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妄想ノスタルジアの権化的な絵描き

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妄想ノスタルジアの権化的な絵描き

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イラストレーション > イラスト

色彩運搬列車に運ばれて来る色は誰かが顧みなくなった色(Paint The World With Second-...

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色彩運搬列車に運ばれて来る色は誰かが顧みなくなった色(Paint Th...

by K-OZAWA

  • iコンセプト

    (とある旅行者の手記より)
    「...この深みのある赤い色は
    熱帯地方で生息する甲虫から抽出された色で
    需要や使い道も割と多い色なんだけど、
    「虫から抽出した」ってだけで
    嫌がるお客さんも多いからね、
    ウチでは値段もかなり低く設定しているんだ。
    別に何の害も毒も無いんだけどね。
    この高値の札が付いている緑も昆虫由来の色なんだけど、
    こちらはそもそもの個体数が少なくて
    抽出出来る量もかなり限られているから
    市場でもかなり高値で取引されているし、
    ウチでもこれ以上値段は下げられないね。
    ...大抵は何の感情も帯びていなかったりするから
    こっちとしては面白味も無いんだけどね。」

    ...先程からずっとバス通り沿いの
    カラーチップを売っている店の店主から、
    店頭に並ぶカラーチップの色一つ一つの
    由来や詳細、市場での扱いや位置付け、
    その他諸々についての説明を
    頼んでもいないのに延々と受け続けている。
    店主はまだ少年と言った年頃のようだが、
    物心つく前から
    『師匠』と呼ばれる人物(どうやら少年の祖父らしい)に
    色についての知識や
    色と一緒に抽出される感情の色の見分け方まで
    叩き込まれたのだそうだ。
    店内にはカラーチップの他にも、
    自ら塗り直したり染め直したと言う
    スケートボードやTシャツ等も取り扱っていた。
    本人曰く「見た目は若造に見えるんだろうけど、
    そんじょそこらのカラーチップ売りとは訳が違う」との事である。
    店の前のバス通りでは、
    専用レーンに書かれた音符を
    一つ一つ拾うようにして走る
    メロディバスから流れて来る音楽や、
    すぐ隣の額縁の中に店を構える
    砂漠の商人の呼び声、
    さらにその隣の青果店では
    野菜を求める沢山の客で
    賑わいを見せていた。

    「...で、この青い色は
    今の技術では再現不可能な特別な彩色を施していた
    骨董品の壺から抽出した色で
    何があったのかまでは知らないけど
    憤怒や嫉妬と言った感情の色も大量に混ざっていたりするんだ。
    珍しい色である事に変わりは無いけど
    そう言う色が混ざってたりするのはよくある事だから、
    そこまで高価な値段は付けられないね。
    ...え?充分高いって?
    あのね、お客さん、人の話聞いてたのかい?
    これでも―」
    店主が何か言いかけたその時、頭上で
    大きなタイフォンの音が鳴った。

    陸橋を見上げれば、
    大量の品物で満杯になった貨車を
    長く連ねた色彩運搬列車が、
    2台の機関車に牽引されてやって来た。
    「何でも最近先進諸国で「ときめかない」と言う理由で、
    「ダンシャク」だか「ギンシャリ」だとか言って
    どういう意味なんだか全然知らないけど、
    とにかく物を捨てるのが流行っているらしいよ。
    そのお陰で今、
    C.T.W.(Colour-Trash World)中には
    主に先進諸国から
    かつてない程の量の沢山の物が、
    あの色彩運搬列車で運ばれて来てるからね。
    その中からどんな色が抽出されて
    ウチにどの位入って来るのか
    楽しみだな~」
    純粋に新たな色を楽しみにしているのか
    それとも何やら皮算用でもしているのか
    店主はしばらくニヤニヤしていた。

    色彩の寄せ集めで出来た
    ツギハギだらけのこの世界で、
    人々は今日も
    空間や心の隙間を埋めたり
    綻びを取り繕うかのようにして
    沢山の物や色を
    求め続けている。
    周りの世界の姿がどれ程変わってしまっても、
    この世界はこれからもずっと
    このまま変わらないのだろう―

    そんな事を考えていたら
    店主がこちらの顔を覗き込んで来てこう言った:
    「...で、それはそうとお客さん、
    何かカラーチップ買ってくの?
    それとも何も買わないのかい?」

    ‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐

    完成後にA4(210×297)サイズ程に切り取った水彩紙に
    水彩絵の具、水彩色鉛筆で描いたもの。

    C.T.W.(Colour-Trash World)で取引されている
    カラーチップの「色」そのものについて
    語っているような絵を
    何処かで描きたかった...と言うのがありました。
    その為にキャプションの文章も説明的で
    長ったらしくなってしまいましたが(汗)、
    ご了承頂ければ...と思います。(滝汗)
    「クリスマスの夜空の向こうに届ける歌声(Sing For The World That Forget To Sing)」と
    並行して描いておりましたが、
    他の絵よりも後に回したりしていた為に
    大幅に制作に時間が掛かった絵ではあります...。(汗)

  • i環境・素材

    水彩絵の具、水彩色鉛筆、水彩紙

  • i実寸サイズ

    A4(210×297)サイズ程

  • i製作期間

    2、3か月は掛かっているのかも知れない。(※他の作品を優先させていた為)

  • iタグ

    水彩イラスト C.T.R. 鉄道イラスト
  • i作品URL

    colourtrash.jimdofree.com/2021...

