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想創形造家

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文学・文芸 > 小説

Yokosuka Bay Story "Corporal Johnson"

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Yokosuka Bay Story "Corporal Johnson"

by CANBEESANTA

  • iコンセプト

    あの頃のベースの街には悲哀があったよ。
    身綺麗になるにつれて、原色のネオンが取り壊されてブルースが遠くなった。EMクラブも取り壊されてシアタービルに変わった。
     
     今もある(?)Blue Note のドリアが食べたいね。

  • iコメント

     自分の為に使える時間が死ぬほどあった頃、『幸福はどこにある?』っていつも探してた。
      僕の時間はいつも片手に夢さえあれば、気持ちよく孤独を快感に変えられた。ほんの少しの寂しさはブルーノートのハーパーソーダ。

     ドブ板の喧騒と落書きされたシャッター。”ファック ユー、俺のケツでもなめやがれ!”道端に落ちた血の跡。黄色のMPの文字が揺れる。卑猥な笑い。

     砂の剣に巻き込まれちまった伍長,ジョンソン。殴り込み部隊所属。
    『材木座にナンパに行こう!』駅で落ち合う約束。コヨーテブラウンのシャツがはち切れそうな図体をゆらしてやってくる。カミサリで買ったサンミゲルとスパークリングワイン2ケースをひょいと肩に担いで。
    『誰がこんなに飲むんだ』
    『酔わなくちゃ、恥ずかしいだろう』ヤンキーのくせに顔赤らめるなよ。饒舌になった伍長の胸でフルメタルジャケットの弾が揺れる。

     ゲート前でシュプレヒコールをあげる人の群れ。反対のプラカードのオンパレード。  黒人の軍曹ホワイトは僕に言った。
    『やれるのにやる準備もしない馬鹿がどこにいる。俺たちは命を捧げているんだ。』
     僕らもその傘の下にいる。平和ボケしすぎてるんだ、この国は、、、。任務にくだらない能書きはいらない。返答はいつも”Yes,sir!"
     僕は国歌に立ち止まり、目を閉じる。

    ”おい、あの時の星条旗は今もはためいているか?
    自由の民の土地の上に、勇者たちの祖国の上に”

    夕闇に軍曹のブルースハープがドライドックNo.6に落ちていく。彼のママはWASP。CGのグレイのデッキに格納されたバリスティックミサイル、トマホーク。

     M16アサルトライフルを握る歩哨に睨まれ、僕は狭いハッチからSSNの中に入る。ガイガーカウンターが表示をかえる。
    『トムさん、この扉の向こうへいってもいいかい』無理だと知りながら、、、。NON-FORN AREA。
    ここは日本の中の外国。火葬場と墓場以外は何でもある。教会からカジノまでね。肉片は星条旗に包まれ、ドーバーへ運ばれる。最後は必要がない所。
     僕は親方日の丸に金をもらい、グリーンバックでマックのハンバーガーを食べる。シェイクの代わりにバドワイザーを流し込む。

     ”ママとパパはベットでゴロゴロ ママは転がりこう言った。
    『お願い、欲しいの、、、しごいて!』
     お前によし、おれによし、うん、よし!
     日の出とともに起きだして走れといわれて
            一日走る、、、”
     ハワードストリートを屈強の男達がゆく。

     安保理決議678採択前、僕とジョンソン伍長はコインを積んでは飲み、したたか酔っぱらった。ダーツの的を外しては馬鹿みたいに笑い転げた。最後に残ったハーフダラー。スロットのジャックポット、ブルーの777。5枚のフランクリン。
    『また任務だから、還ったら祝杯を上げてくれよ』そういって無造作に僕に押し付ける。
    外出禁止令が出る前にゲートをでて、最後の一杯を飲みに行く。
     定番のコルトレーンをリクエストして、僕らはハーパーのデキャンタボトルを唯飲み続ける。お楽しみが途切れないように、、、。ラストがひたすら続く。

