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ファインアート > 油絵
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Comment眠れなくて窓を開けた。
ベットに横たわってどこかの室外機がゴオォと鳴いている音を聴いている。
夜、機械が息を吐き出す音を聴くととても安心する。
まだ夜更かしが特別だった頃、暗闇の中で眩しい光に照らされて、知識の海を泳いだ。そういう夜の静かな高揚感を思い出すからだ。今は、寝なくてはという恐怖、健康という恐怖に磔にされている。
私は夜が好きだ。
でも磔になった夜は自分が何者かわからなくなって“なかみ”がなくなったようになる。夜をぐるぐる廻ったり、深い深い底まで沈んでみたりする。部屋の輪郭を角から角、また角から角までなぞってみたり、差し込んだ月の光とカーテンの角度を目算したりする。
夜はすぐに私を隠してしまう。
私はここにいるのに、私は何処にもいない。
室外機は止まってしまった。
油彩、キャンバスボード
F0
2021年12月
よる
by OHBA Sakura
眠れなくて窓を開けた。
ベットに横たわってどこかの室外機がゴオォと鳴いている音を聴いている。
夜、機械が息を吐き出す音を聴くととても安心する。
まだ夜更かしが特別だった頃、暗闇の中で眩しい光に照らされて、知識の海を泳いだ。そういう夜の静かな高揚感を思い出すからだ。今は、寝なくてはという恐怖、健康という恐怖に磔にされている。
私は夜が好きだ。
でも磔になった夜は自分が何者かわからなくなって“なかみ”がなくなったようになる。夜をぐるぐる廻ったり、深い深い底まで沈んでみたりする。部屋の輪郭を角から角、また角から角までなぞってみたり、差し込んだ月の光とカーテンの角度を目算したりする。
夜はすぐに私を隠してしまう。
私はここにいるのに、私は何処にもいない。
室外機は止まってしまった。
油彩、キャンバスボード
F0
2021年12月
published : 2022/01/01