その時間は映画鑑賞批評という授業で、長くて古くてつまらない映画を観させられるんだ。
    今回はチャールズ・チャップリンの『街の灯』という映画だった。
    無声でモノクロ映画。
    不眠症の人にはもってこいの映画だよ。
    その授業の先生は、少し頭がいかれてるんだ。
    だってチャップリンといったら『街の灯』じゃなくて『モダンタイムス』だろ!?
    何を考えて『街の灯』を選択したんだよ。
    どんだけバカでキチガイなんだよ。
    っていうか、そもそも俺はチャップリンに興味なんか無いんだ。
    バスター・キートンもハロルド・ロイドにも興味は無いんだ。
    ようは三大喜劇王なんてどうでもいいんだ。

    今の俺には映画なんてどうでもいいんだ。
    腐れって感じだね。
    少し前まで映画を作ったりもしていたけど、今の俺にはなにもかもがどうでもいいんだ。
    映画を作るなんてばかばかしい・・・
    そんな暇はないんだ。
    今の俺には考えなければならないことがたくさんあるんだよ。

    教室は映画を観る環境設備にしたため、とても暗かった。
    なぜかわからないが、最近暗闇にいることに耐えられないんだ。
    寝るときも自分の部屋を暗くすることができないんだ。
    そして1人でいるのがとても恐いんだ。
    急に孤独感に襲われるんだよ。

    最近、寝るときは明かりをつけたリビングで寝るようにしている。
    リビングは構造的に家の中央にあるため、家族の誰の部屋とでも近いんだ。
    だから、自分の部屋に閉じこもるよりかは孤独感に襲われなくてすむんだよ。

    孤独感にすべてを包まれてしまったなら、自分自身どうなってしまうかわからない。
    とても恐いんだ。
    もうすべてにおいて不安なんだよ。

    なにもかもわけがわからなくなって、僕はその授業を途中で抜け出してしまった。

    僕は誰よりも高い場所で外の空気を吸いたくなった。
    だから三分の一しか開かない窓を抜けて棟の屋上へ行こうとしたんだ。
    屋上に行く途中、腐った掃除のババァがずっとこっちを見てた。
    俺は睨んでやった。
    そしたらババァはどこかへ消え去った。
    だけど、俺は今のババァとのやりとりで気分を害した。
    だから屋上へ行くのはやめた。

    外に出て、どこでもいいからベンチに座り、考えなければならないことを考えようとした。

    キャンパス内にたくさん並ぶベンチの一つに向かって僕は歩いていた。
    すると違うベンチに座っていた女2人に声をかけられた。
    僕の友達だった。

    僕は彼女たちのベンチへ行き、話すことになった。

    やはり彼女たちも社会に汚染されていた。
    世の女性と会話をすると、すべて最終的には恋愛の話に行き着いてしまう。
    彼女たちともそうであった。
    もうそんな話はうんざりだった。
    だから僕は必死になって話題を変えようとした。
    「週いくつで授業をとってるの?」とか、どうでもいい質問をしたり、無理矢理音楽の話題に持っていったりね。
    ほんと僕はくだらない質問をしまくって必死に話題を変えようとしたんだ。
    だけど彼女たちにはムリだったよ。
    世の女性にはムリなんだよ。

    女という生き物は恋愛がしたいんだ。
    恋愛するために生まれてきたようなもんなんだよ。
    先の事など全く考えずに。

    今、人と付き合ってどうなるんだよ!?
    ただその時だけの快楽を求めてるだけなんだろ!?

    そこらへんの男だって、ただのSEX欲と独占欲のためだけに女と付き合ってんだろ。
    一緒にいて楽しむだけだったら、付き合わなくてもできることだろ。
    どんだけ惨めなんだよ。
    どんだけキチガイだよ。
    そして、どんだけ世は腐ってるんだよ。
    それじゃあ脳があるのに無脳な動物と一緒だろ。
    俺は仕方が無いから、そうやって自分の恋愛論を語ったよ。

    独占欲は持ちたくないってことも語ったよ。
    独占欲っていうのは・・・ようは自分のモノにしたいってことだろ。
    なんなんだよ、それ。
    間違ってないか?
    自分と同じ生き物である『人』を自分だけのモノにするという考え、何かおかしくないか?
    根本的な所から俺には考えられないんだよ。

    ほんと、今まで誰にも話したことがない恋愛論を必死になって語ったよ。
    俺の恋愛思想が原因で前の彼女とも別れたっていう話もしたよ。
    少しでも共感してくれる人を見つけるためにもね。

    僕の必死さが伝わったのか、2人のうちの1人が僕の考えに共感してくれた。
    だけど、ほんとうは共感なんかしてくれなくてもよかったんだ。
    ただ俺は今すぐこの話題から抜け出したかったんだよ。

    女の群に入ると、必ずと言っても良いほど恋愛の話になる。

    だけど僕の大学の友達に、一緒にいても全く恋愛の話にならない女性が2人いる。

    この前、3人で遠くの方へ出掛けた。
    静岡だか山梨だかよくわからないけど、とにかく遠くの方へ出掛けた。
    その時も全く恋愛の話は持ち上がらなかった。

    僕はとても嬉しかった。そしてありがたかった。

    そして僕は心から深く誓った。
    一生この友達を大切にしよう、と。

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