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おいらが橋の下へ潜り込んでみると、
そこには先客がいた。
見覚えのない女だった。
「お邪魔するよ」
とりあえず挨拶しておく。
「まったくだね」
迷惑そうな声と表情。
薄暗くてはっきりとは見えないが
女は取り込み中のようだ。
「なにしてんだい?」
つい尋ねてしまう。
「詮索しないで欲しいね」
つれない素振り。
雨足が激しくなってきた。
傘も持たずのにわか雨だった。
「しばらく出られそうもないな」
おいらは黙っていられない。
女は返事もしない。
「近頃、この辺は物騒でな」
おいらは小石を川に投げる。
「知り合いが何人も行方知れずになってんだ」
水かさがいつもより増えている。
すると、この雨雲は上流から来たものか。
「よく喋る男だね」
女は石ころでなにか叩いている。
「あたしが黙らせてやろうか」
骨の折れるような音がした。
つれない素振り
by Tome館長
おいらが橋の下へ潜り込んでみると、
そこには先客がいた。
見覚えのない女だった。
「お邪魔するよ」
とりあえず挨拶しておく。
「まったくだね」
迷惑そうな声と表情。
薄暗くてはっきりとは見えないが
女は取り込み中のようだ。
「なにしてんだい?」
つい尋ねてしまう。
「詮索しないで欲しいね」
つれない素振り。
雨足が激しくなってきた。
傘も持たずのにわか雨だった。
「しばらく出られそうもないな」
おいらは黙っていられない。
女は返事もしない。
「近頃、この辺は物騒でな」
おいらは小石を川に投げる。
「知り合いが何人も行方知れずになってんだ」
水かさがいつもより増えている。
すると、この雨雲は上流から来たものか。
「よく喋る男だね」
女は石ころでなにか叩いている。
「あたしが黙らせてやろうか」
骨の折れるような音がした。
published : 2013/01/11