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イラストレーション > アニメ・漫画

四コマ映画『C.R.A.Z.Y.』

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四コマ映画『C.R.A.Z.Y.』

by フクイヒロシ

  • iコメント

    C.R.A.Z.Y. 上映日:2022年07月29日製作国:カナダモロッコ上映時間:129分
    監督 ジャン=マルク・ヴァレ
    脚本 フランコイズ・ボウレイ ジャン=マルク・ヴァレ
    出演者 ミシェル・コテ マルク=アンドレ・グロンダン ダニエル・プロル マイケル・ゴードン

    目次
    急逝されたジャン=マルク・ヴァレ監督
    クリスマスに生まれたゲイの少年
    この映画の面白さ、魅力
    男ばかり5人兄弟
    1960~70年代のカナダ・ケベックの文化風土
    宗教によって守られるもの、排除されるもの
    あくまでもカメラは客観的
    急逝されたジャン=マルク・ヴァレ監督
    オスカー受賞作『ダラス・バイヤーズクラブ』や『わたしに会うまでの1600キロ』、『雨の日は会えない、晴れた日は君を想う』などの映画監督ジャン=マルク・ヴァレは、2021年12月25日に亡くなりました。享年58歳でした。

    12日25日、クリスマスに。

    そのジャン=マルク・ヴァレがクリスマスに生まれた少年を描いた『C.R.A.Z.Y』(2005)がついに日本で劇場公開されます。

    クリスマスに生まれたゲイの少年
    この『C.R.A.Z.Y』では、毎年自分の誕生日を祝う前にキリストの生誕を祝うために家族で教会へ行き、
    キリストの分まで?と思うほどに大量で大きなプレゼントをもらう誕生日のシーンが何度も描かれます。

    その少年ザックはどうやらゲイです。
    幼い頃から女の子が好きとされるものを好み、母はそれを与えようとしますが、保守的で厳格な父は自分の理想の「男らしい」息子に育てようと企てます。

    キリスト教を厳格に信仰する保守的な家族(両親と男ばかりの5人兄弟!)の中で、自分の性的嗜好は間違ったもので父の期待に背くものであると幼い頃から植え付けられたザックは、少年期を迷いに迷いながらサバイブします。

    この映画の面白さ、魅力
    この映画の面白さ、魅力は「性的指向に悩む少年」問題にだけスポットを当てているわけではないところです。
    これだけでももちろん重要で何度も語り直すべきテーマではあるんですが、
    よくあるっちゃあよくある映画なので。。

    画像1

    男ばかり5人兄弟
    まず男ばかり5人兄弟なんです。
    多いんですよ、5人もいなくていい。。

    基本的には脚本家フランコイズ・ボウレイの自伝とのことですので、フランコイズ・ボウレイさんが男ばかり5人兄弟だったのでしょうか。

    別にそうじゃなくてもいい要素が映画の中に入り込んでいるのは、とても映画を豊かにします。
    (下手な作り手だったら邪魔なだけですが、この映画では魅力になっている)

    5人兄弟(しかも全員男)の中にいることで自分が埋没してしまうことを表してんのかな、とも思うんですが、、、別に少年ザックは5人の中の埋没もしてないし、、「5人もいるなんて多い!」とか「しかも全員男!!」という悩み・不満もザックにはなさそう。。

    もちろん5人兄弟(しかも全員男)の影響はあっただろうけど、
    たとえば一人っ子だったり姉や妹がいる設定であってもザックの根源的には悩みや問題が解決されやすい状態になるわけでもないでしょう。

    これが面白い点ですね。



    1960~70年代のカナダ・ケベックの文化風土
    監督ジャン=マルク・ヴァレが過ごした1960~70年代のカナダ・ケベックの文化風土が背景として描かれています。

    ファッションや音楽、子供たちの遊び場、キリスト教会などタイムスリップしたかのように当時の雰囲気を味わえます。

    美術や音楽が素晴らしい。
    時代によってザックのファッションはガラリと変わっていく。
    けど、保守的な大人たちは何も変わらない。
    同じ服装で同じ歌を歌う。



    宗教によって守られるもの、排除されるもの
    ザックの母もキリスト教を厚く信仰していますが、その前にまずは自分の息子たちを受け入れて愛することができる人。

    父の方は、男は男らしくあらねばならないし、自分の息子であるならば尚更。
    自分の息子がゲイだなんてあり得ないあり得ない。
    父は、自分の家族よりも前に信じて優先するものがある人。

    てことで父も苦しむ。
    自分の子供を受け入れられないんだもん、自分が信じているもののせいで。
    子供よりも大事なものがあるなんて苦しいでしょうよ。

    さらに、「実はそんな父も過去には…」というのを母からサラッと暴露されてしまう。

    この映画はほんとこういうとこが面白いですね。。



    あくまでもカメラは客観的
    主人公はザックだけど、この映画はザックの内面にググッと寄ったりもしない。

    ザックがどういう状況、心情で何に迷い何にトライしようとしているのかはハッキリとはわからない。

    おそらく少年ザックにもわかっていないんだろうから。

    そのリアリティが面白い。

    大人になって思い返してみて
    「あの頃は父の期待に応えるために男らしくなろうとトライしてたなぁ」
    「自分がゲイじゃないことを証明しようとしてたなぁ」
    など、当時は言語化できずにやっていたことが後からきっとそうだったなぁとカテゴライズする。
    (それが正しいかどうかはわかんないけど)

