宮尾節子

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宮尾節子

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琥珀

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琥珀
     宮尾節子

濃紺の空に
琥珀色の月が掛かっている

「コハク」
──と呼んでみる

「コウン」はオカクラが
恋人の猫につけた名前だが──
「幸運」にという遠く離れた恋人への
想いもこめられていたと、聞く

「コハク、」
夜空に呼びかけると
「幸薄」が透けて見えた──

「コハク」
「コウン」

月を見つめて二つの言葉が
遠く離れた二人のように──
呼びかけ合った


       * オカクラ=岡倉覚三(天心)


詩集『恋文病』より

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published : 2015/11/03

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