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想創形造家

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文学・文芸 > 小説

フェイク

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フェイク

by CANBEESANTA

  • iコンセプト

     凝り固まった頭をほぐしに旅に出る。自分の中の常識がくだらない想い込みであることに気付く。
     
     ギリシャはドラクマに還るのか?ユーロとトルコのコインは瓜ふたつ。エーゲ海に浮かぶクレタ(903)島。

     オメガ(ギリシャの最後24番目の文字)
    鏡面の中の自分に二重ロックがかかる。偽物の柱に白のペンキで化粧する。クリスマスの季節3色。緑の扉。残りの色はNicholasだ。
    真っ赤な偽物のゴールド。ポーターの財布に付いたスターリングシルバーリングが白日にひかる。○と■と△の世界。

     金のライオン(Cash Lionはだれ?)
     偽物を持つ正直者、本物を持つ罪人。

     アナグラムと語呂合わせ。自己言及のパラドックス。


     ああ、ここ3日分の睡眠を確保するよ。

  • iコメント

     『フェイク!』
    散歩のふりをしてパイプを斜に咥えた老人が言った。
    僕にもそんな大層なもんじゃないことぐらいわかるさ。大理石がポタポタ、基礎石に落ちている。ベタベタのペンキ跡。
    コリント式。2本の柱はよく見ると壁にくっついている。、緑色の玄関扉。ブロンズのノブの上に付けられた錠前。

    『ニッポンじん?』 ライオンのたてがみみたいに長い髭。
    僕は蚤の市を覗いたその足で路地裏をぶらついていたんだ。

     膨らんだズボンのポケットから取り出した金無垢らしい懐中時計。
    『オメガ、キャッシュ、300』 自慢の白髭を撫でながら言う。
    『やすいよ、とりたてしんせん』 老眼鏡越しにパチクリしながら続けざまに喋る。
    『ーーーーーー』
    『うみのにおいだ、うそはつかん、、、』
    サファイアブルーの針が9時03分を指している。エーゲ海の香りはしないな。パイプからこぼれる甘い煙。

    『250』 眉間に皺を寄せ、鼻の下をこすりながら追い打ちをかけて来る。
    『240』 真っ赤な掌の上の最終文字。
    『ーーーーーー』

    『ニコラウスからのプレゼントじゃぞ、オメガで200』
    『Ho Ho Ho』 腹を抱えて笑い出す。
    『ギリシャ人、みんなウソつき、Ho Ho Ho』 自作自演の壺にはまったみたいだ。
    僕はベゼルに映る自分の顔を見る。僕は笑いを消すように首を振った。

    『ヤポン、わかった、190』
    『ーーーーーー』
    『バアサン、ビョーキ、180』
    鷲鼻が赤く染まるのを見て僕は何だか可笑しくなってくる。この小太り爺さんに真っ白なズタ袋でも持たせたい気分になってきた。

     青の鍵穴。やっぱり僕はポーターの長財布を取り出すのを止め、爺さんに向かって人差し指を振る。

    『170、、、160、、、150、、、』 最後の言葉がどんどん破れて半分になる。いい加減やり場のないあほらしさに面倒くさくなった。

    『95だ』僕は丸を作ってみせる。

    スナップ留め金を開き100を札束で渡す。ニコおじさんは足早に路地裏を南へ。
    『Ho Ho Ho』 って言いながら、、、。

     花屋の角、爺さんのポケットからはみ出した925シルバーリングが一瞬光った。扉の向こうに折れた三角帽が掛かっているのが見える。僕の掌にある"amaga"の時計と釣銭の50クルシュ。
    (ギリシャ人である彼が言った。 『ギリシャ人は皆いつも嘘をつく』)

     9時03分、5人のムスタファが僕に笑った。

  • iライセンス

    表示-非営利-継承

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     ギリシャはドラクマに還るのか?ユーロとトルコのコインは瓜ふたつ。エーゲ海に浮かぶクレタ(903)島。

     オメガ(ギリシャの最後24番目の文字)
    鏡面の中の自分に二重ロックがかかる。偽物の柱に白のペンキで化粧する。クリスマスの季節3色。緑の扉。残りの色はNicholasだ。
    真っ赤な偽物のゴールド。ポーターの財布に付いたスターリングシルバーリングが白日にひかる。○と■と△の世界。

     金のライオン(Cash Lionはだれ?)
     偽物を持つ正直者、本物を持つ罪人。

     アナグラムと語呂合わせ。自己言及のパラドックス。


     ああ、ここ3日分の睡眠を確保するよ。

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     『フェイク!』
    散歩のふりをしてパイプを斜に咥えた老人が言った。
    僕にもそんな大層なもんじゃないことぐらいわかるさ。大理石がポタポタ、基礎石に落ちている。ベタベタのペンキ跡。
    コリント式。2本の柱はよく見ると壁にくっついている。、緑色の玄関扉。ブロンズのノブの上に付けられた錠前。

    『ニッポンじん?』 ライオンのたてがみみたいに長い髭。
    僕は蚤の市を覗いたその足で路地裏をぶらついていたんだ。

     膨らんだズボンのポケットから取り出した金無垢らしい懐中時計。
    『オメガ、キャッシュ、300』 自慢の白髭を撫でながら言う。
    『やすいよ、とりたてしんせん』 老眼鏡越しにパチクリしながら続けざまに喋る。
    『ーーーーーー』
    『うみのにおいだ、うそはつかん、、、』
    サファイアブルーの針が9時03分を指している。エーゲ海の香りはしないな。パイプからこぼれる甘い煙。

    『250』 眉間に皺を寄せ、鼻の下をこすりながら追い打ちをかけて来る。
    『240』 真っ赤な掌の上の最終文字。
    『ーーーーーー』

    『ニコラウスからのプレゼントじゃぞ、オメガで200』
    『Ho Ho Ho』 腹を抱えて笑い出す。
    『ギリシャ人、みんなウソつき、Ho Ho Ho』 自作自演の壺にはまったみたいだ。
    僕はベゼルに映る自分の顔を見る。僕は笑いを消すように首を振った。

    『ヤポン、わかった、190』
    『ーーーーーー』
    『バアサン、ビョーキ、180』
    鷲鼻が赤く染まるのを見て僕は何だか可笑しくなってくる。この小太り爺さんに真っ白なズタ袋でも持たせたい気分になってきた。

     青の鍵穴。やっぱり僕はポーターの長財布を取り出すのを止め、爺さんに向かって人差し指を振る。

    『170、、、160、、、150、、、』 最後の言葉がどんどん破れて半分になる。いい加減やり場のないあほらしさに面倒くさくなった。

    『95だ』僕は丸を作ってみせる。

    スナップ留め金を開き100を札束で渡す。ニコおじさんは足早に路地裏を南へ。
    『Ho Ho Ho』 って言いながら、、、。

     花屋の角、爺さんのポケットからはみ出した925シルバーリングが一瞬光った。扉の向こうに折れた三角帽が掛かっているのが見える。僕の掌にある"amaga"の時計と釣銭の50クルシュ。
    (ギリシャ人である彼が言った。 『ギリシャ人は皆いつも嘘をつく』)

     9時03分、5人のムスタファが僕に笑った。

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published : 2012/11/09

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