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四コマ映画「パドルトン」

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四コマ映画「パドルトン」

by フクイヒロシ

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    4koma-eiga.jp/fourcell2/entry_...

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    NETFLIX映画『パドルトン』



    これはもう恐ろしく好きです。。
    過剰じゃないのもいいし、どんな辛い場面でも笑いがあるっていうリアリティもいい。



    ****


    四コマ映画「パドルトン」 → 4koma-eiga.jp/fourcell2/entry_...


    ****

    主役2人を演じる俳優さんはどちらもコメディを得意とする人なので、「2人の会話が面白い」という以前に、2人の空気が面白い。

    2人が一緒にいるだけで面白いってこんな幸せなことはないわけで、だからこそこの2人は一緒にいるわけで。
    コメディアンだからこそこの2人の関係に真実味を与えられてるんだと思いました。

    いくら重鎮の演技派が賞狙いの演技をしても、どんどんウソ臭くなりそう。マーク・デュプラスとレイ・ロマーノがそもそも持ってる空気感がこそがこの映画が成功した種ですね。

    ***

    2人はカンフー映画が好きで古い『デスパンチ』という映画を何回も一緒に観てる。
    (『デスパンチ』という映画は実在しなくて、『パドルトン』のために撮られたものです)
    たぶん800回くらい一緒に観てるんだけど、ラストのある状況で観ると、今まで観てきた『デスパンチ』ではなくなっちゃっている。

    パドルトンも同じ。何回もやってきたパドルトンだけど、ラストでは違う。
    ピザの味もたぶんそれまでとは違う。
    パズルも違う。

    ほんと恐ろしいですよ。どうしたらいいのかと思っちゃう。。
    「幸せにならない方が幸せなんじゃないか」とめちゃくちゃなことを思ってしまう。。
    幸せになればなるほど辛いじゃねえか、と。
    生きるってなんなんだと。

    ****

    ゲイに間違われるシーンも面白いし、重要。
    単に「男同士で仲良くしてるとゲイに間違われがち~」っていうあるあるシーンではなくて、もう一歩先のことを示してますね。

    「親切心だろうけどおじさん同士が仲良くしてること自体を特別視してない?」ってことですね。
    これが女性同士ならあのシーンは生まれなかったでしょうし。

    「おじさん2人がっ!」っていうのがフックになるっこと自体どうなの?というこの映画自体をも客観視してるシーンですね。

    だいぶ好意的に捉えてるとは思いますが、、ひとつひとつのシーンが本当に丁寧に積み重ねられていますので、たぶんこのシーンもちゃんと考えられてのことだと思いますよ。


    ****

    ネタバレしないように書くのが難しいので、終わり。

    ネタバレは以下に。













    パドルトンというスポーツは存在しません。2人が作った2人だけのスポーツです。

    朽ち果てた野外映画のスクリーンの裏の大きな壁を使ってますね。
    誰も気にも留めない場所。
    2人のノンケおじさんが家族のような関係を築いて暮らしている、という誰からも発見されていない2人の関係と似たような場所。

    パドルトンのルールは、壁に打ったボールがドラム缶に入ったら勝ち。
    『デスパンチ』のドラム缶と一緒ですね。


    ****

    アンディが作ったクイズはウソでした。答えのないものだった。
    一年半このクイズを考えていたマイケルは怒る。

    「クイズは楽しいものなのに、君は答えが出ると悲しそうにする。それが嫌だった。答えがないクイズなら悲しくならない。クイズがプリントされたそのシャツもずっと君のお気に入りでいられる」とアンディ。