    決めつけず、描きすぎない、いいバランスの個性のある映画だと思います。

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    C.R.A.Z.Y. 上映日:2022年07月29日製作国:カナダモロッコ上映時間:129分
    監督 ジャン=マルク・ヴァレ
    脚本 フランコイズ・ボウレイ ジャン=マルク・ヴァレ
    出演者 ミシェル・コテ マルク=アンドレ・グロンダン ダニエル・プロル マイケル・ゴードン

    目次
    急逝されたジャン=マルク・ヴァレ監督
    クリスマスに生まれたゲイの少年
    この映画の面白さ、魅力
    男ばかり5人兄弟
    1960~70年代のカナダ・ケベックの文化風土
    宗教によって守られるもの、排除されるもの
    あくまでもカメラは客観的
    急逝されたジャン=マルク・ヴァレ監督
    オスカー受賞作『ダラス・バイヤーズクラブ』や『わたしに会うまでの1600キロ』、『雨の日は会えない、晴れた日は君を想う』などの映画監督ジャン=マルク・ヴァレは、2021年12月25日に亡くなりました。享年58歳でした。

    12日25日、クリスマスに。

    そのジャン=マルク・ヴァレがクリスマスに生まれた少年を描いた『C.R.A.Z.Y』(2005)がついに日本で劇場公開されます。

    クリスマスに生まれたゲイの少年
    この『C.R.A.Z.Y』では、毎年自分の誕生日を祝う前にキリストの生誕を祝うために家族で教会へ行き、
    キリストの分まで?と思うほどに大量で大きなプレゼントをもらう誕生日のシーンが何度も描かれます。

    その少年ザックはどうやらゲイです。
    幼い頃から女の子が好きとされるものを好み、母はそれを与えようとしますが、保守的で厳格な父は自分の理想の「男らしい」息子に育てようと企てます。

    キリスト教を厳格に信仰する保守的な家族(両親と男ばかりの5人兄弟!)の中で、自分の性的嗜好は間違ったもので父の期待に背くものであると幼い頃から植え付けられたザックは、少年期を迷いに迷いながらサバイブします。

    この映画の面白さ、魅力
    この映画の面白さ、魅力は「性的指向に悩む少年」問題にだけスポットを当てているわけではないところです。
    これだけでももちろん重要で何度も語り直すべきテーマではあるんですが、
    よくあるっちゃあよくある映画なので。。

    画像1

    男ばかり5人兄弟
    まず男ばかり5人兄弟なんです。
    多いんですよ、5人もいなくていい。。

    基本的には脚本家フランコイズ・ボウレイの自伝とのことですので、フランコイズ・ボウレイさんが男ばかり5人兄弟だったのでしょうか。

    別にそうじゃなくてもいい要素が映画の中に入り込んでいるのは、とても映画を豊かにします。
    (下手な作り手だったら邪魔なだけですが、この映画では魅力になっている)

    5人兄弟(しかも全員男)の中にいることで自分が埋没してしまうことを表してんのかな、とも思うんですが、、、別に少年ザックは5人の中の埋没もしてないし、、「5人もいるなんて多い!」とか「しかも全員男!!」という悩み・不満もザックにはなさそう。。

    もちろん5人兄弟(しかも全員男)の影響はあっただろうけど、
    たとえば一人っ子だったり姉や妹がいる設定であってもザックの根源的には悩みや問題が解決されやすい状態になるわけでもないでしょう。

    これが面白い点ですね。



    1960~70年代のカナダ・ケベックの文化風土
    監督ジャン=マルク・ヴァレが過ごした1960~70年代のカナダ・ケベックの文化風土が背景として描かれています。

    ファッションや音楽、子供たちの遊び場、キリスト教会などタイムスリップしたかのように当時の雰囲気を味わえます。

    美術や音楽が素晴らしい。
    時代によってザックのファッションはガラリと変わっていく。
    けど、保守的な大人たちは何も変わらない。
    同じ服装で同じ歌を歌う。



    宗教によって守られるもの、排除されるもの
    ザックの母もキリスト教を厚く信仰していますが、その前にまずは自分の息子たちを受け入れて愛することができる人。

    父の方は、男は男らしくあらねばならないし、自分の息子であるならば尚更。
    自分の息子がゲイだなんてあり得ないあり得ない。
    父は、自分の家族よりも前に信じて優先するものがある人。

    てことで父も苦しむ。
    自分の子供を受け入れられないんだもん、自分が信じているもののせいで。
    子供よりも大事なものがあるなんて苦しいでしょうよ。

    さらに、「実はそんな父も過去には…」というのを母からサラッと暴露されてしまう。

    この映画はほんとこういうとこが面白いですね。。



    あくまでもカメラは客観的
    主人公はザックだけど、この映画はザックの内面にググッと寄ったりもしない。

    ザックがどういう状況、心情で何に迷い何にトライしようとしているのかはハッキリとはわからない。

    おそらく少年ザックにもわかっていないんだろうから。

    そのリアリティが面白い。

    大人になって思い返してみて
    「あの頃は父の期待に応えるために男らしくなろうとトライしてたなぁ」
    「自分がゲイじゃないことを証明しようとしてたなぁ」
    など、当時は言語化できずにやっていたことが後からきっとそうだったなぁとカテゴライズする。
    (それが正しいかどうかはわかんないけど)

    決めつけず、描きすぎない、いいバランスの個性のある映画だと思います。

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published : 2022/07/17

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