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CREATOR'S VOICE Vol.011 - 遠藤晴香

Profile

早坂知記

宮城県仙台市在住の作家。1982年生まれ。2009年から独学で作品制作を始め、現在はデジタルコラージュを中心とした作品を国内外のWebサイトで発表している。なお、作品のジークレー版画を、オフィシャルサイトの問合せページを通じて購入することが出来る。

Interview

-現在の早坂さんの活動内容を教えてください。

国内外のWebサイトで、デジタルコラージュなどの作品を発表しています。これまでは、アートコミュニティサイト「deviantART」など、海外のサイトや雑誌で作品を発表していましたが、今年の7月からは日本での活動も本格的に始めています。9月には、日本では初めての展示会として、「百奇夜行」(The Artcomplex Center of Tokyo主催)というグループ展に参加しました。
デジタルコラージュは、海外ではフォトマニピュレーションと呼ばれている、写真をベースに極端な加工をしていくものです。作家によって写真寄りであったりペイント寄りであったりと、まだまだ発展途上の新しい技術でもあります。私の場合は影響を受けた作家の作風からシュルレアリスムの要素が強いですが、今ではジャンルを問わずに自分だけの作風を追及しています。

-早坂さんは、東日本大震災による爪あとが今も強く残る宮城県仙台市に在住しています。震災後、「日常生活」と「クリエイション」において、それぞれ変化したことを教えてください。

私が住んでいる地域にも津波が押し寄せてきて街が半壊したり、親戚が数人亡くなるなど、精神的にもつらい日々が続きました。ご遺体が放置されてあったり、男性が泥だらけで泣きながら、お子さんのものと思われる靴を1足だけ持って歩いているなど、目を覆いたくなるような光景が今でも頭の中に残っています。3月11日、人々が築いてきた財産や人生があっという間に消し流されてしまいました……。「人生とは一体何なんだろう」と、人生観についても深く考えさせられました。
そのためか、震災の前後で「作品の感覚が変わったように見える」と言われたこともあります。意識はしていませんでしたが、今思うと、震災後の作品には“生と死”をテーマにしたものが増えているように思います。

震災直後に制作したものに、『Memento mori』『Edge of Life』という作品があります。ラテン語の「Memento mori(メメント・モリ)」という言葉は、「自分がいつか必ず死ぬことを忘れるな」という意味で、震災による“人の死”を目の当たりにしたことで、改めてこの言葉の持つ意味を痛感しました。『Edge of Life』は「死んだあとでも繋がりは消えない」「生命から生命へ」「人の人生は無意味ではない」といった思いを込めてつくりました。

 

-作風についての話が出てきましたが、作品に共通するコンセプトを教えてください。

自分自身の内面の表現だけではなく、人間に共通する感情や人生観を表現したいと思っています。また、"言語を越えた詩的なもの"をつくろうともしています。最近は震災の影響もあり、負のエネルギーが創作を後押しすることが多いのですが、単純にダークな作品をつくろうとは思いません。"光"と"陰"は一心同体。"陰"を描くことで"光"を求め、見つけていきたいと考えています。

-創作活動を始めたのが2009年とのことですが、なぜ国内よりも海外での作品発表を優先したのでしょうか。

活動を始めた当時は日本でもアートSNSが全盛期でしたが、どちらかというとアニメや漫画関連のイラストが多数を占めており、作風の違いを感じました。また、海外サイトのほうが、コメントなどの反応がダイレクトに感じられるという点も大きかったです。
海外のサイトを通じて色々なコミュニティを紹介してもらうなど、勉強になりました。インターネットの発達のお陰で、昔なら留学しなければ出来ないような経験が出来たと思っています。最近になり、「deviantART」や「Facebook」で日本の作家やアート好きの人とも知り合う機会が増えてきたことなどから、日本での作品発表を本格的に始めることにしました。

震災から半年が経過し復興が進む中、早坂さま個人としては国内での活動を始めました。被災地に住む人間として、クリエイターとして、新たな可能性を模索している最中だと思いますが、今後の展望を教えてください。

作品づくりはもちろん、機会があれば本やCDのカバーアートや挿絵など、私のアイデアや技術を生かせるような様々な制作に携わっていきたいです。遠方のため、東京までなかなか行けないのが非常に残念なのですが、国内の作家との横のつながりを広げ、大切にしていきたいです。

(ライター 石川裕二)

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