1万8000人の登録クリエイターからお気に入りの作家を検索することができます。
2007/05/09
3限に映画特講1の授業があった。
教室はものすごく人で溢れていた。
僕は空いている席を探していると、奇遇にもそこで演劇学科の子と久しぶりに再会した。
その人とは高校の時からお互いなんとなくではあったが知っているような仲だった。
教室の後ろにちょうど席が二つ空いていたので僕らはそこへ座った。
授業が始まっても僕らは久しぶりの再会に感極まって長く話していると、先生に静かにするよう注意された。
僕はしばらく静かにする事にした。
僕は眠ってやろうともしたが、それすらもやる気を喪失させるほど、つまらないうえにくだらない授業であった。
僕はこの授業に出席するのは初めてであり、ロダンの地獄の門を想像させるような最悪の授業を受講登録してしまった事にとても後悔した。
「なんでこんな授業をとっちゃったんだろうね」
と僕らは互いに自問していた。
「最近、すごく忙しくて飲みに誘いたいんだけど誘えないんだよ」と彼女は言った。
「じゃあ今から飲みに行かない?」
僕は言った。
「えっ、今から?」
「うん、今から」
彼女は僕の唐突な発言に少し驚いていた。
そして彼女は言った。
「いいよ」
僕らは立ち上がり授業をまともに聞いている真面目な人たちを後にし、教室から抜け出した。
書を捨て、町へでた。
午後1時など当然飲み屋はやっておらず、僕らは喫茶店に入った。
そこで僕らはウィスキーを注文した。
それと、その店ならではというビッグパフェというものを1つ注文した。
その名のとおり、それはものすごく大きなパフェだった。
はじめは2つ注文したのだが、店員にすごく大きいけど大丈夫かと言われ1つだけ注文する事にしたのだ。
僕らはそこでいろいろな話をした。
高校時代の話、それと恋愛、音楽、ルパン三世やドラえもん、そしてこれから互いに進むべき場所について。
彼女は大学を卒業したら演劇とは断つと言った。
僕はそれを聞いてものすごく悲しかった。
「じゃあなんで大学で演劇を学んでいるの?」と僕は聞いた。
「高校で演劇部だったし、入るときは少し興味があったから」
「将来の夢は?」
「アパレル関係に就きたいと思ってる。 服飾とか好きだし」
と彼女は言った。
そして「どう思う? 退いた?」と彼女は付け足した。
「いや、すごく良いと思う」と僕は言った。
僕らは店を出た。
そして別れた。
彼女は6時から演劇の稽古があるといって学校へ戻っていった。
外はとても暑かった。
今日は最高気温が28℃になると言っていた。
この蒸し暑い空気と頭上一面に広がる青色の空に、僕はものすごく感謝した。
ログインするとコメントを投稿できます。