あかり

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終電

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終電

by あかり

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    今日、新しい出会いをしました。
    カフェで隣に座っているおじさんが大きな画面のPCでFacebookを見ていたのです。
    別に覗く気は無かったのですが、あまりに大きな画面なので内容が見えてしまいました。
    彼の友達には、私の姉がいました。
    声を掛けようか、やめようか、迷っていたのですが、彼はすぐに出ていってしまいましたので、私は飲み残しのカフェオレを置いてけぼりにして店を出ました。
    後を追うと、彼はコンビニに立ち寄り、週刊誌を眺めてからビールと肉まんとピーナッツを買って出て行きました。
    コンビニを出た途端に熱々の肉まんを頬張り出した彼の後を追って駅までやって来ました。
    私は歩いて帰るつもりだったのですが、つい、一緒に改札を通り抜けました。
    彼は下りの電車に乗り込みました。電車を待っている間に肉まんは食べきってしまいました。
    電車の中は最初混み合っていて彼を見失いそうになりましたが、駅を通過するごとにどんどん乗客は減っていって、終いにその車両は私と彼の二人きりになりました。
    それでも私は声を掛けられず、終点の小さな駅までたどり着きました。
    電車を降りて改札を出ていくと、駅の前には軽自動車が待っていました。
    運転しているのは、さも優しそうな朗らかに笑う女性でした。後部座席からは運転席の女性によく似た男の子とチャイルドシートに乗った赤ちゃんが見えました。
    私は一気に家が恋しくなりました。こんな、何にも無いところまで来てしまったことを後悔しました。
    すぐに改札を通って電車を待ちました。気付けば終電間近だったようで中々電車は来ませんでした。待っている間に自販機で炭酸の甘ったるいジュースを買いました。
    開けた途端に吹きこぼれて、私の手はベトベトになりました。
    到着した電車に乗り込んで、私以外にこの駅から乗り込む人はいないんだと気付きました。
    私の為に迎えに来てくれた電車にベトベトした手のまま乗り込み、端の席に座りました。
    いつの間に眠ったのでしょう。気付けば沢山の人が乗っていました。まだ席は少し空いていましたが、隣には黒ぶち眼鏡の女性が座っていました。
    彼女も大きな画面でFacebookを見ていました。
    もう、見るもんかと思っていたのですが、やっぱり画面が大きすぎるので私の目には見えてしまいました。
    そして、思ったとおり姉の友達でした。しかし、もう追い掛けたりしません。
    家の最寄り駅で降りました。外は真っ暗でした。家の近くでたどたどしいピアノの音が聞こえてきました。
    私は走って帰りました。家には明かりが点いていて、その光が外に洩れていました。
    私は勢いよく扉を開けました。
    ただいま

    おかえりなさい
    の返事に涙が溢れてきました。
    帰ってきてよかった。

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終電

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    今日、新しい出会いをしました。
    カフェで隣に座っているおじさんが大きな画面のPCでFacebookを見ていたのです。
    別に覗く気は無かったのですが、あまりに大きな画面なので内容が見えてしまいました。
    彼の友達には、私の姉がいました。
    声を掛けようか、やめようか、迷っていたのですが、彼はすぐに出ていってしまいましたので、私は飲み残しのカフェオレを置いてけぼりにして店を出ました。
    後を追うと、彼はコンビニに立ち寄り、週刊誌を眺めてからビールと肉まんとピーナッツを買って出て行きました。
    コンビニを出た途端に熱々の肉まんを頬張り出した彼の後を追って駅までやって来ました。
    私は歩いて帰るつもりだったのですが、つい、一緒に改札を通り抜けました。
    彼は下りの電車に乗り込みました。電車を待っている間に肉まんは食べきってしまいました。
    電車の中は最初混み合っていて彼を見失いそうになりましたが、駅を通過するごとにどんどん乗客は減っていって、終いにその車両は私と彼の二人きりになりました。
    それでも私は声を掛けられず、終点の小さな駅までたどり着きました。
    電車を降りて改札を出ていくと、駅の前には軽自動車が待っていました。
    運転しているのは、さも優しそうな朗らかに笑う女性でした。後部座席からは運転席の女性によく似た男の子とチャイルドシートに乗った赤ちゃんが見えました。
    私は一気に家が恋しくなりました。こんな、何にも無いところまで来てしまったことを後悔しました。
    すぐに改札を通って電車を待ちました。気付けば終電間近だったようで中々電車は来ませんでした。待っている間に自販機で炭酸の甘ったるいジュースを買いました。
    開けた途端に吹きこぼれて、私の手はベトベトになりました。
    到着した電車に乗り込んで、私以外にこの駅から乗り込む人はいないんだと気付きました。
    私の為に迎えに来てくれた電車にベトベトした手のまま乗り込み、端の席に座りました。
    いつの間に眠ったのでしょう。気付けば沢山の人が乗っていました。まだ席は少し空いていましたが、隣には黒ぶち眼鏡の女性が座っていました。
    彼女も大きな画面でFacebookを見ていました。
    もう、見るもんかと思っていたのですが、やっぱり画面が大きすぎるので私の目には見えてしまいました。
    そして、思ったとおり姉の友達でした。しかし、もう追い掛けたりしません。
    家の最寄り駅で降りました。外は真っ暗でした。家の近くでたどたどしいピアノの音が聞こえてきました。
    私は走って帰りました。家には明かりが点いていて、その光が外に洩れていました。
    私は勢いよく扉を開けました。
    ただいま

    おかえりなさい
    の返事に涙が溢れてきました。
    帰ってきてよかった。

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published : 2014/01/30

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