    ***

    実は結婚していたことがあることをマイケルがカミングアウト。
    知らされていなかったアンディはびっくり。

    どんなに仲が良くても「知らないことがある」「言ってないことがある」ってのもリアル。

    「結婚には失敗したけど、僕はわかったんだ。これだったんだ。僕の居場所だって」とマイケル。

    ***

    「これをやってる最中に死んだ奴いるかな?」っていうくらいに大変な
    100錠の錠剤を割って中身の粉を水に溶かすという作業を全て終える。

    飲んでから効果が現れるまで1時間かかるってことで、外を2人で散歩。
    マイケルは毛布に体を包んでいる。

    木の匂いを嗅ごうとするマイケルとアンディが止める。
    「毛虫がいっぱいいる」
    「今更なんだ」

    ***

    「死後の世界があるとしたら君になんらかの方法で連絡できるかも。
    君は僕に連絡してほしい?」

    「きつい質問だ。」

    「コップを動かしたり、曇りガラスに言葉を書くとか。」

    「いやだ。ぎょっとするのが嫌だし。夜中もダメ。
    なんてこと言うんだ。今後変なことが起こったら、君だって思ってしまう。風が吹いただけでも君じゃないかと。
    合図を決めておこう。」

    「それを言おうとしてたんだ」

    1時間のアラームが鳴る。

    無言で部屋へ戻る2人。


    ****


    死に場所を考える。

    2人の思い出の場所であるソファにしようかとするが、思い出の場所だからこそやめる。

    運ぶことを考えると床。玄関に近い床。かと思うが、やっぱ嫌。

    自分が死んだ後に面倒にならないように床にしようかと思ったけど
    やっぱ最後まで自分のわがままを貫こうと思い、ベッドを選択。

    マイケルはアンディにもたれかかりベッドの部屋へ。

    最後の薬を作るアンディ。涙をキッチンペーパーで拭く。

    ぐったりして座っているマイケルの隣に座る。
    コップに入った薬を渡せない。
    コップを奪うマイケル。
    一度床に置いてから一気飲み。
    顔を見合う2人。

    ベッドに2人で並んで横になる。

    「震えが」「怖い」「怖いよ」

    「怖がることなんてない。大丈夫だと思うから」

    「あんな薬飲むんじゃなかった」

    「大丈夫だ」

    「君にはわからないだろ」

    「大丈夫。大丈夫だ」

    「君は良くやってくれてる。すごいよ」

    「感じがつかめてきた」

    「神様、手を握って」

    マイケルの手を握るアンディ。

    「君に愛してると言っていいかい?」とマイケル。

    「いいよ」

    「良かった。気分が落ち着いた」

    「大丈夫だ」

    「目を閉じるよ」

    「わかった」

    目を閉じるマイケル。手を握りマイケルの肩に手を置くアンディ。次第に呼吸が少なくなり動かなくなる。

    「愛してるよ、マイケル」とアンディ。

    マイケルは動かない。呼吸音もしない。
    涙を流し、ベッドに仰向けになるアンディ。
    すぐに立ち上がり、部屋をウロウロする。


    翌朝。
    業者が来て、サイン。
    マイケルが入ってるにしては小さな段ボールがバンに乗せられる。
    (座っているような姿勢で入っているのかと)

    1人でパドルトンをする。寂しそう。

    家に戻り、パズルの続き。
    夕焼けの砂浜にビーチパラソルとビーチチェアが2つ並んでいる絵柄。もうちょっとで完成しそう。

    『デスパンチ』を観ながら1人ピザを食べる。

    弟子が師匠にデスパンチを喰らわした後のシーン。
    師匠「本当か…?」
    師匠は倒れて死ぬ。
    弟子は苦しみながらも少し笑みを浮かべ「友よ、また会おう」と言う。

    何回も観た映画なのに違ったように感じるアンディ。

    別の日。
    マイケルの車に乗っているアンディ。
    以前と違いアンディは車の運転をし始めた。マイケルの車を結局は譲り受けて。

    マイケルが住んでいたCの部屋にシングルマザーと思しき女性とその息子が引っ越してくる。

    アンディ、自分から話しかけて、荷物を運ぶ手伝いをする。
    Cの部屋の前まで荷物を運ぶ。

    「その部屋は一番いい部屋だ。ここに入る君はラッキーだ」と母親と息子に話す。

    「僕はアンディ。君はゲーム好きだろ。パドルトン は?」

    「知らない」と息子。

    「そうだよな、僕たちが作った」 

    「どんなゲーム?」食いつく息子。

    息子もちょっと人見知りするタイプっぽい。その息子とアンディが会話してるのを微笑しく見る母親。

    パドルトンのルール説明をする。
    「つまらなそうだけど意外と楽しい。今度やろう」と誘って、部屋を戻る。

    少し笑顔のアンディ。

    終わり。

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    NETFLIX映画『パドルトン』



    これはもう恐ろしく好きです。。
    過剰じゃないのもいいし、どんな辛い場面でも笑いがあるっていうリアリティもいい。



    ****


    四コマ映画「パドルトン」 → 4koma-eiga.jp/fourcell2/entry_...


