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    Works 225
  • くろのいし5/13

    2011/06/05

    maro絵本

    「この辺にある湖はすべてこのように人が溶けて
    できているんです。」
    きつねは言った。
    「でもまあ、彼女達はもうかげも形もありません。
    私はねえ、生まれてから何にも残すこともなく、
    あっという間に消えてしまうような、
    そんな人生は送りたくありませんねえ。」

    きつねは吐き捨てるように言うと、
    「さ、そろそろ行きましょうか。」
    と何もなかったように歩き始めた。

    僕は少し嫌な気持ちになった。
    でも、「へえ。」と、作り笑いをした。

    ゲホッゲホッ。
    僕は少しせきこんだ。

  • くろのいし4/13

    2011/06/05

    maro絵本

    僕が聞くと、彼女は少し微笑んでから、こう言った。

    「私はもうじき消えてしまうの。
    それははじめから決まっていたこと。しかたないの。
    でも、消えてしまう今になって、
    この世界がどんなにすばらしいか感じられるように なったわ。
    太陽や、風・雲・月...キラキラしてまぶしいの。
    私は消えてしまうけれど、この世界はずっと続いて ゆくのね。
    ずっとずっと見ていたい...。

    でも、きっと終わりが近づいた今だからこそ、
    本当に美しいと感じられるのだわ。
    そんな光の一つ一つに気がつけた私は幸せ。
    私、生まれてきてよかった。
    でも私、何も残さず消えてしまうの。
    悲しいの...悲しいわ...。」

    この人はなんてきれいなんだろう。僕は思った。
    彼女の涙もキラキラと揺れている。
    彼女は悲しみも幸せも、両方受け止めて、
    もうじきこの湖になってゆく。

    僕はもう彼女に声をかけることはできなかった。
    ...彼女が消えてしまうまで、ずっと目が離せなかった。
    僕はこの世の中で、とても小さな、でも何よりも尊い、
    そんなものを見た気がした。

    僕は湖をのぞき込んだ。
    湖は、底が見えそうなくらい澄みきっていて、
    その水面には、僕の顔がゆらゆらとうつっていた。

  • くろのいし3/13

    2011/06/05

    maro絵本

    と、そのとき、
    「あれ?どうしたんです?道にでも迷ったのですかな?」
    僕はどんなにこの言葉に救われただろう。

    顔を上げると、キチンとした身なりのきつねが立っていた。
    「こんなところに人が来るのは珍しいですね。
    立ち話もなんですから、ご飯でも一緒にいかがです?
    今、僕の知り合いがやっているレストランに 行くところなんです。」

    僕はついていくことにした。
    僕は彼がいなきゃ、不安におしつぶされて、 立つこともできなかっただろう。

    「今向かっている店は、名のあるレストランでしてね、
    そこのシェフは私の友人なんですよ。
    いつもお世話になっているんですよ。ハハハ。
    私の会社の従業員もよく使わせてもらっているんです。
    少しここから距離がありますが、そこの料理は絶品 なんですよ。」
    きつねはしゃべりながら、機嫌よく、 フンフンとリズムをとりながら歩いていた。



    しばらくして、
    「...しいの。...しいわ。」
    声が聞こえる。
    それはとても小さな、今にも消え入りそうで、 でも美しい歌うような声だった。

    「ちょっと見に行ってもいいですか?」
    きつねに聞くと、
    「ええどうぞ。」
    と、きつねは愛想よく答えた。

    僕は声をする方に近づいた。
    すると、湖の真ん中に、透き通った女の人が顔を出し、 お日様に向かってゆれていた。
    「この湖は私の涙。私も一緒にどんどんとけて、 この湖の水になるの。
    悲しいの...悲しいわ...。」
    彼女は独り言のように言った。

    「あなたはなぜこんな姿なのです?」

  • くろのいし2/13

    2011/06/05

    maro絵本

    ドドドドドド!

    「?」

    振り向く間もないまま、 僕は細い道に押されていく。

    「何だ?待ってくれ。僕はまだどっちに 行くか決めてないんだ。」
    周りを見ると、たくさんの羊たちが、 すごい勢いで細い道に流れ込んだ。

    そのたくさんの背中に僕は運ばれ、 太い道が遥か遠くにやっと見えるくらいの 場所まできてしまった。
    もう戻るには遠すぎる。


    僕を運んできたたくさんの羊たちは、 それぞれの囲いに帰っていった。
    この道を引き返した方がいいのか、 進んだ方がいいのか...。
    僕はどっちにも決められず、 道ばたに座り込んでしまった。

