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宝塚造形芸術大学

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兵庫県西宮市
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    は最近こっちにかいてます。
    life +shoes art=water,fish

  • まどの先生

    なにげなく自転車で街を散策すると、胸がいっぱいになる。
    過去の匂いがそこらじゅうに漂っているからだ。
    小学校の時に少しの間、自転車で通ったお絵描き教室への道中で匂いは深まった。
    記憶の扉は案外軽くて、嘘つきかもしれない。
    先生はエキゾチックな顔立ちで、それに合わせたように不思議な人だった。
    先生の押し入れにはフランス人形が沢山入っていて不気味に思ったことを覚えてる。
    絵は売りたくないけどすぐに画商がとっていっちゃうのよ。
    と悲しそうな顔でよく言っていた。
    たしかに彼女の描く人形はどれも生々しく、愛らしく、どこか悲しい。
    彼女の何重にもなった妖艶な目と人形の目はどこか似ていた。
    そして、よく小さな妖精が見えるといい、枕元でピョンピョン飛んでるのといっていた。子供だったわたしは、妖精が本当にいるのね、ティンカーベルかなと思ったりもした。
    そして今でも枕元で跳ね回る妖精がいるんじゃないかと疑ってる。
    彼女はあまり来ない私をいつでも覚えていてくれたし、喜んで迎えてくれた。
    わたしはそこに居心地の良さを感じながら、孤独からは抜け出せなかった。
    彼女の夫もまた画家で、もう描くものがないから死んだのよと、彼女はいったらしい。
    わたしはその時、犬がほしくて、犬の絵ばかり描いていた。単純すぎるのは今と変わらない。今その絵はトイレにある。どことなく、今の犬に似てるような似てないような。
    その頃も、今も、きっと、考えてるようで、なにも考えてないのだと思う。

  • ヤノマミ

    ヤノマミというアマゾンに住む民族の女性は、平均14才と若くして子供を生むが、
    生んですぐに人間として育てるか、精霊として、シロアリに食べさせるかを
    生んだ本人が決断しなければならない。
    同じものはひとつもなくて、一度外にだしたものはかえってこない。
    精霊として差し出した女子の家からは、たいてい、その夜、泣き声が響く。
    それはもう二度と生まれない、たしかな命だったことを表す。
    消えてしまうことは、消せないことのようだ。

  • 座るための石は重くて冷たい

    映画を死ぬほど観る時は、なにも考えたくない時、自分から距離を置きたい時なのかもしれない。自分にうんざりすると違う人生について考えてみたくなる。現実に戻る前に、すかさず違う人生を刷り込む。映像を流し続けることで、非日常への一歩を踏み出した気持ちになって、夜の夢を見続けてるような感覚から抜け出せずに、時間の感覚もズレはじめる。そういうのを繰り返して今のわたしが形成されいて、ようするに、無茶苦茶なのかも。
    だけど、沢山の時間をかけて、自分が本当に愛しているものを蓄積すれば自分が何者なのか見えてくると思う。
    昨日みた映画にこんな言葉があった。
    「若者は完全な愛を求め、
    年を経た者ははぎれを縫い合わせ、色の重なり合いの中に美しさを見いだす」