     僕は日常に戻る。サイン済みの書類。拡大された僕のフィンガープリント。誓約書。ポリグラフ。公安調査書。僕の思想調査書。機密書類取扱い許可証。コマンダーロガルボの分厚い掌。キャロルの弾丸タイプ音。コード244。セイフティボックスのコルトガバメント。あいつは何処にいる。

     ”1,2,3,4、合衆国の海兵隊、、、感じよし、ぐあいよし、すべてよし、
    すげえよし、おまえによし、おれによし、空かした美少女もういらない
    俺の女はM14、、、”

     カウンターの隅の垂れ壁に張り付けられた写真とドル札。ジョージの横に書かれた伝言。
    『マリア 僕の愛をここに置いて行く。明日ディエゴに発つ』
    『君の瞳に乾杯!  by リチャード』
     ボトルに残ったバーボンをソーダで割る。あれから僕は色んなものを捨ててきた。宝箱の中身にがっかりしない様にね。大事なものが何かを忘れないようにね。酔っぱらって記憶がなくなる事も無くなった。

     赤い靴が似合う彼女がカウンターのスツールに腰掛ける。カシミヤセーターからチラリと覗く胸元。不釣り合いなビュレットペンダントが鈍く光る。片手でグリーンポイントのヴィンテージを飲みながら、上目使いにメッセージを探している。

    『時が立つのは早い。君を忘れない』

    『再会の約束が守れなくてゴメン』
    書き人知らずの伝言が重なる。

     彼女の大きな瞳が僕に視線を投げかける。僕と赤ラインの制服姿のジョンソンの写真。僕は頷き、彼女の胸元に揺れるネックレスを見る。ブリュットが似合う女だ。

    ”オレが戦闘でたおれたら、
           箱に入って帰国する
     胸に勲章、飾りつけ 
         ママに告げてよ、見事な散り様”

     
     僕はハミルトンの上に星と線を落書きして、グラスのウイスキーを垂らした。
     残りを飲み干して、僕はジャーヘッドのジョンション軍曹に敬礼をする。

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Yokosuka Bay Story "Corporal Johnson"

by CANBEESANTA

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    あの頃のベースの街には悲哀があったよ。
    身綺麗になるにつれて、原色のネオンが取り壊されてブルースが遠くなった。EMクラブも取り壊されてシアタービルに変わった。
     
     今もある(?)Blue Note のドリアが食べたいね。

  • iコメント

     自分の為に使える時間が死ぬほどあった頃、『幸福はどこにある?』っていつも探してた。
      僕の時間はいつも片手に夢さえあれば、気持ちよく孤独を快感に変えられた。ほんの少しの寂しさはブルーノートのハーパーソーダ。

     ドブ板の喧騒と落書きされたシャッター。”ファック ユー、俺のケツでもなめやがれ!”道端に落ちた血の跡。黄色のMPの文字が揺れる。卑猥な笑い。

     砂の剣に巻き込まれちまった伍長,ジョンソン。殴り込み部隊所属。
    『材木座にナンパに行こう!』駅で落ち合う約束。コヨーテブラウンのシャツがはち切れそうな図体をゆらしてやってくる。カミサリで買ったサンミゲルとスパークリングワイン2ケースをひょいと肩に担いで。
    『誰がこんなに飲むんだ』
    『酔わなくちゃ、恥ずかしいだろう』ヤンキーのくせに顔赤らめるなよ。饒舌になった伍長の胸でフルメタルジャケットの弾が揺れる。

     ゲート前でシュプレヒコールをあげる人の群れ。反対のプラカードのオンパレード。  黒人の軍曹ホワイトは僕に言った。
    『やれるのにやる準備もしない馬鹿がどこにいる。俺たちは命を捧げているんだ。』
     僕らもその傘の下にいる。平和ボケしすぎてるんだ、この国は、、、。任務にくだらない能書きはいらない。返答はいつも”Yes,sir!"
     僕は国歌に立ち止まり、目を閉じる。

