白羽喜百合

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白羽喜百合

グラフィックデザイナー

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junction

by 白羽喜百合

  • i製作期間

    2006/10

  • iコメント

    とにかく急いでいた、ハンドルを握る頭の中は、東京に着いた後のことを考えていた。
    インターチェンジに入り、進む先にはY字の分岐点、右へ行けば東京方面(上り線)だ。
    視覚神経から脳の伝達神経に移行するほんの僅かな瞬間、左の名古屋方面(下り線)の標識文字が目に入った。同時に、意識は『右が東京だな... 』と、はっきりと働いていたはずだった。

    しかし次の瞬間、左にハンドルを切る !!
    当の本人がワケが分からない——意識と肉体が分離したのは、それが初めてだった。
    幸い後続車もなく難もなかったが、嗚呼危険。

    Uターンができないのが高速道路。次のインターチェンジで降り、再び入り直さなければならない。
    その間約20分。今度は間違えずに東京方面へ向う。料金も時間も加算だなと凹みつつ、途中、先に上下線を間違えた地点も無事に通過する。
    さらに20分ほど進むと、前方の車から低速徐行が始まっていた。——何だろう? その先を見るとどうやら事故のようだ。三車線の中央を塞ぎ、車底をみせひっくり返ったワンボックス・カーが見えた。
    運転手の主とそのご家族全員はすでに車から脱しており、ケガをしていたが、救急車待ちで無事のようだった。路面には車窓ガラスの破片が散乱していた。

    タイムテーブルは合わないが、先に起こった神経混乱の意味が、もしやこの事故にあったのでは? とよぎった。

    予知の趣味はないし、普段“人間万事塞翁が馬”だと思っている自分に、もし抑制力が働いたなら、ありがたいことだ。ただ、その代わりに遭われる方が要るというパラドックスならその限りではなく、残念で、反って不気味だ。
    “人間万事がこの調子”も、コトと次第によっては困るわけです。  ま、単なる疲労話ということで……。

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    とにかく急いでいた、ハンドルを握る頭の中は、東京に着いた後のことを考えていた。
    インターチェンジに入り、進む先にはY字の分岐点、右へ行けば東京方面(上り線)だ。
    視覚神経から脳の伝達神経に移行するほんの僅かな瞬間、左の名古屋方面(下り線)の標識文字が目に入った。同時に、意識は『右が東京だな... 』と、はっきりと働いていたはずだった。

    しかし次の瞬間、左にハンドルを切る !!
    当の本人がワケが分からない——意識と肉体が分離したのは、それが初めてだった。
    幸い後続車もなく難もなかったが、嗚呼危険。

    Uターンができないのが高速道路。次のインターチェンジで降り、再び入り直さなければならない。
    その間約20分。今度は間違えずに東京方面へ向う。料金も時間も加算だなと凹みつつ、途中、先に上下線を間違えた地点も無事に通過する。
    さらに20分ほど進むと、前方の車から低速徐行が始まっていた。——何だろう? その先を見るとどうやら事故のようだ。三車線の中央を塞ぎ、車底をみせひっくり返ったワンボックス・カーが見えた。
    運転手の主とそのご家族全員はすでに車から脱しており、ケガをしていたが、救急車待ちで無事のようだった。路面には車窓ガラスの破片が散乱していた。

    タイムテーブルは合わないが、先に起こった神経混乱の意味が、もしやこの事故にあったのでは? とよぎった。

    予知の趣味はないし、普段“人間万事塞翁が馬”だと思っている自分に、もし抑制力が働いたなら、ありがたいことだ。ただ、その代わりに遭われる方が要るというパラドックスならその限りではなく、残念で、反って不気味だ。
    “人間万事がこの調子”も、コトと次第によっては困るわけです。  ま、単なる疲労話ということで……。

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published : 2009/01/28

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