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文学・文芸 > 詩
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Comment鶴
宮尾節子
「せんそう、はんたい」という
声が出ないので
鶴を折ってもらったのですよ。
言えないひとの
鶴折るひとの
その数は広がって
「もう十万羽を、超えました」
「わたしも、言えなさからでした」
詩を、書き始めたきっかけは──
そんな話が繋がりました。
「こくみんのみなさまに、しじをうけて」
声は出ないが、支持はしてない。
鶴を折る。
声は出ないが、支持はしてない。
詩を書く。
「息をしてるだけで、誰かを傷つけてる」
こわさが、あって。
うつむいて、だまって
鶴を折る。
うつむいて、だまって
詩を書く。
空高く、声の鳩を飛ばせない
声は出ないが、支持はしてない。
わたしたちは、わたしたちの手は
平和を、願って
鶴を折る。
鶴を、折って
鶴と書く。