    ****

    主役2人を演じる俳優さんはどちらもコメディを得意とする人なので、「2人の会話が面白い」という以前に、2人の空気が面白い。

    2人が一緒にいるだけで面白いってこんな幸せなことはないわけで、だからこそこの2人は一緒にいるわけで。
    コメディアンだからこそこの2人の関係に真実味を与えられてるんだと思いました。

    いくら重鎮の演技派が賞狙いの演技をしても、どんどんウソ臭くなりそう。マーク・デュプラスとレイ・ロマーノがそもそも持ってる空気感がこそがこの映画が成功した種ですね。

    ***

    2人はカンフー映画が好きで古い『デスパンチ』という映画を何回も一緒に観てる。
    (『デスパンチ』という映画は実在しなくて、『パドルトン』のために撮られたものです)
    たぶん800回くらい一緒に観てるんだけど、ラストのある状況で観ると、今まで観てきた『デスパンチ』ではなくなっちゃっている。

    パドルトンも同じ。何回もやってきたパドルトンだけど、ラストでは違う。
    ピザの味もたぶんそれまでとは違う。
    パズルも違う。

    ほんと恐ろしいですよ。どうしたらいいのかと思っちゃう。。
    「幸せにならない方が幸せなんじゃないか」とめちゃくちゃなことを思ってしまう。。
    幸せになればなるほど辛いじゃねえか、と。
    生きるってなんなんだと。

    ****

    ゲイに間違われるシーンも面白いし、重要。
    単に「男同士で仲良くしてるとゲイに間違われがち~」っていうあるあるシーンではなくて、もう一歩先のことを示してますね。

    「親切心だろうけどおじさん同士が仲良くしてること自体を特別視してない?」ってことですね。
    これが女性同士ならあのシーンは生まれなかったでしょうし。

    「おじさん2人がっ!」っていうのがフックになるっこと自体どうなの?というこの映画自体をも客観視してるシーンですね。

    だいぶ好意的に捉えてるとは思いますが、、ひとつひとつのシーンが本当に丁寧に積み重ねられていますので、たぶんこのシーンもちゃんと考えられてのことだと思いますよ。


    ****

    ネタバレしないように書くのが難しいので、終わり。

    ネタバレは以下に。













    パドルトンというスポーツは存在しません。2人が作った2人だけのスポーツです。

    朽ち果てた野外映画のスクリーンの裏の大きな壁を使ってますね。
    誰も気にも留めない場所。
    2人のノンケおじさんが家族のような関係を築いて暮らしている、という誰からも発見されていない2人の関係と似たような場所。

    パドルトンのルールは、壁に打ったボールがドラム缶に入ったら勝ち。
    『デスパンチ』のドラム缶と一緒ですね。


    ****

    アンディが作ったクイズはウソでした。答えのないものだった。
    一年半このクイズを考えていたマイケルは怒る。

    「クイズは楽しいものなのに、君は答えが出ると悲しそうにする。それが嫌だった。答えがないクイズなら悲しくならない。クイズがプリントされたそのシャツもずっと君のお気に入りでいられる」とアンディ。

    ***

    実は結婚していたことがあることをマイケルがカミングアウト。
    知らされていなかったアンディはびっくり。

    どんなに仲が良くても「知らないことがある」「言ってないことがある」ってのもリアル。

    「結婚には失敗したけど、僕はわかったんだ。これだったんだ。僕の居場所だって」とマイケル。

    ***

    「これをやってる最中に死んだ奴いるかな?」っていうくらいに大変な
    100錠の錠剤を割って中身の粉を水に溶かすという作業を全て終える。

    飲んでから効果が現れるまで1時間かかるってことで、外を2人で散歩。
    マイケルは毛布に体を包んでいる。

    木の匂いを嗅ごうとするマイケルとアンディが止める。
    「毛虫がいっぱいいる」
    「今更なんだ」

    ***

    「死後の世界があるとしたら君になんらかの方法で連絡できるかも。
    君は僕に連絡してほしい?」

    「きつい質問だ。」

    「コップを動かしたり、曇りガラスに言葉を書くとか。」

    「いやだ。ぎょっとするのが嫌だし。夜中もダメ。
    なんてこと言うんだ。今後変なことが起こったら、君だって思ってしまう。風が吹いただけでも君じゃないかと。
    合図を決めておこう。」