    ”おい、あの時の星条旗は今もはためいているか?
    自由の民の土地の上に、勇者たちの祖国の上に”

    夕闇に軍曹のブルースハープがドライドックNo.6に落ちていく。彼のママはWASP。CGのグレイのデッキに格納されたバリスティックミサイル、トマホーク。

     M16アサルトライフルを握る歩哨に睨まれ、僕は狭いハッチからSSNの中に入る。ガイガーカウンターが表示をかえる。
    『トムさん、この扉の向こうへいってもいいかい』無理だと知りながら、、、。NON-FORN AREA。
    ここは日本の中の外国。火葬場と墓場以外は何でもある。教会からカジノまでね。肉片は星条旗に包まれ、ドーバーへ運ばれる。最後は必要がない所。
     僕は親方日の丸に金をもらい、グリーンバックでマックのハンバーガーを食べる。シェイクの代わりにバドワイザーを流し込む。

     ”ママとパパはベットでゴロゴロ ママは転がりこう言った。
    『お願い、欲しいの、、、しごいて!』
     お前によし、おれによし、うん、よし!
     日の出とともに起きだして走れといわれて
            一日走る、、、”
     ハワードストリートを屈強の男達がゆく。

     安保理決議678採択前、僕とジョンソン伍長はコインを積んでは飲み、したたか酔っぱらった。ダーツの的を外しては馬鹿みたいに笑い転げた。最後に残ったハーフダラー。スロットのジャックポット、ブルーの777。5枚のフランクリン。
    『また任務だから、還ったら祝杯を上げてくれよ』そういって無造作に僕に押し付ける。
    外出禁止令が出る前にゲートをでて、最後の一杯を飲みに行く。
     定番のコルトレーンをリクエストして、僕らはハーパーのデキャンタボトルを唯飲み続ける。お楽しみが途切れないように、、、。ラストがひたすら続く。

     僕は日常に戻る。サイン済みの書類。拡大された僕のフィンガープリント。誓約書。ポリグラフ。公安調査書。僕の思想調査書。機密書類取扱い許可証。コマンダーロガルボの分厚い掌。キャロルの弾丸タイプ音。コード244。セイフティボックスのコルトガバメント。あいつは何処にいる。

     ”1,2,3,4、合衆国の海兵隊、、、感じよし、ぐあいよし、すべてよし、
    すげえよし、おまえによし、おれによし、空かした美少女もういらない
    俺の女はM14、、、”

     カウンターの隅の垂れ壁に張り付けられた写真とドル札。ジョージの横に書かれた伝言。
    『マリア 僕の愛をここに置いて行く。明日ディエゴに発つ』
    『君の瞳に乾杯!  by リチャード』
     ボトルに残ったバーボンをソーダで割る。あれから僕は色んなものを捨ててきた。宝箱の中身にがっかりしない様にね。大事なものが何かを忘れないようにね。酔っぱらって記憶がなくなる事も無くなった。

     赤い靴が似合う彼女がカウンターのスツールに腰掛ける。カシミヤセーターからチラリと覗く胸元。不釣り合いなビュレットペンダントが鈍く光る。片手でグリーンポイントのヴィンテージを飲みながら、上目使いにメッセージを探している。

    『時が立つのは早い。君を忘れない』

    『再会の約束が守れなくてゴメン』
    書き人知らずの伝言が重なる。

     彼女の大きな瞳が僕に視線を投げかける。僕と赤ラインの制服姿のジョンソンの写真。僕は頷き、彼女の胸元に揺れるネックレスを見る。ブリュットが似合う女だ。

    ”オレが戦闘でたおれたら、
           箱に入って帰国する
     胸に勲章、飾りつけ 
         ママに告げてよ、見事な散り様”

     
     僕はハミルトンの上に星と線を落書きして、グラスのウイスキーを垂らした。
     残りを飲み干して、僕はジャーヘッドのジョンション軍曹に敬礼をする。

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published : 2012/11/21

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