宮尾節子

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宮尾節子

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帰郷

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帰郷
         宮尾節子

ベランダから屋根へと這い上がり
更に空へと咲き昇る
通りがかりのお宅の見事な
ノウゼンカズラを見上げていたときに
おとうさん--
あなたはあっちに行ったのですね

あの言うことを聞かないわたしの娘が呆けた顔で
ノウゼンカズラを眺めているよと
見下ろしながら--

濃いオレンジ色の花が鈴なりのカズラに
顔を引き揚げられるようにして
たどり着いた
故郷の夏空は--
ほんとうに、ほんとうに
雲ひとつなく、

(よるつめをつんだら
 よるつめをつんだから
 おやのしにめに

イヤチヤ
セッカク
モンテキチョッテ
セッチャンセッカク
モンテキチャッタニアンタドコデ
ナニシヨッタガ
カンゴフサンラガサガシマワリヨッタニ
ナニシヨッタガヨ

 あおいぞ
 あおぞら--ごめん)

「せつこ」と呼ぶ者が--
またひとり居なくなりました

ハナミヨッタガ。


詩集『恋文病』より

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published : 2015/11/03

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