    「それを言おうとしてたんだ」

    1時間のアラームが鳴る。

    無言で部屋へ戻る2人。


    ****


    死に場所を考える。

    2人の思い出の場所であるソファにしようかとするが、思い出の場所だからこそやめる。

    運ぶことを考えると床。玄関に近い床。かと思うが、やっぱ嫌。

    自分が死んだ後に面倒にならないように床にしようかと思ったけど
    やっぱ最後まで自分のわがままを貫こうと思い、ベッドを選択。

    マイケルはアンディにもたれかかりベッドの部屋へ。

    最後の薬を作るアンディ。涙をキッチンペーパーで拭く。

    ぐったりして座っているマイケルの隣に座る。
    コップに入った薬を渡せない。
    コップを奪うマイケル。
    一度床に置いてから一気飲み。
    顔を見合う2人。

    ベッドに2人で並んで横になる。

    「震えが」「怖い」「怖いよ」

    「怖がることなんてない。大丈夫だと思うから」

    「あんな薬飲むんじゃなかった」

    「大丈夫だ」

    「君にはわからないだろ」

    「大丈夫。大丈夫だ」

    「君は良くやってくれてる。すごいよ」

    「感じがつかめてきた」

    「神様、手を握って」

    マイケルの手を握るアンディ。

    「君に愛してると言っていいかい?」とマイケル。

    「いいよ」

    「良かった。気分が落ち着いた」

    「大丈夫だ」

    「目を閉じるよ」

    「わかった」

    目を閉じるマイケル。手を握りマイケルの肩に手を置くアンディ。次第に呼吸が少なくなり動かなくなる。

    「愛してるよ、マイケル」とアンディ。

    マイケルは動かない。呼吸音もしない。
    涙を流し、ベッドに仰向けになるアンディ。
    すぐに立ち上がり、部屋をウロウロする。


    翌朝。
    業者が来て、サイン。
    マイケルが入ってるにしては小さな段ボールがバンに乗せられる。
    (座っているような姿勢で入っているのかと)

    1人でパドルトンをする。寂しそう。

    家に戻り、パズルの続き。
    夕焼けの砂浜にビーチパラソルとビーチチェアが2つ並んでいる絵柄。もうちょっとで完成しそう。

    『デスパンチ』を観ながら1人ピザを食べる。

    弟子が師匠にデスパンチを喰らわした後のシーン。
    師匠「本当か…?」
    師匠は倒れて死ぬ。
    弟子は苦しみながらも少し笑みを浮かべ「友よ、また会おう」と言う。

    何回も観た映画なのに違ったように感じるアンディ。

    別の日。
    マイケルの車に乗っているアンディ。
    以前と違いアンディは車の運転をし始めた。マイケルの車を結局は譲り受けて。

    マイケルが住んでいたCの部屋にシングルマザーと思しき女性とその息子が引っ越してくる。

    アンディ、自分から話しかけて、荷物を運ぶ手伝いをする。
    Cの部屋の前まで荷物を運ぶ。

    「その部屋は一番いい部屋だ。ここに入る君はラッキーだ」と母親と息子に話す。

    「僕はアンディ。君はゲーム好きだろ。パドルトン は?」

    「知らない」と息子。

    「そうだよな、僕たちが作った」 

    「どんなゲーム?」食いつく息子。

    息子もちょっと人見知りするタイプっぽい。その息子とアンディが会話してるのを微笑しく見る母親。

    パドルトンのルール説明をする。
    「つまらなそうだけど意外と楽しい。今度やろう」と誘って、部屋を戻る。

    少し笑顔のアンディ。

    終わり。

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published : 2020/05/22

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