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2012/11/30
妹が小さな箱を私に投げて寄越した
パソコンゲームの箱に思えた
特に興味も無く後ろに放った
がしゃがしゃと崩れる音がした
気になって箱を開けてみた
箱の中にもうひとつの箱
フィギュアでも入っているのだろうか
小窓の奥にロボットが見えた
ああ壊れてしまったろうか
箱を少し開くと
金属のパーツがころころと踊る
サブメカだろうか
虫のように箱の中で動いていた
虫メカは箱に残しロボットを取り出した
エッチングを組んだような複雑なロボットだった
私はロボットを抱いて家を飛び出した
すると小さな私が私から飛び出した
子供の私はロボットを抱きながら私の前を走って行く
やがてロボットは子供の私の隣を一緒に走り出した
広い庭では父が子供の私を待っていた
子供の私と父とロボットが芝生の上で追いかけっこを始めた
楽しそうに二人と一体が走り回っている
よく見ると父は外国人のようだ
私にはわかった
外国人の父はエンジニアだ
ロボットの秘密を狙っているのだ
隙あらばロボットをかっさらって父は逃げていくだろう
気をつけろ子供の私
私は空からハラハラしながら見守った
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2012/11/04
TVゲームをしていた筈だった
敵の白い玉をどうしても倒せなくて
画面の前でじれていたら
いつの間にかトンネルを車で走っていた
ライトはつかない
暗いトンネルを懐中電灯で照らしながら疾走していた
どんどん加速していたのに
車はちっとも動いていなかった
懐中電灯が行き止まりの壁を照らした
両脇の壁にはバーカウンターのようなものがある
キャビネットの硝子の奥に店鋪が見える
人の姿がない
まだ開店前だろうか
よく見ると左のキャビネットの中に人が折り重なっている
人形のように動かない人々
彼らを動かせば店は開くのだろうか
カウンターの上に絵本を見つけた
陰惨な人形達の謎が描かれていた
頁をめくっていくうちに絵が動き出す
絵は銀幕ほども拡がって
いつしか自分は冬のロシアに立っていた
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