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【 砂漠の難破船 】
奇妙な難破船だった。
その形状はともかく、
置かれた位置が不可解だった。
海底に沈んでいたわけではない。
海から遠く、大陸の奥深く、
砂漠のド真ん中で座礁していたのだ。
ただし、それを座礁と呼べるとするならば
ではあるが。
「こりゃ、かなり古いな」
調査団の団長が呟く。
「中世の大型帆船みたいですね」
と、若い調査員。
「まったく、信じられん話だ」
「あの旗は?」
「ああ。マンガとしか思えん」
黒地に頭蓋骨および交差した二本の大腿骨。
あまりに典型的な海賊旗である。
舷側には砲門まである。
海賊船と認めるしかあるまい。
「しかし、なんでまた・・・・・・」
団長は途方に暮れる。
「昔、ここが海底だったとか」
「・・・・・・十億年ほど前なら、あるいはな」
砂漠のド真ん中に難破船があるばかり。
「誰か、俺たちの反応を見物して
どこかで笑ってる奴がいそうだな」
団長は、疑わしそうに辺りを見まわすのだった。
難破船
by Tome館長
【 砂漠の難破船 】
奇妙な難破船だった。
その形状はともかく、
置かれた位置が不可解だった。
海底に沈んでいたわけではない。
海から遠く、大陸の奥深く、
砂漠のド真ん中で座礁していたのだ。
ただし、それを座礁と呼べるとするならば
ではあるが。
「こりゃ、かなり古いな」
調査団の団長が呟く。
「中世の大型帆船みたいですね」
と、若い調査員。
「まったく、信じられん話だ」
「あの旗は?」
「ああ。マンガとしか思えん」
黒地に頭蓋骨および交差した二本の大腿骨。
あまりに典型的な海賊旗である。
舷側には砲門まである。
海賊船と認めるしかあるまい。
「しかし、なんでまた・・・・・・」
団長は途方に暮れる。
「昔、ここが海底だったとか」
「・・・・・・十億年ほど前なら、あるいはな」
砂漠のド真ん中に難破船があるばかり。
「誰か、俺たちの反応を見物して
どこかで笑ってる奴がいそうだな」
団長は、疑わしそうに辺りを見まわすのだった。
published : 2013/07/12