原田 奈央子

旅写真,銅版画,インスタレーション

7

大阪府大阪市
social
  • 3

    Fav 0
  • 9

    View 26,369
  • p

    Works 16

原田 奈央子

m
r

原田 奈央子

旅写真,銅版画,インスタレーション

  • 3

    Fav 0
  • 9

    View 26,369
  • p

    Works 16

原田 奈央子

旅写真,銅版画,インスタレーション

  • 【スペイン】15年前、思いがけない19歳の誕生日

     

    「初めて海外を旅してから、もう15年も経ったんだなぁ。」

    34歳の誕生日がきて、ふと思い出した。

     

    今から15年前の誕生日が私は人生の中で一番思い出に残っている。

     

    友人と3人で、春休みにスペインへホームステイを兼ねた旅行をした。

    ホームステイといっても、一般的なホストファミリーの家に滞在するのではない。

     

    一緒に行った友人の友達(スペイン人)の家に泊まり、別の友達の家に泊まり…と

    はしごしながら、タダ宿、タダ飯、タダ観光でスペインを2週間過ごした。

    これが私の初海外だった。衝撃的なこともたくさんあった。


    私だけが初めての海外。

    英語もスペイン語も全然しゃべられないので
    現地の人とコミュニケーションがうまくとれず、元気がなくなり、
    不安な気持ちに襲われ、眠れない日も続いていた。

     

    そんなある日、私はスペインで誕生日を迎えた。
    「年を一つ取ったから、もう少ししっかりしないと。」
    と、滞在先の家で、昼食時に思っていたその時
    「HAPPY BIRTHDAY NAOKO~♪」とバースディソングとともに、
    滞在先の家族と友人みんなでケーキを運んできた。

     

    ケーキは、たくさんの小さなドーナツの上に
    ホイップクリームと、カラフルなデコレーションとロウソク。

     

    滞在先の女の子が言い、友人が訳してくれたメッセージは、

     

    「私がケーキを作りました。私の亡くなったおじいちゃんはパティシエで
    おじいちゃんが亡くなる前に私に最後に教えてくれたケーキを作ったよ。
    なおこ、誕生日おめでとう!」

     

    その瞬間、私の緊張と不安でいっぱいだった心がほぐれ、
    ステイ先の家族と友人の温かさと優しさにふわっと包まれた。

    食べたケーキの味は、砂糖の甘さいっぱい、涙のしょっぱさいっぱい。


    その時思ったのは、「言葉が通じなくても心は通じ合うことができる。
    不安になりそうな時は、今日のこの日を思い出そう。」

     

    それから15年経った今、あの時思ったように
    何度も19歳のバースデイを思い出しては、前向きに行動できる自分がいる。

     

    あの時一緒に私の19歳の誕生日を祝ってくれた人たちに、改めて感謝の気持ちを伝えたくなった。

    「ありがとう。」

k
k