  • iライセンス

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色彩運搬列車に運ばれて来る色は誰かが顧みなくなった色(Paint Th...

by K-OZAWA

  • iコンセプト

    (とある旅行者の手記より)
    「...この深みのある赤い色は
    熱帯地方で生息する甲虫から抽出された色で
    需要や使い道も割と多い色なんだけど、
    「虫から抽出した」ってだけで
    嫌がるお客さんも多いからね、
    ウチでは値段もかなり低く設定しているんだ。
    別に何の害も毒も無いんだけどね。
    この高値の札が付いている緑も昆虫由来の色なんだけど、
    こちらはそもそもの個体数が少なくて
    抽出出来る量もかなり限られているから
    市場でもかなり高値で取引されているし、
    ウチでもこれ以上値段は下げられないね。
    ...大抵は何の感情も帯びていなかったりするから
    こっちとしては面白味も無いんだけどね。」

    ...先程からずっとバス通り沿いの
    カラーチップを売っている店の店主から、
    店頭に並ぶカラーチップの色一つ一つの
    由来や詳細、市場での扱いや位置付け、
    その他諸々についての説明を
    頼んでもいないのに延々と受け続けている。
    店主はまだ少年と言った年頃のようだが、
    物心つく前から
    『師匠』と呼ばれる人物(どうやら少年の祖父らしい)に
    色についての知識や
    色と一緒に抽出される感情の色の見分け方まで
    叩き込まれたのだそうだ。
    店内にはカラーチップの他にも、
    自ら塗り直したり染め直したと言う
    スケートボードやTシャツ等も取り扱っていた。
    本人曰く「見た目は若造に見えるんだろうけど、
    そんじょそこらのカラーチップ売りとは訳が違う」との事である。
    店の前のバス通りでは、
    専用レーンに書かれた音符を
    一つ一つ拾うようにして走る
    メロディバスから流れて来る音楽や、
    すぐ隣の額縁の中に店を構える
    砂漠の商人の呼び声、
    さらにその隣の青果店では
    野菜を求める沢山の客で
    賑わいを見せていた。

    「...で、この青い色は
    今の技術では再現不可能な特別な彩色を施していた
    骨董品の壺から抽出した色で
    何があったのかまでは知らないけど
    憤怒や嫉妬と言った感情の色も大量に混ざっていたりするんだ。
    珍しい色である事に変わりは無いけど
    そう言う色が混ざってたりするのはよくある事だから、
    そこまで高価な値段は付けられないね。
    ...え?充分高いって?
    あのね、お客さん、人の話聞いてたのかい?
    これでも―」
    店主が何か言いかけたその時、頭上で
    大きなタイフォンの音が鳴った。

    陸橋を見上げれば、
    大量の品物で満杯になった貨車を
    長く連ねた色彩運搬列車が、
    2台の機関車に牽引されてやって来た。
    「何でも最近先進諸国で「ときめかない」と言う理由で、
    「ダンシャク」だか「ギンシャリ」だとか言って
    どういう意味なんだか全然知らないけど、
    とにかく物を捨てるのが流行っているらしいよ。
    そのお陰で今、
    C.T.W.(Colour-Trash World)中には
    主に先進諸国から
    かつてない程の量の沢山の物が、
    あの色彩運搬列車で運ばれて来てるからね。
    その中からどんな色が抽出されて
    ウチにどの位入って来るのか
    楽しみだな~」
    純粋に新たな色を楽しみにしているのか
    それとも何やら皮算用でもしているのか
    店主はしばらくニヤニヤしていた。

    色彩の寄せ集めで出来た
    ツギハギだらけのこの世界で、
    人々は今日も
    空間や心の隙間を埋めたり
    綻びを取り繕うかのようにして
    沢山の物や色を
    求め続けている。
    周りの世界の姿がどれ程変わってしまっても、
    この世界はこれからもずっと
    このまま変わらないのだろう―

    そんな事を考えていたら
    店主がこちらの顔を覗き込んで来てこう言った:
    「...で、それはそうとお客さん、
    何かカラーチップ買ってくの?
    それとも何も買わないのかい?」

    ‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐

    完成後にA4(210×297)サイズ程に切り取った水彩紙に
    水彩絵の具、水彩色鉛筆で描いたもの。

    C.T.W.(Colour-Trash World)で取引されている
    カラーチップの「色」そのものについて
    語っているような絵を
    何処かで描きたかった...と言うのがありました。
    その為にキャプションの文章も説明的で
    長ったらしくなってしまいましたが(汗)、
    ご了承頂ければ...と思います。(滝汗)
    「クリスマスの夜空の向こうに届ける歌声(Sing For The World That Forget To Sing)」と
    並行して描いておりましたが、
    他の絵よりも後に回したりしていた為に
    大幅に制作に時間が掛かった絵ではあります...。(汗)

  • i環境・素材

    水彩絵の具、水彩色鉛筆、水彩紙

  • i実寸サイズ

    A4(210×297)サイズ程

  • i製作期間

    2、3か月は掛かっているのかも知れない。(※他の作品を優先させていた為)

  • iタグ

    水彩イラスト C.T.R. 鉄道イラスト
  • i作品URL

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published : 2021/12/30

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