  • gossip

    ブルーのアイシャドウが鮮やかに煌めく

    白髪は透き通り 髪の向こうに

    明日を映し出す   
     
    真っ赤な口紅は 潤いを保てずに 悶え苦しみ

    新たな深紅を生み出そうとしていた

    大きな肩幅を隠すために後ろでそっと腕をつかむ

    目線は 斜め下が好ましく 美しい

    顔から首にかけて 無数の三角形がちらばる 

    おかっぱ頭と白い肌にその三角形はよく栄えることを

    私はよく知っている


    金属に映る歪んだ世界は 現実の世界となんら変わりはない


    そう想って

    帽子のかわりにランプの傘をかぶり

    外に飛び出した



    近所の家の中では 下着姿の女二人が罵倒し合い 

    殴り掛かろうとしていて

    道ばたに捨ててある椅子にはうっすらおばあさんの陰が

    見えた けれども それはモノクロの世界の話


    今はカラフルな世界の話の途中


    段ボール箱にいれられた女は丸裸で

    おなかを空かせていた

    家に連れて帰り

    その女にペパーミント色のワンピースを着せてあげた

    女は嬉しそうだった 朝にはどこかに出かけていき

    もう二度と帰ってはこなかった

    なにも言い残さなかった

    それでもいいと想った

    その想いは 檸檬イエローと少量のガドニウムレッド

    で出来ている

    家をゆっくりと見渡すと

    セルリアンブルーのカーペットには横たわる胎児がいて

    ローズマダーのソファーには真っ赤な口紅で

    「死」「女」と書かれてある

    ガドニウムイエローの電子レンジには弾けとんだ生卵

    シルバーホワイトのテーブルには鳥のいない鳥籠があった



    どれも目を覆いたくなるほど鮮やかなのに

    急に 目の前に白い世界が広がり

    気を失う 

  • もしも

    2008/07/16

    写真

    雨がよく降る日に会った

    だから雨の日が好きなった

    好きか?とよく聞かれた

    好きだと答えたけど

    好きがなにか分からなかった

    空っぽだった

    居場所がなくても平気だった

    その時はあなたがいたからなのかな

    いつでも俺がいるよといってくれた

    だけど私はその優しさを素直に喜ぶことはできなかった

    大きくて真っ直ぐで それが返って辛かった

    愛されることがいまだ怖い

    そんな中

    連絡は途絶えた

    繋がらない電話は1日続き

    繋がらない電話が繋がった時

    あなたは静かに私の名前を呼び こう云った

    もう目が見えなくなるんだって

    すこし笑いながら悲しそうにたしかにそう云った

    それからあなたは連絡してこなくなった

    もし逆の立場ならあなたは私を見捨てなかったのに

    暖かいお湯にどっぷりはまった私は

    まだお湯の中にいて 腰をあげる勇気もなく

    ふやけた手足を見つめ続ける



    今日も雨だ

  • 児戯のたわむれ

    言葉を交わさず 目で会話したいと
    グリーンの目を持つお爺さんは

    静かな少し冷たい風が吹いた後 ゆっくり私に言った

    恥ずかしくて目が見れない

    うつむく

    苦いエスプレッソがワンピースに
    こっそり住んでいるのを見て見ぬフリをする

    頭に止めたカラーピンは勝手に歩き出し
    バッテンを作って遊びだした


    持て余す手をポケットに入れかき混ぜる

    どうしよう が

    メレンゲみたいにどんどん膨らんで溢れ出てしまった

    メレンゲは形を変えず堂々と私を見てる

    また目を合わせられない

    口には赤い大きなアメ玉を頬張ってなかなか溶けない

    アメ玉はどんどん大きくなる 苦しい

    体が熱い 溶けそうだ

    居たたまれずに

    目をぎゅっと閉じる

    螺旋階段が現れ 上ると一段一段綺麗な音がした

    固いけど柔らかさと優しさを持ち合わせた階段だった

    心が音に共鳴して 心がわずかに震えた



    ふいに 階段から飛び降りたくなって 飛び降りた




    体はとても軽かった



    死にたいわけじゃないのに なんでだろう


    目を開けるとお爺さんは泣いていた

    そして私の目からも涙がこぼれ落ちた



    涙はアールグレイの匂いがした

    お爺さんのセーターからは焦げた焼きたてのパンの匂いがした

  • 非ファッショナブルを目指して 日々 現実逃走


    蝶の怪しげな光に吸い込まれて森に迷い込む

    音のない世界は炭酸のぬけたコーラの味がする

    錆びてはげた白いベンチもどこか懐かしい

    瞬きをする度にカメラのシャッター音が森中に響きわたる

    あなたがもし目を閉じたなら 舌をかんでやる

    そう思ってふと立ち止まると

    昔感じた苦い思い出の匂いがした

    それは苦いはずなのに

    どこか生暖かく優しげなレッドブラウンに包まれてた



    懐かしがる暇もなく底がぬけ落ちる



    目を開けると口を一文字にした小さな女の子が

    金魚鉢を眺めてる

    中にはプラスチックの金魚が浮いていて

    まるで死んでいるみたいだった

    水は青い絵の具をいれたかのように青々としている

     本物の金魚は心臓の中で泳いでいるの

    と女の子はポツリと言った途端

    女の子の体から水とビー玉と真っ赤な金魚がどっと溢れでた

    ほらね と言い 女の子はどこかにいってしまった

    金魚は苦しそうに口をパクパクしている 

    息が出来ないのならばいっそ止まればいいのに

    私までも息苦しくなった頃 夜がドアをノックする

    開けたくないのに 
    開けなければならない

    ドアを開けると誰かに黒い布をかぶせられ連れて行かれる

    どこかに向かう途中 体を揺らしながら思う

    なにが起きても怖くない

     

    ただ本当に怖いのは自分がだれなのか知ってしまうことだ

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