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2016/03/30
「初めて海外を旅してから、もう15年も経ったんだなぁ。」
34歳の誕生日がきて、ふと思い出した。
今から15年前の誕生日が私は人生の中で一番思い出に残っている。
友人と3人で、春休みにスペインへホームステイを兼ねた旅行をした。
ホームステイといっても、一般的なホストファミリーの家に滞在するのではない。
一緒に行った友人の友達(スペイン人)の家に泊まり、別の友達の家に泊まり…と
はしごしながら、タダ宿、タダ飯、タダ観光でスペインを2週間過ごした。
これが私の初海外だった。衝撃的なこともたくさんあった。
私だけが初めての海外。
英語もスペイン語も全然しゃべられないので
現地の人とコミュニケーションがうまくとれず、元気がなくなり、
不安な気持ちに襲われ、眠れない日も続いていた。
そんなある日、私はスペインで誕生日を迎えた。
「年を一つ取ったから、もう少ししっかりしないと。」
と、滞在先の家で、昼食時に思っていたその時
「HAPPY BIRTHDAY NAOKO~♪」とバースディソングとともに、
滞在先の家族と友人みんなでケーキを運んできた。
ケーキは、たくさんの小さなドーナツの上に
ホイップクリームと、カラフルなデコレーションとロウソク。
滞在先の女の子が言い、友人が訳してくれたメッセージは、
「私がケーキを作りました。私の亡くなったおじいちゃんはパティシエで
おじいちゃんが亡くなる前に私に最後に教えてくれたケーキを作ったよ。
なおこ、誕生日おめでとう!」
その瞬間、私の緊張と不安でいっぱいだった心がほぐれ、
ステイ先の家族と友人の温かさと優しさにふわっと包まれた。
食べたケーキの味は、砂糖の甘さいっぱい、涙のしょっぱさいっぱい。
その時思ったのは、「言葉が通じなくても心は通じ合うことができる。
不安になりそうな時は、今日のこの日を思い出そう。」
それから15年経った今、あの時思ったように
何度も19歳のバースデイを思い出しては、前向きに行動できる自分がいる。
あの時一緒に私の19歳の誕生日を祝ってくれた人たちに、改めて感謝の気持ちを伝えたくなった。
「ありがとう。」
2014/01/28
ハワイ島で、私は日本語が話せるアメリカ人の ガイドツアーに参加した。
ツアーが終わって、ガイドさんが団体客を空港まで送った後、私は、最後の1人になってしまった。
そのままホテルまで送ってもらおうとした時、
ツアー中にずっと気になっていたことがあって、聞いてみた。
ガイドさんが車でかけていたハワイの音楽だった。
どの曲も、聴いていて気持ちが良かった。
すると、
「ライブハウスに今から連れてってあげましょうか?」
私はうなずいて、ガイドさんと一緒にライブハウスに行くことになった。
田舎町なので、ライブハウスは少ない。
3軒回ったが、あいにく日曜日ということもあって
ライブはやっていなかった。
残念だったけれど、連れて行ってくれたことに感謝をし、 そのままバーで、彼といろんな話をした。
彼は、興味のあることとか雰囲気とか、自分とちょっと似ている。
話が弾んで、彼は
「じゃあ、プライベートツアーをしよう!」
と言って、店を出ると
夜のハワイ島をドライブしながら、
滝に連れて行ってくれたり、熱帯雨林を見せてくれたり。
昼間のガイドの時と同様にハワイ島の良さを説明してくれた。
移動中、
「私、ハワイに来てまだ虹を見ていないから、明日は、最後の日だから虹が見れるといいなぁー。」
「月が出てるから、今から見れるかもしれない。」
「え?今から虹が見られる?夜なのに?」
「そう、夜の虹。ナイトレインボー。」
彼はそう言って
「ブラック・サンド・ビーチ」という
真っ黒な砂地の海岸に連れてってくれた。
真っ暗闇の中、海は月明かりに照らされて、輝いていた。
波の音とともに、「コーキー、コーキー」と
高く、心地良い鳴き声が聞こえる。
「鳥かな?」と彼に聞くと
「コキ・カエル。鳥みたいに鳴くカエルだよ。」
ハワイのカエルの鳴き声は、とても美しくて、ずっと聞いていたくなった。
彼は言った。
「ここは、虹を見る絶好の場所だよ。 虹は日中以外にも、夜でも見えるんだよ。
月の明かりに照らされて、今日は虹が現れるかもしれない。 待ってみようか。」
私は、心が揺さぶられて、裸足になって黒い砂浜を歩き、 虹が現れることを祈りながら、しばらく大きな空を眺めていた。
彼は、時々暗闇でこけそうになる私を助けながら見守っていてくれた。
彼との別れ際に、私は、
「いいお土産ができて良かった。 今日は、どうもありがとう。
ナイトレインボーは見れなかったけど、 この景色や音を頭に焼き付けて日本に帰るね。」
と彼に感謝の気持ちを伝えて、ホテルの部屋に帰った。
充実した長い一日が終わった。
今日見たもの全てが、頭から溢れ出して、眠れなかった。
ハワイ島を発つ日の朝がやってきた。
朝日が出る前、ホテルから見えた窓の景色は
ブルー、ピンク、イエロー、オレンジ、パープル。
まるで、虹みたいな空の色だった。
私は、虹が見たいと思った時、
昨日、目に焼き付けた情景をすぐに思い出すだろう。
ナイトレインボー。いつか見れるといいな。
もう一度ハワイ島に行って。