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サウンド・音楽 > ミュージック

また来てね

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ひとりで世界中を旅していた頃、僕はある女の子と出会った。
僕たちは深く知り合うことになり、一緒に寝たりさえした。

「また来てね」
「うん。そのうちね」

別れ際、そんな口約束をした。

けれど、時は流れ、そのうち僕は旅をやめてしまった。

いや、そうではない。
旅は今でも続いている。

現実の世界の旅ではなく、意識の世界の旅を始めたのだ。

灯りを消した夜の暗闇の中で 僕はひとり瞑想する。
すると、あの旅の途中で出会った女の子が僕の意識の前に姿を現した。

「お久しぶりね」
僕は挨拶どころではない。

「あなた、いつまで待っても来てくれないから こっちから来たのよ」

戸惑うばかりの僕。
「・・・・だって、君は・・・・」

微笑む彼女。
「冗談よ。あたしもあなたに再会できるなんて まさか思ってもみなかったわ」

彼女の説明によると、どうもまだよくわからないのだけれど 
どうやら僕たちの意識はひとつに重なったらしい。

「それじゃ僕たち、好きな時に会えるんだね」
「ええ。お互いに強く意識すればね」

「それは素敵だ!」

「でもね」
彼女、首を横に振る。

「あたし、もう来ないわ」

僕は驚く。
「どうして?」

彼女、僕の意識を見渡しながら、溜息を吐く。
「あたしもう、お邪魔みたいだから」

僕は今さら気づく。
(しまった!)

僕の意識の顔が赤くなる。
僕のまわりは、とても彼女に見せられないようなひどく恥ずかしい意識で一杯で 
現実に溢れ出さんばかりの惨状だったのだ。

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published : 2013/01/05

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