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画家 イラストレーター デザ...

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© KONDO HIROYUKI

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From death

by kh

  • iコンセプト

    全部、僕の被害妄想で、ただの悪夢だったのか_。



    ____________


    夢に魘され、飛び起きた。


    嫌な汗が身体中にへばりついていて、悪夢と一緒に洗い流したい。

    しかし…。

    ……はて?

    夢の内容は思い出せない。
    頭を掻きながら、思い出そうと試みる。
    ただ、悪夢だったとしか
    脳裡に焼き付いていなかった。



    ~思い出せない夢の内容~

    流星のように流れてきたものが
    上空で炸裂した。

    真下にいた者は、熱で消し飛んだ。
    一瞬の事で死んだかもよく分からなかったそうな。

    黒い影が辺りを歩き回る。
    生きているのか死んでいるのか。分からぬまま、さ迷う。

    近隣の者は、爆風に吹き飛び、飛び出た金具に体が突き刺さった。
    心の臓を貫き、体と心を刺し殺した。
    自分の肉がドロリと崩れ落ちる。
    骨が剥き出しになる。

    黒い風が吹く。灰になった肉塊が風に流れた。

    炸裂した光により眼球は焼け、見えなくなった。。
    鼻の肉は溶け、骨が剥き出しだ。

    血を吐き、ゲロを吐き、糞尿は垂れ流し。
    自分の体が痛い!

    怒りはない。
    ただ、憎しみが込み上げる。憎しみが込み上げる。自分の体がある事に!

    体が痛い、心が痛い。
    あぁ、もう嫌だ。

    体の肉がまたこぼれた。涙が出る変わりに、目から血液が流れた。赤黒かった。

    黒い雨が降り落ち始める。
    誰のための黒い暗い雨だろう。
    ならば、俺は黒い虹を待とう。いつまでも。

    体が膿臭い。全身を洗い流したい!
    肉がまたこぼれる。

    嫌だ、嫌だ、嫌だ、生きたい!生きたい!生きたい!

    手がない、脚がない、口がない、髪の毛がない。
    死ぬのか?死ぬのか!
    嫌だ嫌だ。
    呼吸するたび、血と膿の臭い、肉が焦げた悪臭がする。

    まばたきするたび、日付が変わっている気がした。

    生きたい。
    青い空を見上げて、生きたい。
    もうたくさんで懲り懲りな光景だ。

    隣で死んでいった。。。
    下半身がなかった。
    左を向けば、頭があったであろう半分が
    無くなっていた。
    亡くなっていった…
    泣くなって言った。言われた。
    泣く以外なかったよ。

    半裸の女性が立ち上がり、よろよろと歩いたのち、倒れた。
    呻き声を上げたのち動かなくなった。

    ぼんやりと、灰色の空を眺め、目を閉じた。

    神様……………。
    いつもより強く念じる。
    好きな子に話し掛ける時や、願い事を叶えて欲しい時くらいしか、使わない言葉だ。

    でも、今回は更にその上をいく気持ちを爛れた肉と共に込めた。

    世界平和なんか、どうだっていい。無くたっていい。でも、
    後世まで、運びたくないよ。
    こんな想いを運びたくないよ。繋げたくないよ。

    体から、熱が引くのが分かる。
    すると、氷のように冷えてきた。
    膿の臭いがしなくなった。
    治った…。五体満足に戻ったんだ。
    嬉しさに飛び上がった。
    体を超えて、宙を跳ねていく。

    体は死体の山の一つになっていったのだった。
    俺はその中の一人で、たくさんの中の一人ぼっちになった。


    悪魔のような、どす黒い虹が、放射線を浴びながら
    放物線を描いて俺の痛々しい遺体を連れていった。



    背後にいた黒い猫が「にゃあ。」と啼いた。




    ~~~~~~~~~~


    残響が辺りに響き渡る。
    何の音か分からない。


    僕はいまだ、夢の内容を思い出せずにいた。
    ただ、
    例えば僕の肋骨から女性を生み出せたとして。
    この木から出来た、謎の果実を食べてしまったとして。
    この場から追放されたとして。

    この先の世界を想像し創造した時、
    本当に愛や絆、友情ある世界になるのだろうか?

