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やっぱり先生は理科室にいた。
「先生」
「あら、トオル君。なあに?」
「僕と駆け落ちしませんか」
先生がむせた。
「先生、大丈夫ですか」
僕は先生の背中をさする。
「・・・・あ、あのね、トオル君」
「はい。先生」
「駆け落ちの意味、知ってるの?」
先生の潤んだ瞳。
「もちろん知ってます。
ちゃんとパソコンで検索しました」
「そう・・・・それは困ったわね」
「どうして困るんですか」
「私はね、結婚して旦那さんがいるの」
「はい。僕、存じてます」
「トオル君は、まだ小学五年生よ」
「そうですね」
「だったら、おかしいじゃないの」
「きっと世間は許しませんよね」
先生が溜め息を吐く。
「あのね、世間が許すとか許さないじゃなくて、
世間の常識としておかしいわよ」
僕は哀しくなる。
「先生は僕がきらいなんですか」
「好きよ。私はトオル君が好きよ」
「いつも先生は、そう言ってくれますよね」
「でもね、それとこれとは・・・・」
「先生のバカ!」
僕は走って理科室を飛び出す。
その直前、僕は一枚の写真を落とす。
先生の「旦那さん」が写ってる合成写真。
こんなのパソコンで簡単に作れる。
僕が教室で待っていると、先生が入ってきた。
「トオル君」
「はい。先生」
「駆け落ちするわよ」
(やった!)
駆け落ち
by Tome館長
やっぱり先生は理科室にいた。
「先生」
「あら、トオル君。なあに?」
「僕と駆け落ちしませんか」
先生がむせた。
「先生、大丈夫ですか」
僕は先生の背中をさする。
「・・・・あ、あのね、トオル君」
「はい。先生」
「駆け落ちの意味、知ってるの?」
先生の潤んだ瞳。
「もちろん知ってます。
ちゃんとパソコンで検索しました」
「そう・・・・それは困ったわね」
「どうして困るんですか」
「私はね、結婚して旦那さんがいるの」
「はい。僕、存じてます」
「トオル君は、まだ小学五年生よ」
「そうですね」
「だったら、おかしいじゃないの」
「きっと世間は許しませんよね」
先生が溜め息を吐く。
「あのね、世間が許すとか許さないじゃなくて、
世間の常識としておかしいわよ」
僕は哀しくなる。
「先生は僕がきらいなんですか」
「好きよ。私はトオル君が好きよ」
「いつも先生は、そう言ってくれますよね」
「でもね、それとこれとは・・・・」
「先生のバカ!」
僕は走って理科室を飛び出す。
その直前、僕は一枚の写真を落とす。
先生の「旦那さん」が写ってる合成写真。
こんなのパソコンで簡単に作れる。
僕が教室で待っていると、先生が入ってきた。
「トオル君」
「はい。先生」
「駆け落ちするわよ」
(やった!)
published : 2012/12/13