宮尾節子

m
r

宮尾節子

詩書き

  • 3

    Fav 3
  • 9

    View 63,732
  • p

    Works 111

WORKS

文学・文芸 > 詩

たまおくり

9

View
556

3

Fav
0

1

Comment
0
  • C
    作品を拡大
  • B
    作品一覧

たまおくり
宮尾節子

自分のことのように
自分ではない人が
自分のことを、喜んでくれる日が
あったことを、わたしは忘れません。
ひとつの喜びが、いくつもの手に手渡されて
玉送りをするように
おおきく広がっていきました。

自分のことのように
自分ではない人が
自分のことを、悲しんでくれる日が
あったことも、わたしは忘れません。
ひとつの悲しみが、いくつもの手に支えられて
玉送りをするように
すこしずつ軽くなっていきました。

ひとの喜びが、自分の喜びとなり
ひとの悲しみが、自分の悲しみとなり
手から手へつぎつぎ送られていく
玉送りの、ボールのように。

ひとつの喜びとひとつの悲しみで
ひとがじゅうぶん、
喜びにも悲しみにも間に合うように
なりますように、
たまおくり。

Other Works

jシェア

たまおくり

by 宮尾節子

  • iライセンス

    表示-非営利

1

Comment

  • FAVをして作品の感想・コメントを残しましょう

    3
    FAV

jこのページをシェア

たまおくり

by 宮尾節子

  • iライセンス

    表示-非営利

published : 2016/03/20

閉じる
k
k