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四コマ映画『スワンソング』

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四コマ映画『スワンソング』

by フクイヒロシ

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    4koma-eiga.jp/fourcell2/entry_...

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    四コマ映画『スワンソング』→4koma-eiga.jp/fourcell2/entry_...

    ■トッド・スティーブンス監督

    とても良い映画。良い映画作家。

    近い将来アカデミー賞作品賞の『Coda コーダ あいのうた』枠でノミネートくらいはされそうなポテンシャルを持った映画作家ですね。

    ライトにも見れるし、セリフで語っていないことがものすごく多くて、実は情報量が豊か。
    永遠に味のするガムのようにいつまででも噛んでいられる奥行きがある。

    しかも軽やか。押し付けがましくない。うっとおしくない。

    で、俳優の演技が全員素晴らしいでしょ。
    で、さらに現状はB級感もある(かなり低予算映画らしい)。

    コーダ枠に入って欲しいわけではないけどその力は絶対にあるし、すでにプロジェクト動いてるはずですよ。

    そもそもウド・キア先生を主演に連れてこれる人ですから。相当。

    ***



    ■「あまり感情表現をしなかった」

    ウド・キア先生のインタビューによると
    「あまり感情表現をしなかった」とのこと。

    「このような物語や流れに起伏がある場合は演じる側が過剰に表現すべきではない」的な。

    だからソファに座ってリタの孫から言葉を聞くときも、パットはノーリアクション。
    でも観客は150%わかるわけよ。パットの気持ちが。それが映画よ。

    ここで感傷的な音楽流したり涙流して抱き合ったりしねーのよ。



    ***



    ■自分にもあったのか

    年老いたゲイが「昔の業界は良かったわ。今の業界はつまんないわ」って愚痴を言う映画だったら、まさかこんなに褒めませんよ。

    主役のパットにはヘアメイクドレッサーとして華やかな時代もあったけど、パートナーも90年代に失って世間から酷い差別も受けて、その辺のおじいさんと見分けがつかないルックスになってひっそりと暮らしている状態(友達もいなそう)。

    楽しかった時代からすると相当な落差。
    常に諦めて生きてきた結果の、冒頭のパットのシーンなんだと思いますよ。
    そんなに寂しそうだったり辛そうなわけではない。
    色々捨ててきた境地なんだろうなという暮らし。

    でも、諦めていたものや寂しく感じることがあったわけよね。

    それが、元親友の死化粧をするという道中(過程)で、自分達が死の恐怖を味わった時代を知らない若い世代が"のびのびゲイ"として暮らしている様子を見て、
    「あぁ自分はそうじゃなかったけど、若い世代が希望を持って生きられる世の中になったことは悪い変化じゃないよな」と思ったわけよね。

    で、「自分はそうじゃなかった」と諦めていたけど、パットは若い世代のゲイからある一言を言われたことで「自分にもあったのか」とハッと気づく、という。

    ほ~ら、良い映画じゃん!

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    ■トッド・スティーブンス監督

    とても良い映画。良い映画作家。

    近い将来アカデミー賞作品賞の『Coda コーダ あいのうた』枠でノミネートくらいはされそうなポテンシャルを持った映画作家ですね。

    ライトにも見れるし、セリフで語っていないことがものすごく多くて、実は情報量が豊か。
    永遠に味のするガムのようにいつまででも噛んでいられる奥行きがある。

    しかも軽やか。押し付けがましくない。うっとおしくない。

    で、俳優の演技が全員素晴らしいでしょ。
    で、さらに現状はB級感もある(かなり低予算映画らしい)。

    コーダ枠に入って欲しいわけではないけどその力は絶対にあるし、すでにプロジェクト動いてるはずですよ。

    そもそもウド・キア先生を主演に連れてこれる人ですから。相当。

    ***



    ■「あまり感情表現をしなかった」

    ウド・キア先生のインタビューによると
    「あまり感情表現をしなかった」とのこと。

    「このような物語や流れに起伏がある場合は演じる側が過剰に表現すべきではない」的な。

    だからソファに座ってリタの孫から言葉を聞くときも、パットはノーリアクション。
    でも観客は150%わかるわけよ。パットの気持ちが。それが映画よ。

    ここで感傷的な音楽流したり涙流して抱き合ったりしねーのよ。



    ***



    ■自分にもあったのか

    年老いたゲイが「昔の業界は良かったわ。今の業界はつまんないわ」って愚痴を言う映画だったら、まさかこんなに褒めませんよ。

    主役のパットにはヘアメイクドレッサーとして華やかな時代もあったけど、パートナーも90年代に失って世間から酷い差別も受けて、その辺のおじいさんと見分けがつかないルックスになってひっそりと暮らしている状態(友達もいなそう)。

    楽しかった時代からすると相当な落差。
    常に諦めて生きてきた結果の、冒頭のパットのシーンなんだと思いますよ。
    そんなに寂しそうだったり辛そうなわけではない。
    色々捨ててきた境地なんだろうなという暮らし。

    でも、諦めていたものや寂しく感じることがあったわけよね。

    それが、元親友の死化粧をするという道中(過程)で、自分達が死の恐怖を味わった時代を知らない若い世代が"のびのびゲイ"として暮らしている様子を見て、
    「あぁ自分はそうじゃなかったけど、若い世代が希望を持って生きられる世の中になったことは悪い変化じゃないよな」と思ったわけよね。

    で、「自分はそうじゃなかった」と諦めていたけど、パットは若い世代のゲイからある一言を言われたことで「自分にもあったのか」とハッと気づく、という。

    ほ~ら、良い映画じゃん!

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published : 2022/09/13

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