佐藤肇

イラストレーター

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東京都新宿区
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  • 2012/11/04

    怪しい話

    もう30年近く前、バイトの同僚にKさんという人がいました。
    このKさん、小演劇の役者さんで、よく練習などと言っては
    体をくねくねうねうねさせてたりして、なかなか楽しい人でした。
    で、Kさん、山登りもするんですね。

    その日も、ある山の中のキャンプ場でテントを張ってたと。

    水を汲もうってことでひとり、谷川へ下りる一本道へ出たそうです。

    両側は濃いやぶが続いて、人ひとりがやっと通れる道だったと云います。

    しばらく行くと、下から人が上がってくるのが見えたそうです。

    キャンプ場の客だろうと、軽く挨拶をして

    互いに体をやぶに押し付けながら、すれちがった……

    その瞬間、ん?と感じたそうです。

    違和感がある、と。

    さっと振り返ると、今すれちがったばかりのその人は

    どこにもいなかった、と云います。


    もうひとつ。


    Kさん、出身地は忘れましたが、山の中にじいさまの家があって
    小さい頃はよく遊びに行ってたそうです。

    これが、わらぶき屋根の家で、囲炉裏があったりして
    ほんと、昔話に出てくるようなトコロだったそうです。

    そこで皆で夕食をとっていると
    どこからか鳥のはばたく音が聞こえてきたそうです。

    その音はどんどん大きくなって、屋根の上までやって来ました。

    次の瞬間、どおーーーん!!と、大きな音と共に

    ひと抱えもある巨大な鳥の一本足が、

    わらの屋根を突き破って落ちて来たのだそうです。


    余りの内容に、その後それがどうなったのか、
    掻き消すように消えたのか、
    その突き破った穴はどうなったのか、など聞きそびれたまま...

    今日に到っております。

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