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「ヒロコ」
と僕。
「タカシ」
と彼女。
「お別れだね」
「そう、お別れ」
4月なのに雪が降っていた。
「なごり雪だね」
「花見と雪見が一緒にできるわ」
僕たちは少し笑った。
「お幸せに、ヒロコ」
「うん。タカシもね」
もう彼女と会うことはないだろう。
「キスしよう」
「いいよ」
すぐに返事されて、僕は困ってしまった。
「つ、強く吸うよ」
「いいよ」
「し、舌を入れてもいいかな」
「うん」
「だ、唾液の交換とか」
「もう」
新幹線のドアが閉まってしまった。
ガラス越しに投げキッスする彼女。
両腕を抱えて抱く真似する僕。
そして
彼女は遠いところへ行ってしまった。
これでよかったんだ。
新幹線のドアに唇が挟まれなくて。
お別れ
by Tome館長
「ヒロコ」
と僕。
「タカシ」
と彼女。
「お別れだね」
「そう、お別れ」
4月なのに雪が降っていた。
「なごり雪だね」
「花見と雪見が一緒にできるわ」
僕たちは少し笑った。
「お幸せに、ヒロコ」
「うん。タカシもね」
もう彼女と会うことはないだろう。
「キスしよう」
「いいよ」
すぐに返事されて、僕は困ってしまった。
「つ、強く吸うよ」
「いいよ」
「し、舌を入れてもいいかな」
「うん」
「だ、唾液の交換とか」
「もう」
新幹線のドアが閉まってしまった。
ガラス越しに投げキッスする彼女。
両腕を抱えて抱く真似する僕。
そして
彼女は遠いところへ行ってしまった。
これでよかったんだ。
新幹線のドアに唇が挟まれなくて。
published : 2010/04/21