    このままずっと誰もこなかったらどうしよう。
    僕はひとりぼっちになってしまった。

    僕はあの太い道を歩くたくさん人たちの落ちこぼれ なんだ。

  • くろのいし1/13

    2011/06/05

    maro絵本

    突然、見たこともない道のど真ん中に僕はいた。
    道はまっすぐ続いている。
    ふりかえっても、まっすぐな道が続くだけ。

    「なんでこんなところにいるんだ?僕...」

    仕方ない。僕は進んでみることにした。

    気がつくと知らない人たちが僕の周りをまっすぐに
    歩いていた。
    だんだん人は多くなっていく。
    「あ、二手に道が分かれている。」
    太い道と細い道。
    周りを歩いている人たちすべてが、 太い道に向かって歩いている。

    「細い道には何があるんだろう。
    行ってみたいけれど、他の人と同じ方が 安心だし...どうしよう。」

  • カガミ

    私は数年前、父を憎んでいた時期がある。
    そんな私は、そのことで自己嫌悪しながら
    本当に傷ついて、心がものすごく痛かった。

    そんなとき、無意識にしていたのが、
    家族や友人などに一方的な贈り物。

    そんなことをすることで自己満足したかったという、
    恩着せがましいひどい理由。
    そして、相手にとって
    『いてほしい存在』になりたかった。

    鏡みたいなもんで、自分が人を憎んでいると、
    周りの人も理由もなく私を憎んでいるように感じるし、
    人に優しい気持ちをもつと、
    相手もそう思ってくれてるように感じた。

    相手の気持ちを直接聞くこと以上に、
    他の人も優しい気持ちを
    もってくれているという妄想が、
    『私の周り、敵ばっか!』
    って気持ちが、
    『そんな嫌な風には思われてないかも?』
    に変わってちょっとホッとした。


    相手の反応に関わらず、
    人を本当に好きだったり大切にすることで
    結構味方に見えくるもんで、
    それでやっとホッとできた私…


    今回はそんな話。

  • ナミダをためる

    2011/06/03

    maro日記

    もし一生分の涙をためたとしたら、
    どれくらいの量になるだろうか?

    悲しかったり、嬉しかったり、
    悔しかったり、ホッとしたり、
    いろんな感情の波が涙になってこぼれていく。

    そんな涙を瓶に集めてみる。

    きっとその涙の量が、私の一生分の
    感動なんだと思う。

    たくさんたくさん心を動かして、
    たくさんたくさん涙を流して、
    私は生きていたい。

    いろんな感情をたくさん感じることが、
    私にとっての『生きる』ってことだと思うからね!

  • ネコマクラ

    私の飼い猫ダ君は、人みたいに
    マクラに頭をのせて仰向けで眠る。

    可愛かったので、写メをのせておく。
    ムフフ…


    6月からmaro日記でイラストつきのブログを
    書き始めたんだけれど、どうだろう?

    誰かに頼まれるとかじゃなく、
    純粋に自分が描きたい絵を描くことが、
    本当に少なくなっていた。、
    小さいときから学生になってもずっと、
    人に見せられるようなもんじゃないけど、
    ずっと好き勝手に絵を描いていた時みたいなことが
    今できることがなかなか楽しいなあと思いながら、
    何とか続けていきたいと思っている。

    しかしながら、何回かブログで書いたような
    内容になってしまってる。
    まあ、それだけ強く思ってるってことで
    見ていただければと思う。


    どうか、優しい気持ちで見守ってください。

    何とかやってみるよ私!!

  • フカフカ人間

    2011/06/02

    maro日記

    私にとっての幸せってなんだろう?
    …ということは、ちょっと答えにくいものだ。
    不幸ということを考えることの方が早い気がする。

    私は少し前、自分はものすごく不幸だと思っていた。
    不幸っていうのも、人それぞれだと思うのだけれど、
    私にとっての不幸は、孤独と自信のなさ
    …を通り越して自己嫌悪だった。
    私なりに頑張ろうとしているだけに、
    周りに認めてもらえないことで、
    自分さえも自分の味方じゃない状態…。

    そんなとき、私自身、いったいどんな救いが欲しいのか、
    何を言ってもらいたいのかを
    結構真剣にあのときは考えていた。

    そんな私の欲しいものは、
    大きくて、毛布みたいにフカフカで、
    寄りかかれる、私を私のまま受け入れてくれる
    そんな存在だった。

    つまりこれがあれば私は幸せなのだ。


    そして今思うことは、
    誰かにとってのフカフカ野郎に私はなりたい。

  • running!!

    2011/06/01

    maro日記

    久しぶりにジョギングしてみた

    外も暗くなって 音楽を聴きながら走ると、
    周りもあんまり見えなくて息があがってきても
    音楽に集中するもんだから 割とラクなのだ

    なんで走ってみたのかというと…

    毎日がずっとだるくて 頭がはっきりしないまま
    とりあえず… とりあえず…
    そんな生活が続いている
    きっと私の体中が眠ったまま生活をしているに違いない!

    …と そこで 体を起こすために汗をかくことにしたのだ

    きっとモヤモヤしたヤツが 走っているうちに
    体の中からピョーンとでていったのだ
    スッキリさっぱり!! やる気も出た!!

    …ような気がする 本当に!!

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