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家はドーナツ状の森の中央広場にあって
外出する時は森のトンネルを抜けてゆく。
ところが、その日
昼なお暗いトンネルの途中に美女がいて
おれの前に立ちはだかった。
おれは尋ねる。
「こんなとこで、なにしてる?」
美女は両腕を広げて答える。
「通せんぼ」
おれはムッとして
美女を押しのけようと張り手を出す。
その途端
見事な一本背負いで投げられてしまった。
おれは受身で衝撃を最小限に食い止め
なんとか平静を装いながら立ち上がる。
「ふん。小癪な」
小娘に負けてなるものか。
おれは服を脱ぎ
裸になって四股を踏み始めた。
「ふん。粗末な」
吐き捨てるように呟くと
美女も服を脱いで裸になった。
だ、だまされた。
小娘どころではなかった。
美女は悪魔の如く微笑み
天使の如く白き両腕を広げる。
くそっ。
どうしても通らせてはくれないらしい。
森のトンネル
by Tome館長
家はドーナツ状の森の中央広場にあって
外出する時は森のトンネルを抜けてゆく。
ところが、その日
昼なお暗いトンネルの途中に美女がいて
おれの前に立ちはだかった。
おれは尋ねる。
「こんなとこで、なにしてる?」
美女は両腕を広げて答える。
「通せんぼ」
おれはムッとして
美女を押しのけようと張り手を出す。
その途端
見事な一本背負いで投げられてしまった。
おれは受身で衝撃を最小限に食い止め
なんとか平静を装いながら立ち上がる。
「ふん。小癪な」
小娘に負けてなるものか。
おれは服を脱ぎ
裸になって四股を踏み始めた。
「ふん。粗末な」
吐き捨てるように呟くと
美女も服を脱いで裸になった。
だ、だまされた。
小娘どころではなかった。
美女は悪魔の如く微笑み
天使の如く白き両腕を広げる。
くそっ。
どうしても通らせてはくれないらしい。
published : 2010/02/24