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四コマ映画『みんなのヴァカンス』

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四コマ映画『みんなのヴァカンス』

by フクイヒロシ

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    4koma-eiga.jp/fourcell2/entry_...

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    みんなのヴァカンス(2020年製作の映画)
    A l’abordage
    上映日:2022年08月20日
    監督 ギヨーム・ブラック
    脚本 ギヨーム・ブラック カトリーヌ・パイエ
    出演者 エリック・ナンチュアング サリフ・シセ エドゥアール・シュルピス アスマ・メサウデンヌ アナ・ブラゴジェヴィッチ リュシー・ガロ マルタン・メニエ セシル・フイエ ジョルダン・レズギ イリナ・ブラック・ラペルーザ
    まずは8月22日に「最高の映画ですよ」と速報をお知らせしておりました。



    四コマ映画『みんなのヴァカンス』



    目次
    こんな映画が撮れちゃうってことがわかったら他の映画作家は落ち込んじゃうんじゃないの?
    人物がとにかく自由
    以下は加瀬亮さんの言葉
    人種差別
    こんな映画が撮れちゃうってことがわかったら他の映画作家は落ち込んじゃうんじゃないの?
    っていうくらいにずっと奇跡でした。

    アドリブも多いとのことなんですがそれが全然わざとらしくない。アドリブと台本通りのシーンに全く差を感じない。

    画面の奥に映るモブ一人一人も自然。
    モブにありがちな固さがない。ヴァカンスに来た観光客の一人一人にしか見えない。

    画角があるのがもったいなかったです。この画面の外で行われていることにもきっと物語があっただろうと思える映画。

    全然閉ざされていない。


    人物がとにかく自由
    物語の流れ上必要なセリフを言うためだけの人物、みたいなのが1人もいない。人物が物語に消費されていない。

    観客に好かれようなんて思っていない言動をしていく。
    (だけど嫌いにはなんなよね、この人たちを)

    一番好印象であろうシェリフもよく考えてみたら人妻に近づくヤバいやつだし、フェリックスの話では「いつも彼氏持ちや旦那持ち」を相手にしているやつみたいだし、ストレートに心優しいとは言い切れない人物。

    以下は加瀬亮さんの言葉
    「簡単に言っちゃえば不倫なんだけど、エレナにしても結婚して子供を産んで夫の無理解に苦しむという経験を経なければシェリフの魅力には気づかなかったのでは。」

    とユーロスペースでのトークショーにいらした加瀬亮さんが言っておられました。

    この映画を見て「え、これ不倫じゃーん!不倫を擁護する映画だ!」と怒る人はいないのではないでしょうか。

    人物と物語を丁寧に描いてくれていることで、その先の人間らしさを観客は受け取ることができる。



    人種差別
    主役の黒人俳優2人は「黒人であることを強調したくない」と映画作りの前に主張していたそう。

    監督としては、あたかも人種差別がないような世界を描くのはまた不自然である的なことでこの映画では差別描写を幾つが盛り込んでいます。

    が、どれもうっかりしていると気づかない程度。
    差別を描くことがテーマではないけど、差別を描かないこともまた映画としておかしい、的なこともパンフに書かれてました。

    (詳しくはパンフを参照)

    例えば、嘘をつかないと休みを取れない状況であるとか、相乗りアプリに普通に黒人男としてアカウントを作っていたら誰も乗せてくれないから女性のふりして偽垢作る必要があったとか、そもそも車を持ってないとか電車賃が出せないとか、フランスであっても黒人として生活するのが大変であることが実はじわじわと描かれている。

    ただ上記の全てがコメディシーンとして活かされているとことがこの映画の豊かなところ。

    また、主役の黒人青年2人にも白人に対する差別意識がある。そもそも店長は正直に言えば休みをくれるタイプの人だったし、シェリフが高学歴エスカレーターを降りたのは「白人ばかりの学校はいけ好かない」という思い込みがあったから。

    実は誰しもに思い込み(ものによっては差別と言えるレベルの)があって、この映画の中でそれらが少し緩和されていく。

    群像劇とも言えるくらいにそれぞれの物語が勝手に動いているけど、大きな枠としてそれぞれが囚われていたものから少し自由になるという点で共通している。

    だからこそ見終わった時に爽やかな気持ちになったんだと思う。
    割とクズ人間ばかり出てきていたのに彼・彼女らを好きになってまた会いたくなっちゃうのは、この映画を包む力強い明るさがあるからだと思います。

