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余計なお世話

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余計なお世話

by Tome館長

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    koebu.com/topic/%E3%80%90SS%E3...

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    市立図書館から借りた推理小説を読んでいたら、
    その本の途中にボールペンで書き込みがあった。

    ある登場人物の名前を四角く囲み、下手糞な字で

    [こいつが犯人]


    世の中には親切な人がいるものだ。
    ぜひとも、厚くお礼を申さねばなるまい。


    というわけで、これを書き込んだ奴が誰なのか、
    犯人捜しをすることにしたのだ。


    まず、人物分析。

    どう考えても、いやな奴であることは確信できる。
    こいつと共同生活だけはしたくない。

    マナーは守らず、自分勝手で、近所迷惑な嫌われ者。
    自転車泥棒や万引きくらい、平気でやりそうだ。

    この推理小説を読み終えたくらいだから
    それほど知能が低いわけではあるまい。

    しかし、この字の下手糞さ加減からすると、
    先天的にだらしない感じはする。


    詳細な筆跡鑑定もしてみる。

    筆圧やペンの流れからのタイプ分類。
    どうやら犯人は左利きで、男性である可能性が高い。

    その他、この推理小説の内容、作家の傾向なども考慮。

    年齢や家族構成、学校または職業の範囲など、
    とりあえずの大まかな仮説的人物像を割り出す。


    友人の知り合いの自称ハッカー君を崇め奉り、
    市立図書館の登録データ、貸し出し情報を不正入手。

    近所の小学生をそそのかし、少年探偵団を結成。
    容疑者たちの張り込み、聞き取り調査。


    その他、なんだかんだ半年近くも手間取ったが、
    ほぼ犯人を特定することに成功した。


    ただし、限りなく黒に近い容疑者がふたり。

    どちらが犯人であっても不思議ない。
    どちらが犯人だとしても納得できてしまう。


    悩んだ末、ふたりの容疑者のどちらにも
    匿名の手紙を送ることにした。

    宛先の本人の名前をパソコンとプリンターで印刷し、
    その活字をボールペンで四角く囲み、下手糞な字で

    [おまえが犯人]

    これだけ。


    それにしても、まさか
    あんな結果になるとは思いもしなかった。


    ひとりの容疑者は
    ある強盗傷害事件の真犯人として自首。

    もうひとりの容疑者は
    なんと自殺してしまったのだ。
     

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    市立図書館から借りた推理小説を読んでいたら、
    その本の途中にボールペンで書き込みがあった。

    ある登場人物の名前を四角く囲み、下手糞な字で

    [こいつが犯人]


    世の中には親切な人がいるものだ。
    ぜひとも、厚くお礼を申さねばなるまい。


    というわけで、これを書き込んだ奴が誰なのか、
    犯人捜しをすることにしたのだ。


    まず、人物分析。

    どう考えても、いやな奴であることは確信できる。
    こいつと共同生活だけはしたくない。

    マナーは守らず、自分勝手で、近所迷惑な嫌われ者。
    自転車泥棒や万引きくらい、平気でやりそうだ。

    この推理小説を読み終えたくらいだから
    それほど知能が低いわけではあるまい。

    しかし、この字の下手糞さ加減からすると、
    先天的にだらしない感じはする。


    詳細な筆跡鑑定もしてみる。

    筆圧やペンの流れからのタイプ分類。
    どうやら犯人は左利きで、男性である可能性が高い。

    その他、この推理小説の内容、作家の傾向なども考慮。

    年齢や家族構成、学校または職業の範囲など、
    とりあえずの大まかな仮説的人物像を割り出す。


    友人の知り合いの自称ハッカー君を崇め奉り、
    市立図書館の登録データ、貸し出し情報を不正入手。

    近所の小学生をそそのかし、少年探偵団を結成。
    容疑者たちの張り込み、聞き取り調査。


    その他、なんだかんだ半年近くも手間取ったが、
    ほぼ犯人を特定することに成功した。


    ただし、限りなく黒に近い容疑者がふたり。

    どちらが犯人であっても不思議ない。
    どちらが犯人だとしても納得できてしまう。


    悩んだ末、ふたりの容疑者のどちらにも
    匿名の手紙を送ることにした。

    宛先の本人の名前をパソコンとプリンターで印刷し、
    その活字をボールペンで四角く囲み、下手糞な字で

    [おまえが犯人]

    これだけ。


    それにしても、まさか
    あんな結果になるとは思いもしなかった。


    ひとりの容疑者は
    ある強盗傷害事件の真犯人として自首。

    もうひとりの容疑者は
    なんと自殺してしまったのだ。
     

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published : 2012/12/07

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