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2011/09/13
廿日市市のウッドワン美術館が持っている、ゴッホの描いた油絵「農婦」を、吉備国際大の科学調査チームが調べたところ、顔の形が描き変えられた跡が見つかったらしい。
ゴッホが亡くなって60年後、絵を修復した際に、上から別の絵の具が塗られたと見られるそうだ。元は今のような顔や色ではなかったことが、過去の記録から分かっているらしい。
このチームは、電磁波の一種のエックス線を使って、その事実を確認したようだ。
エックス線は電磁波の一種で、絵が描いてあるキャンバスに当てると、絵の具の元である元素にぶつかり、蛍光エックス線が出るそうだ。
たとえば、見えている赤の下に青の絵の具が塗ってあれば、赤と青を示す2種類の蛍光エックス線が出て、それによって下にある絵の具の色は青と分かるらしい。
このチームは、さらにどんな絵だったのか、他の調査も合わせて詳しく調べていくそうだ。
3年前にゴッホ晩年の大作でひろしま美術館にある「ドービニーの庭」を自分達が調査して、長年「この絵には、猫が描かれていたのではないか」と議論になっていた、猫の存在を突き止めた時のように。
絵は古くなると、絵の具がはがれたり、表面の保護用のニスが黄色く変色したりして、修復が必要になるそうだ。
「農婦」は、大胆に絵の具を塗って修復されてしまったが、現代ではできるだけ手を加えないようにしているらしい。
絵の具がはがれていたら、その部分だけ補い、絵の具も簡単に落とせるものを使い、元の絵をそのまま保存するのが、現代の修復の基本のようだ。
ウッドワン美術館は将来、「農婦」を元の顔に戻す修復をしたいと考えているそうだ。その方針は、科学調査結果に加えて絵画の研究者や画家たちが意見を出し合って決めるようだ。
元の「農婦」の絵は、いったいどんなだったのか、美術館は来年にも明らかにしたいそうだ。
2011年9月9日の中国新聞の、「なぜなに探偵団」というコーナーに書かれていた内容だ。
作者の死後に、名画によけいな手が加えられていたという事実がショックだった。そんな事をされたんでは、ゴッホは死んでも死にきれないだろうと思った。