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モクロク

イラストレーター・絵本作家 坂崎千春

ISBN 978-4-86100-743-9

定価 2,079円(税込)
仕様 A5判変型/128ページ
著者 坂崎千春

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イラストのこと、キャラクターデザインのこと。

suica のペンギン、カクカクシカジカ、クウネル君、チーバ君…など、
老若男女だれもに親しまれ、愛されるキャラクターを描きつづける
イラストレーター・坂崎千春。
第一線で活躍する彼女が、線・色・形といったイラストの技法、キャラクターを生み出すまでのプロセス、さらには仕事への取り組み方までを、かわいいキャラクターと素敵な写真と共に 紹介します。ラフデザイン、レアグッズ写真、仕事場写真など貴重な資料も盛りだくさん。イラストレーターや、イラストレーターになりたい人はもちろん、 キャラクターデザインについて知りたい企業の方も必読です。

目次

■CHARACTER'S GALLERY

■CHAPTER 01 キャラクターデザインの3つのルール
RULE 01 線で表現するかわいらしさ
RULE 02 面で伝える抜け感と色のニュアンス
RULE 03 形にこだわった丸みとバランス

■CHAPTER 02 人気キャラクターの制作プロセス
CASE 01 Suicaのペンギンができるまで
CASE 02 クウネルくんができるまで
CASE 03 チーバくんができるまで
CASE 04 カクカク・シカジカができるまで
CASE 05 アカブタ親子ができるまで

■CHAPTER 03 私のワークスタイル

■MY WORKS

ページサンプル
Interview
イラストレーター・絵本作家 坂崎千春

東京藝術大学美術学部デザイン科卒業。ステーショナリーメーカー制作室のデザイナーを経て、1998 年よりフリーのイラストレーター・絵本作家として活動を始める。2001年、JR東日本のICカード「Suciaのペンギン」のキャラクターデザインを きっかけに、多くの企業や団体のキャラクター制作を手がける。絵本作家として、これまで20冊を超える作品を出版。エッセイの執筆、単行本や雑誌の装画、 挿絵なども手がけている。毎年、定期的に展示会を開催し、オリジナルのグッズや作品を紹介している。 http://sakazakichiharu.com

-これまでに絵本やエッセイなどを数多く出版されていますが、イラストレーターに向けた書籍というのは初めてになりますね。今回、「イラストのこと、キャラクターデザインのこと。」を発行することになった経緯を教えてください。

これまでにたくさんのイラストやキャラクターを描いてきましたが、自分の作品を全部並べて見ることはなかったので、書籍になったらそれが叶うのではないか、と思ったのがきっかけです。

実は、イラストレーターに向けて、キャラクターがどんな風にできあがっていくのか解説したい、というオファーだったのですが、お話を受けた当初は「自分は人に教えるような大層なことはやっていないから」とお断りしていたんです。でも、教えるというより自分の経験を紹介することが、イラストレーターの方にとって、なにかヒントになるかもしれない、と思い今回のお話を引き受けました。

イラストを描くときの考え方、「Suicaのペンギン」や「カクカク・シカジカ」など、代表的なキャラクターの制作プロセス、そして仕事場や仕事に対する考え、と大きく3つに分けて自分の経験を紹介しています。

-絵本やエッセイとは違って、自分のイラストや仕事を紹介する書籍なわけですが、執筆にあたって苦労されたことはありますか?

イラストを描くときに、「この線はこうやって描く」とか「形のバランスはこのように決める」とか、意識して作業をしているわけではないですよね。イラストの描き方は人それぞれ違っていいし、正解はないと思うのですが、自分の作業を人に伝えるときには、「これはこう描く」とある程度断定しなくてはならないわけで……。自分のイラストの描き方を分析して、その曖昧な感覚を言葉にすることは難しかったです。