    否、………僕にはまったく想像出来なかった。
    世界征服であるなら、容易に考えが付くものの、
    世界平和というものがある世界は、まったく想像出来なかった。

    今日も謎の呼び声に応答しない僕。

    天から舌打ちが聞こえた気がした。

    流れ星が遠くで泳いでいる。
    「まるで空泳ぐ生殖体だな。」と呟いた。
    僕はロマンの欠片もあったもんじゃないな、とひとり皮肉を呟き、鼻で笑った。


    黒猫が背後を歩き、僕を見つめている。


    ______

    Dear birth

    君への手紙はこれで何通目になるだろうか?
    僕は手紙で、真実を伝えているつもりだが、
    偽りかもしれない。


    受け取り手によって、それは変わってしまうものだと考えている。

    君はどちら側だろう?


    どちらにしても今回も、真実を君に向けて書くよ。

    君に伝えなければならない事があったが、思い出せない。それは昨夜見た夢の内容なんだが。

    それは、とてつもなく恐ろしい夢だった。
    それが、本当にただの悪夢で、安易で容易な子供の考える被害妄想のようなものだったら良いんだ。
    だけど、万が一現実に起こる事だとしたらと思うと、いてもたっても居られなくなった。

    しかし、思い出せない。本当なんだ。

    その部分だけ、誰かに消されてしまったみたいに、思い出せない。

    抽象的な手紙になって本当にすまない。思い出せたら、すぐ君に届けるよ。

    そろそろ時間だ。
    今日も夜更けが、来る。

    また君に向けて手紙を書く。
    それでは、また。



    From death

    _______




    この森を抜ける事が出来るのか。
    どうやら、僕は何度も同じ道を歩いているようだった。

    いつも、不思議なタイミングで
    眼前に閃光が輝く。
    そうして、気を失うみたいに辺りが暗闇になり、一番初めの場所(それも確かではない事なのだが。)で目が覚めるのだ。

    いつものようにそれが起き、瞬いた。

    …。

    だが、今回は違う…。
    見たこともないものが、目の前に置いてあった。
    ビンだ。中に何か入っている。

    それを取り出し、広げてみた。

    それはbirth(?)という者に送られた手紙のようだった。
    誰の事か分からず、

    読んでいいのか少し躊躇ったが、読むことにした。



    その背中を黒い猫が見つめている事も知らずに。

  • i環境・素材

    ペン、ラメペン、イラストボード

  • i実寸サイズ

    B3サイズ 515 × 364 mm

  • i製作期間

    2011

  • iコメント

    作品は前から完成していたのですが、Dear birthと同様、物語を文章化するのに手こずりました。

  • iライセンス

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by kh

  • iコンセプト

    全部、僕の被害妄想で、ただの悪夢だったのか_。



    ____________


    夢に魘され、飛び起きた。


    嫌な汗が身体中にへばりついていて、悪夢と一緒に洗い流したい。

    しかし…。

    ……はて?

    夢の内容は思い出せない。
    頭を掻きながら、思い出そうと試みる。
    ただ、悪夢だったとしか
    脳裡に焼き付いていなかった。



    ~思い出せない夢の内容~

    流星のように流れてきたものが
    上空で炸裂した。

    真下にいた者は、熱で消し飛んだ。
    一瞬の事で死んだかもよく分からなかったそうな。

    黒い影が辺りを歩き回る。
    生きているのか死んでいるのか。分からぬまま、さ迷う。

    近隣の者は、爆風に吹き飛び、飛び出た金具に体が突き刺さった。
    心の臓を貫き、体と心を刺し殺した。
    自分の肉がドロリと崩れ落ちる。
    骨が剥き出しになる。

    黒い風が吹く。灰になった肉塊が風に流れた。

    炸裂した光により眼球は焼け、見えなくなった。。
    鼻の肉は溶け、骨が剥き出しだ。

    血を吐き、ゲロを吐き、糞尿は垂れ流し。
    自分の体が痛い!

    怒りはない。
    ただ、憎しみが込み上げる。憎しみが込み上げる。自分の体がある事に!

    体が痛い、心が痛い。
    あぁ、もう嫌だ。

    体の肉がまたこぼれた。涙が出る変わりに、目から血液が流れた。赤黒かった。

    黒い雨が降り落ち始める。
    誰のための黒い暗い雨だろう。
    ならば、俺は黒い虹を待とう。いつまでも。

    体が膿臭い。全身を洗い流したい!
    肉がまたこぼれる。

    嫌だ、嫌だ、嫌だ、生きたい!生きたい!生きたい!

