猫のお客さん
2007/12/07
ときどきみゆちゃんは玄関に下りていって、ドアの下のすきまから外の空気を匂ったり、目隠しに吊るしている猫の絵のついた暖簾の向こうへ首を伸ばして通りの様子をうかがったりしているのだけれど、一ヶ月くらい前の、まだそんなに寒くない夜、ドアの前でにゃーおにゃーおと鳴きながら行ったり来たりを繰り返して、いつもと様子が違うので、外になにかいるのかしらと暖簾のすきまからこっそりのぞいてみたら、ドアのすぐ前に、真ん丸な黒目が可愛らしいキジトラ猫が、ちょこんと座っていた。
家の中と外にいる猫同士が、どうやってお互いの存在を知ったのだろうと不思議に思って、せっかく来てくれたのだから、ちょっとあがっていってもらえたらいいのにと、無理なことを考えたりしながら、暖簾のすきまから見ていたら、ちょっと後ろを振り返ったキジトラの首にピンク色の首輪が見えた。
しばらくしてもう一度のぞいたら、もうキジトラの姿はなかった。本当に、あんな可愛いお客さんだったら、いつでも来て欲しいくらいなのだけれど。
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