宮尾節子

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宮尾節子

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挽歌

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挽歌
                宮尾節子
あきは、ちるきせつ
葉が散るたびにびくびくして
人が散るたびにびくびくして

いちょうがね、きいろくなって
ちったそうよ
あきのひそひそ話が
かぜにのって

もみじもね、まっかになって
ちったそうよ
あきのひそひそ話が
はこばれてくる
たびに

ありがとうございます
ありがとうございます
と祈りました
あなたじゃなくて
あなたじゃなくてありがとうございます
と散り行くものに手を合わせた──

だから
きっと祈ります

わたしが散ったときにも
あなたじゃなくてありがとうございます


*詩集『明日戦争がはじまる』(思潮社オンデマンド版)より

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published : 2015/11/02

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