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文学・文芸 > 詩
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Comment挽歌
宮尾節子
あきは、ちるきせつ
葉が散るたびにびくびくして
人が散るたびにびくびくして
いちょうがね、きいろくなって
ちったそうよ
あきのひそひそ話が
かぜにのって
もみじもね、まっかになって
ちったそうよ
あきのひそひそ話が
はこばれてくる
たびに
ありがとうございます
ありがとうございます
と祈りました
あなたじゃなくて
あなたじゃなくてありがとうございます
と散り行くものに手を合わせた──
だから
きっと祈ります
わたしが散ったときにも
あなたじゃなくてありがとうございます
*詩集『明日戦争がはじまる』(思潮社オンデマンド版)より