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1976年、兵庫県生まれ。慶応大学環境情報学部在学中に、HIPHOPの教育誌『COLLIDER』を創刊。LESSON1、LESSON2まで発行し、休刊。2004年より、グラフィックデザイナーの松田創とともにFAQQというユニットを発足。アートブックの刊行、Tシャツのプロデュースなどを手掛ける。その後、新しいプロジェクトとして、アンダーグラウンドの情報をお茶の間に届ける新聞『MASSAGE』を創刊。現在不定期刊行のマガジンとして年一回未満の発行ペースで制作を続ける。2005年には、古屋蔵人、藤田夏海とともに編集チーム、4d2aを設立。『映像作家100人』などの書籍の企画の発案、編集、展覧会のプロデュースなどに携わる。現在は事務所を3331 Arts Chiyodaに移転し、イラストレーターの大川久志らとともに書籍周辺の仕事を中心に活動している。 http://www.4d2a.com/
-庄野さんは、クリエイターに向けた本を数多く手掛けられていますね。ご自身の企画の共通点や、本作りにおいて何かテーマとされていることがあれば教えてください。 テーマなどは特にないのですが、自分が作る本では作り手の有名無名にとらわれず紹介できるような枠組みを考えるようにしています。すでに評価の定まったクリエイションよりも、まだ可能性が未知な表現に興味があるからです。ただ本も多くの人に手に取ってもらわらなければならない商品なので、人々の役に立つものという機能的な役割と、新しい情報を届けるというメディア的な役割の中間の立ち位置から、どのような本を作ることができるかを考えることが多いです。 -「映像作家100人」は今年で6年目を迎えるそうですが、年鑑として出す意義をどのようにお考えでしょうか。 毎年同じテーマの本を出すということのプレッシャーは大きいですが、それが本来裏方の職業である映像作家に注目してもらうきっかけになれば良いと思います。本当に多くのクリエイターが次々と新しい作品を生み出していますので、たくさんの優れた作品を俯瞰して見るという意味でも1年に1回の発行ペースは適していると思っています。 |
-この数年で、映像制作の環境や作品発表の場もずいぶんと変わってきましたね。これから出てくる若手の映像クリエイターに求められるのはどんな力だと思われますか? たくさんのクリエイターがシノギを削っているフィールドですので、人を惹き付けるアイデアや、スタイルの独自性が大切なのは言うまでもないことだと思います。ただこれからの社会状況を考えると、ビジネス的なフィールドでも通用する、より柔軟なクリエイティビティが求められるようになっていくのではないでしょうか。売れっ子になるというのが分かりやすい成功の道だとは思いますが、競争に勝ち残っていくための手法はひとつではないと信じています。自分の性分としては、分かりやすい成功よりももっとオルタナティブな方向性に惹き付けられています。ただ、日本の市場はまだまだ小さいので、海外でどうやって活動していくかということも視野に入れておく必要があると思います。「映像作家100人」をバイリンガルで発行しているのも、できるだけ海外に日本のクリエイターを紹介したいという気持ちからです。 -今年新たに掲載を決めて「100人」入りした作家の中で、庄野さんが特に注目している方がいれば教えてください。 特に誰というのはないのですが、いろいろな意味で映像という枠組みに収まらないような表現をしている人たちには常に惹かれています。映像作家というのは実際曖昧な言葉ですが、だからこそみなが思い描く映像というようなもの以外にも、もっとたくさんの可能性が眠っていると考えています。特に今回の100人は、データモッシュや、プロジェクションマッピング、AR技術などの新しい手法を用いた作品を手掛けているクリエイターに重点を置いて、選びました。 -今回の特集は「ライブ映像の演出」ですが、なぜこのテーマを選ばれたんでしょうか。 ライブ映像というのはミュージックビデオやCMとはまた違った独特のフィールドだと思います。これまでの歴史の中で培われてきたテクニックがある世界で、どのように映像作家たちがそれと向き合って仕事をしているのかということに興味がありました。ライブ映像というものがどのような過程で作られているのかということだけではなく、映像作家が活躍できるフィールドの一つとして、彼らがおもしろい何かを生みだす瞬間をうまく記事としてまとめられたかなと自分では思っています。ライブ映像というのはミュージックビデオやCMとはまた違った独特のフィールドだと思います。これまでの歴史の中で培われてきたテクニックがある世界で、どのように映像作家たちがそれと向き合って仕事をしているのかということに興味がありました。ライブ映像というものがどのような過程で作られているのかということだけではなく、映像作家が活躍できるフィールドの一つとして、彼らがおもしろい何かを生みだす瞬間をうまく記事としてまとめられたかなと自分では思っています。 -今年はカバージャケットの印象ががらりと変わりましたね。カバーイメージの制作に関して何かエピソードがあれば教えてください。 今回、書籍の版型をB5判変形から正寸に変えるにあたって、カバーのイメージもリニューアルしようということで、アートディレクターの前田晃伸さんに撮影のプランを提案していただきました。やり直しのきかない撮影ということで不安もあったのですが、結果的に非常にうまくいったので満足しています。実際に撮影物を借りるための準備に時間がかかりすぎて、当日に撮影が延期になったりと、普通じゃありえないような失敗もあったのですが、映像作家の菅原そうたさんに自宅のスタジオを提供していただいたり、ペーパードライバーの僕の代わりに車の運転をしてくれた前田晃伸さんをはじめ、フォトグラファーの池田晶紀さんや「ゆかい」の皆さんが良いものをつくるために力を結集してくださいました。 -映像作家にかかわらず、庄野さんは常にクリエイターと接して本を作られていると思いますが、企画にクリエイターを起用するきっかけとなるもの、また決め手となるものは、何でしょう? 新しい作家さんたちとの出会いももちろん刺激的ですが、自分の大好きな友人たちが作り出しているもの、作品だけでなく彼らの言葉や、生き方に日々支えられていると感じています。ひとつの職業というより人間として互いに補完し合えるようなやり方で、何かを生み出していきたいというふうに思っています。 |