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CREATOR'S VOICE Vol.015 - 小林 広典

Profile

小林 広典

福島県出身、宮城県在住の絵描き。1981年生まれ。2010年から作家としての活動をはじめ、油絵を中心にアクリル絵の具や水彩色鉛筆などを用いた絵画作品を発表している。3月19日~24日まで、GALLERY ART POINTで開かれた「ART POINT Selection II」に参加。作品販売などについては、ホームページで受け付けている。

Interview

-まずは、現在の小林さんの活動内容を教えてください。

油絵を中心に制作しています。作品は私のホームページやブログで発表しているほかに、オファーを受けるなどして、年に3回ほど東京都内の展示会に出展しています。直近のものですと、3月19日~24日まで、東京都中央区にあるGALLERY ART POINTで開かれた「ART POINT Selection II」に参加しました。

-小林さんは宮城県仙台市にお住まいです。昨年3月の東日本大震災後の心境をご自身のブログなどでも書き記していますが、震災直後の状況はどのようなものだったのでしょうか。

当時はライフラインが絶たれ、物資もなく、どのようにして生活を維持していくかに精一杯でした。それまでは仕事のかたわら、ほぼ毎日、作品制作に取り組んでいましたが、とても絵を描いていられるような状況ではなかったです。制作途中だった絵にいたっては、すべて真っ白に塗りつぶしました。自分にとって、絵を描くという行為は自分自身と向き合うこと。3月11日を境に変わった自分自身と向き合うためには、そうする必要があったんです。
その後も自分の住む宮城県内の被害状況や、生まれ育った福島県で起きた原発事故の問題など、押し寄せてくる不安な情報に頭の整理がつかず、筆は止まったままでした。そんな中で、アート系のフリーペーパー「MEMO by tdp」の編集部からイベント参加の声が掛かり、「3.11の震災を現地で経験した作家たちがどのように作品創りと向き合っているのか?」というテーマのもと、絵とコラムを展示することになったんです。それまで「自分には一体なにができるのか」と自問自答していた私にとって、だれかになにかを望まれるということが「自分にもなにかできるかもしれない」と思えるきっかけとなり、救いになりました。そこから再び、絵の制作を本格的に再開することができたのです。

-今年の2月5日付けの小林さんのブログには、「自分にできることを継続していこうと思えた」とあります。先ほどの質問のご回答でも出てきたお言葉ですが、ご自身に「できること」とは、どのようなものだとお考えでしょうか。

正直、今でも自信をもって「これだ」と言えるものはありません。ただ、震災や原発事故など、さまざまな困難にあっても、前を向いて生きていこうという人たちがいる中で、自分も前を向いて絵を描き続けることが大切なのだと考えています。そして、その作品を展示することで「なにが起ころうとも、自分たちは進んでいくんだ」という意志を示していければと思っています。

-震災から1年が経ちました。日常生活や創作活動において、それぞれ大きく環境が変化したと思いますが、今後の展望をお聞かせください。

あの震災を経験してはっきりしたのは、「自分にとってなにが大事なのか」ということです。生まれて初めて「死」を身近に感じたことで、今までの自分の行いを反省し、時間を大事に、一日を悔いのないように生きたいと強く思うようになりました。それは家族と過ごすことや、絵を描く時間を大切にするということでもあります。
現在、絵とは別に仕事をもっているため、どのように制作時間を確保していくかが現実的な課題の一つです。作品に関していえば、今後どのように変化していくかは自分にもわかりません。ただ、その時々の自分の気持ちを大切にしながら描き続けることで、より良い作品をつくっていきたいと思います。

(ライター 石川裕二)

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