でも、自分の作品を自分でなぞって解説しているうちに、「私はこういうものの見方をしているんだ」、「こういうものが好きなんだ」と思いがけない発見がありました。

ぷりっとした「しもぶくれ」の形が好きのはもちろんわかっていたのですが、実際に自分の作品を改めて並べてみると、ほとんどが「しもぶくれ」の形をしているんだな……とちょっとビックリしました。
また、キャラクターの仕事はイラストレーターひとりでは成り立たないこと、ディレクターやデザイナーなどみんなで作り上げ育てていくこと、を再認識しました。今まで仕事の人間関係でいやな思いをしたことがなく、自分は幸せものだなあと思いました。

-ところで、坂崎さんは小さい頃から、イラストレーターになりたかったのですか?
小さい頃はどんな女の子だったんですか?

小さい頃から、絵を描くことは好きでしたが、イラストレーターになりたい!と思っていたわけではありません。「くまのプーさん」や「エルマーのぼうけん」や「ドリトル先生」など、動物がでてくる童話が好きだったので、童話作家になりたいと思っていました。ですが現実的には無理だなあと思い、小学校6年生のときには図書館の司書になろうかな、と思っていました。

-そんな坂崎さんが、美術大学のデザイン学科に入学されたのにはどんな経緯があったのですか?

高校生のときの進路選びで、手に職がつけられるようにするにはどうしたらいいんだろう、と考えて、最初薬剤師ならよいかもと思い、理数系のクラスを選択したのですが、まったくついていけず……。
それで、絵が好きだったので、美術の予備校の体験授業を受けてみたところ、デッサンをしたりするのがとても楽しかったんです。「絵を描くこと」が受験勉強になるなら楽しくてがんばれるかもと思い、美大を目指すことにしました。アーティストにはなれなくても、デザインだったら仕事があるだろうと考えてデザイン科を選んだように思います。

-美術大学を卒業されてからは、企業に勤められていますね。

卒業後は、ステーショナリーメーカーのデザイナーとして就職しました。企業に勤めることは自分にとって、とてもよい経験だったと思います。仕事でイラストを描いたり、デザインをすることで、「自分の好きなもの」と「人がよいと思うもの」のズレや、「自分のやりたいこと」、「自分が求められていること」の相違点が見えてくるからです。さまざまな印刷の技術や製品が作られていく過程も、企業に勤めなければわからなかったので、イラストレーターとして独立した今に生かされる貴重な経験ができたと思っています。

-本書では、「コンプレックスを得意に変えていく」というトピックがありますが、クリエイターを目指す人にとっては気になる発想だと思います。

美術大学のデザイン科に在籍していた頃は、カッコいいデザインがあまりできず、ビルやメカニックなものを描いたりするのも苦手で、コンプレックスの固まりでした。
そこで、上手に描けないんだから仕方ないと諦めて、昔から好きだった動物を、背景は描かずにシンプルにモノトーンで描く、というように自分の描けるものを描いていたら、評価を得られるようになったんです。このスタイルが、私の今のイラストレーターの仕事にもつながっていると思います。
ほかの人にはできなくて、私にはできること、というのがきっとあります。コンプレックスに向き合ってみると、自分の得意分野が見えてくるんじゃないかと思います。

ですので、大学に限らず、他の人の作品を見ることはとても大事だと思います。いろいろな展示会に、とにかく足を運んでみるとよいと思います。私が展示会に行った時によくやっていたのは、「この作品のなかでひとつもらえるとしたらどれにするか」をひそかに選ぶことです。自分の心に響くものはなにか、自分はなにが好きでなにが嫌いなのか、考えていくと、自分と他者との違いが見えてくると思います。

-では最後に、クリエイター特にイラストレーターになりたい!と思って頑張っている方々に向けてアドバイスをお願いします!

「自分の大好きなものを描こう」と言いたいです。
やっぱり自分が好きなものしかすてきに描けないと思うんです。ただ、「好きなものと得意なものは違う」ということもあります。いろいろな人に作品を見せたり、依頼された仕事は来るもの拒まずで描いてみて、「好きなもの」と「得意なもの」が結びつくところを見つけられると、自ずと道が開けていくように思います。

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