    四コマ映画『みんなのヴァカンス』

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    A l’abordage
    上映日:2022年08月20日
    監督 ギヨーム・ブラック
    脚本 ギヨーム・ブラック カトリーヌ・パイエ
    出演者 エリック・ナンチュアング サリフ・シセ エドゥアール・シュルピス アスマ・メサウデンヌ アナ・ブラゴジェヴィッチ リュシー・ガロ マルタン・メニエ セシル・フイエ ジョルダン・レズギ イリナ・ブラック・ラペルーザ
    まずは8月22日に「最高の映画ですよ」と速報をお知らせしておりました。



    四コマ映画『みんなのヴァカンス』



    目次
    こんな映画が撮れちゃうってことがわかったら他の映画作家は落ち込んじゃうんじゃないの?
    人物がとにかく自由
    以下は加瀬亮さんの言葉
    人種差別
    こんな映画が撮れちゃうってことがわかったら他の映画作家は落ち込んじゃうんじゃないの?
    っていうくらいにずっと奇跡でした。

    アドリブも多いとのことなんですがそれが全然わざとらしくない。アドリブと台本通りのシーンに全く差を感じない。

    画面の奥に映るモブ一人一人も自然。
    モブにありがちな固さがない。ヴァカンスに来た観光客の一人一人にしか見えない。

    画角があるのがもったいなかったです。この画面の外で行われていることにもきっと物語があっただろうと思える映画。

    全然閉ざされていない。


    人物がとにかく自由
    物語の流れ上必要なセリフを言うためだけの人物、みたいなのが1人もいない。人物が物語に消費されていない。

    観客に好かれようなんて思っていない言動をしていく。
    (だけど嫌いにはなんなよね、この人たちを)

    一番好印象であろうシェリフもよく考えてみたら人妻に近づくヤバいやつだし、フェリックスの話では「いつも彼氏持ちや旦那持ち」を相手にしているやつみたいだし、ストレートに心優しいとは言い切れない人物。

    以下は加瀬亮さんの言葉
    「簡単に言っちゃえば不倫なんだけど、エレナにしても結婚して子供を産んで夫の無理解に苦しむという経験を経なければシェリフの魅力には気づかなかったのでは。」

    とユーロスペースでのトークショーにいらした加瀬亮さんが言っておられました。

    この映画を見て「え、これ不倫じゃーん!不倫を擁護する映画だ!」と怒る人はいないのではないでしょうか。

    人物と物語を丁寧に描いてくれていることで、その先の人間らしさを観客は受け取ることができる。



    人種差別
    主役の黒人俳優2人は「黒人であることを強調したくない」と映画作りの前に主張していたそう。

    監督としては、あたかも人種差別がないような世界を描くのはまた不自然である的なことでこの映画では差別描写を幾つが盛り込んでいます。

    が、どれもうっかりしていると気づかない程度。
    差別を描くことがテーマではないけど、差別を描かないこともまた映画としておかしい、的なこともパンフに書かれてました。

    (詳しくはパンフを参照)

    例えば、嘘をつかないと休みを取れない状況であるとか、相乗りアプリに普通に黒人男としてアカウントを作っていたら誰も乗せてくれないから女性のふりして偽垢作る必要があったとか、そもそも車を持ってないとか電車賃が出せないとか、フランスであっても黒人として生活するのが大変であることが実はじわじわと描かれている。

    ただ上記の全てがコメディシーンとして活かされているとことがこの映画の豊かなところ。

    また、主役の黒人青年2人にも白人に対する差別意識がある。そもそも店長は正直に言えば休みをくれるタイプの人だったし、シェリフが高学歴エスカレーターを降りたのは「白人ばかりの学校はいけ好かない」という思い込みがあったから。

    実は誰しもに思い込み(ものによっては差別と言えるレベルの)があって、この映画の中でそれらが少し緩和されていく。

    群像劇とも言えるくらいにそれぞれの物語が勝手に動いているけど、大きな枠としてそれぞれが囚われていたものから少し自由になるという点で共通している。

    だからこそ見終わった時に爽やかな気持ちになったんだと思う。
    割とクズ人間ばかり出てきていたのに彼・彼女らを好きになってまた会いたくなっちゃうのは、この映画を包む力強い明るさがあるからだと思います。

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published : 2022/09/03

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