揶白 (KF)

絵画

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  • もしもし?

    また良い詩を見つけた。

    数日前、

     

     

    ジーコロ、ジーコロ…
    ジリリリリン!
    ジリリリリン!

    ”もしもし?
    王子様ですか?
    こちら遠方のお姫様です”

    ー壊れた古い黒電話を使って、
    女が一人遊びしています

    ”ここはサラサラと砂漠の果ての、
    棘だつ白巻貝の奥、
    螺旋階段を上がった、
    塔の奥の部屋から掛けています”

    ”砂の舞う日々に豹のしなやかさで
    スムースに心を盗む獣のように
    風が躍り出て、
    その調べに乗っては知らせが
    ムスクのように香ります”

    ”ああ、あなたの孤独と愛を思う心が
    灰枯れた天空を舞い、疾駆して、
    絨毯爆撃する無数の平和の鳩です
    金管楽器が高らかに鳴りたくて
    指揮者の指示待ちをして、
    神妙な顔でスタンバイしています”

    ”世界が気配に満ちていると教えてくれたのは
    雨を聴く少女のような老母です
    冬の閉ざされた窓の傍で
    私たちは刺繍をしながら何杯めかのお茶を飲みます
    すると澱んだ雲が垂れこめて
    頭上に雨を降らすぞ、とえばるので
    私と母は腕まくりをして、
    次々と雨戸を閉め
    この白巻貝の城を守ります
    私たちの心は閉じられ、開いています
    雨となって滲むなら
    冷たさと体温の両方を感じられるでしょう”
    ”風が強くなってきました
    世は情け
    濡れた指や頬や唇を甘く感じるのは雨が冷たいから
    私が温かいことが輝くと思われますか”
    ”おちこちで微笑みが羽をつけて呼吸しています
    あの呼吸する扉は蝶番が涙で出来ているそうです
    女が炎や桃や桜を思い
    頬を染める代わりに微笑むと
    マニキュアを塗ります
    それを知る優しい男は
    皆、胸に懐剣とハンカチを折りたたみ
    顎を引いて子供時代の夕暮れを惜しんでいます”
    ”姫や王子の祝福は幼心の、
    シロツメクサの王冠の祝福です
    夕暮れがその白を朱に染めるとき
    口寂しくて飴を噛んでしまう女の心に
    迷い蝶がそっと留まることでしょう”
    ”この塔は夕暮れに朱く身を捩らせて
    ひたぶる慈悲の雨の幻影を
    まぶたに思い出し、
    その先の解ける蕾と少女の面差しを手毬して鳴り続けます
    そして巻貝の塔は
    そっと冬枯れた砂漠に瞳を戻し、
    ただ静かに細かな風砂に打たれ続けるのです

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