    手がない、脚がない、口がない、髪の毛がない。
    死ぬのか?死ぬのか!
    嫌だ嫌だ。
    呼吸するたび、血と膿の臭い、肉が焦げた悪臭がする。

    まばたきするたび、日付が変わっている気がした。

    生きたい。
    青い空を見上げて、生きたい。
    もうたくさんで懲り懲りな光景だ。

    隣で死んでいった。。。
    下半身がなかった。
    左を向けば、頭があったであろう半分が
    無くなっていた。
    亡くなっていった…
    泣くなって言った。言われた。
    泣く以外なかったよ。

    半裸の女性が立ち上がり、よろよろと歩いたのち、倒れた。
    呻き声を上げたのち動かなくなった。

    ぼんやりと、灰色の空を眺め、目を閉じた。

    神様……………。
    いつもより強く念じる。
    好きな子に話し掛ける時や、願い事を叶えて欲しい時くらいしか、使わない言葉だ。

    でも、今回は更にその上をいく気持ちを爛れた肉と共に込めた。

    世界平和なんか、どうだっていい。無くたっていい。でも、
    後世まで、運びたくないよ。
    こんな想いを運びたくないよ。繋げたくないよ。

    体から、熱が引くのが分かる。
    すると、氷のように冷えてきた。
    膿の臭いがしなくなった。
    治った…。五体満足に戻ったんだ。
    嬉しさに飛び上がった。
    体を超えて、宙を跳ねていく。

    体は死体の山の一つになっていったのだった。
    俺はその中の一人で、たくさんの中の一人ぼっちになった。


    悪魔のような、どす黒い虹が、放射線を浴びながら
    放物線を描いて俺の痛々しい遺体を連れていった。



    背後にいた黒い猫が「にゃあ。」と啼いた。




    ~~~~~~~~~~


    残響が辺りに響き渡る。
    何の音か分からない。


    僕はいまだ、夢の内容を思い出せずにいた。
    ただ、
    例えば僕の肋骨から女性を生み出せたとして。
    この木から出来た、謎の果実を食べてしまったとして。
    この場から追放されたとして。

    この先の世界を想像し創造した時、
    本当に愛や絆、友情ある世界になるのだろうか?

    否、………僕にはまったく想像出来なかった。
    世界征服であるなら、容易に考えが付くものの、
    世界平和というものがある世界は、まったく想像出来なかった。

    今日も謎の呼び声に応答しない僕。

    天から舌打ちが聞こえた気がした。

    流れ星が遠くで泳いでいる。
    「まるで空泳ぐ生殖体だな。」と呟いた。
    僕はロマンの欠片もあったもんじゃないな、とひとり皮肉を呟き、鼻で笑った。


    黒猫が背後を歩き、僕を見つめている。


    ______

    Dear birth

    君への手紙はこれで何通目になるだろうか?
    僕は手紙で、真実を伝えているつもりだが、
    偽りかもしれない。


    受け取り手によって、それは変わってしまうものだと考えている。

    君はどちら側だろう?


    どちらにしても今回も、真実を君に向けて書くよ。

    君に伝えなければならない事があったが、思い出せない。それは昨夜見た夢の内容なんだが。

    それは、とてつもなく恐ろしい夢だった。
    それが、本当にただの悪夢で、安易で容易な子供の考える被害妄想のようなものだったら良いんだ。
    だけど、万が一現実に起こる事だとしたらと思うと、いてもたっても居られなくなった。

    しかし、思い出せない。本当なんだ。

    その部分だけ、誰かに消されてしまったみたいに、思い出せない。

    抽象的な手紙になって本当にすまない。思い出せたら、すぐ君に届けるよ。

    そろそろ時間だ。
    今日も夜更けが、来る。

    また君に向けて手紙を書く。
    それでは、また。



    From death

    _______




    この森を抜ける事が出来るのか。
    どうやら、僕は何度も同じ道を歩いているようだった。

    いつも、不思議なタイミングで
    眼前に閃光が輝く。
    そうして、気を失うみたいに辺りが暗闇になり、一番初めの場所(それも確かではない事なのだが。)で目が覚めるのだ。

    いつものようにそれが起き、瞬いた。

    …。

    だが、今回は違う…。
    見たこともないものが、目の前に置いてあった。
    ビンだ。中に何か入っている。

    それを取り出し、広げてみた。

    それはbirth(?)という者に送られた手紙のようだった。
    誰の事か分からず、

    読んでいいのか少し躊躇ったが、読むことにした。



    その背中を黒い猫が見つめている事も知らずに。

  • i環境・素材

    ペン、ラメペン、イラストボード

  • i実寸サイズ

    B3サイズ 515 × 364 mm

  • i製作期間

    2011

  • iコメント

    作品は前から完成していたのですが、Dear birthと同様、物語を文章化するのに手こずりました。

  • iライセンス

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published : 2015/09/26

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