宮尾節子

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宮尾節子

詩書き

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宮尾節子
     

「せんそう、はんたい」という
声が出ないので

鶴を折ってもらったのですよ。
言えないひとの
鶴折るひとの
その数は広がって

「もう十万羽を、超えました」
「わたしも、言えなさからでした」
詩を、書き始めたきっかけは──

そんな話が繋がりました。
「こくみんのみなさまに、しじをうけて」
声は出ないが、支持はしてない。

鶴を折る。
声は出ないが、支持はしてない。
詩を書く。
「息をしてるだけで、誰かを傷つけてる」
こわさが、あって。

うつむいて、だまって
鶴を折る。
うつむいて、だまって
詩を書く。

空高く、声の鳩を飛ばせない
声は出ないが、支持はしてない。
わたしたちは、わたしたちの手は
平和を、願って
鶴を折る。
鶴を、折って
鶴と書く。

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published : 2016/08/06

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