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大学に通いながらVJや、ITベンチャーでwebデザイナーとして活躍中の灰色ハイジさん。中学生の頃、ネットでイラストを発表するようになり、他人のペンタブレットで描かれている作品に触発されFAVOを購入したのが始まり。
1986年生まれ。中学生の頃よりWebサイトをつくり始め、2007年デジタルデザイントーナメントCut & Pasteに学生で唯一本線出場。2005年には輝く!日本ブログ大賞イラスト賞受賞。現在は京都造形芸術大学に通いながらVJや、ITベンチャーでWebデザイナーとして活動中。
2007年のCut&Pasteデジタルデザイントーナメントにおいて、学生として唯一本戦出場を果たしたり、2005年には輝く!日本ブログ大賞イラスト賞を受賞したり、2007年には宮本亜門×造形大生7名によるお茶会プロジェクトに参加したりと積極的な活動を続けている灰色ハイジさん(以下ハイジさん)。ハイジさんは取材当時(2008年秋)は、京都造形芸術大学の情報デザイン学科に通いWebをデザインを学ぶ学生だ。翌春には卒業、クリエイティブ会社に Webデザイナーとしての就職も内定した。そのハイジさん、自らのブログで中学生時代は不登校だったことを明らかにしているが、その間、家にあったPC でイラストを描いたり、そのイラストを発表するためにWebサイトまで作ったりしていた。今でこそデジタルやネット環境は充実し、小中学生でも気軽にアクセスできるが、ほぼ10年前はそうではなかったし、たとえ環境に恵まれたとしても、自ら何かを作り出す人はまれ。そのような意味でハイジさんは、生まれながらのクリエイターだと言っていいのかもしれない。
ただ、クリエイターといってもさまざまな仕事がある。なかでもハイジさんが興味を持ったのがデザイナーという職業だった。Webデザインやデザイナーという言葉を知ったのは、Webサイトを運営するようになったから。やがて、高校生や大学生になってデザインという仕事の内容が具体的に見え始め、その気持ちは確固たるものとなっていく。 しかし、ずっとイラストも描いてきたハイジさん。それだけの画力や実績があるならイラストレーターという道もあったのでは?という問いに「今考えるとイラストは趣味のようなもの。継続的にするのであればデザインがいい。デザインはその作業に意図や意味があるのがおもしろい。誰かのために、あるいは必要とされるものを作りたい」という思いが強いのだという。アートだと個人の思いや感情を表現するだけで終わってしまうこともあるが、デザインであれば、それを必要とするクライアントや商品があり、社会の中で評価され続ける、そんなところに惹かれるのだという。
さて、そんなハイジさんとペンタブレットとの付き合いは? 中学生の頃、ネットでイラストを発表するようになり、ネットで交流している人の作品がペンタブレットで描かれていて、それらの作品に触発されFAVOを購入したのが始まり。実際使い始めてみると、やはり思い通りに操作できると感じ、以来7年ほど、途中でペンが壊れて交換するくらいそのFAVOを使い続けてきた。 そして2007年にCut&Pasteの本戦出場。この本戦出場者にはIntuos3が贈られる特典もあり、以来Intuos3や、さらには Cintiq 21UXも使うようになる。「私が使っているIntuos3はA4サイズなので小さな机で作業すると少し大きく感じますが、描く面が広いのはやはり描きやすいです。また、Intuos3のエクスプレスパッドは便利ですね。Photoshopでスクロールする際にspaceキーの手のひらツールを使用したり、Illsutratorでベジェを切り替える際のAltキー(optionキー)操作に使います。キー設定を自分なりに使いやすくカスタマイズしています」。
ハイジさんがよく使うアプリケーションはPhotoshopとIllustrator。Photoshopでは主にイラストを描いたり、 Illustratorではトレースなどでベジェを使う。また、絵を描いている最中にネットを見たくなったりしても、Intuos3のペンや付属のマウスでブラウザを操作する。ハイジさんにとってIntuos3はまるで手足のようだ。イラストを描く際は主にPhotoshopでの作業となるが、特に気に入っているのは筆圧によるコントロール。「筆圧設定はよく使います。たとえば筆圧で色を変えたり、彩度を変えたり、また、筆圧の設定によって絵の具っぽく見せたりします。実は絵の具できちんと絵を描いたことがなくて、絵の具よりも先にデジタルでの表現を覚えたんです。だから、デジタルだけど絵の具のようなアナログの質感に憧れます。アナログの質感、アナログの筆の跡を再現できるのも Intuos3ならでは。そして頭で考えずに描けるのは、やはりペンタブレットの魅力ですね」。インタビュー中、制作プロセスを再現したもらったのだが、ペンがタブレットの上で歌うように踊るようにリズミカルに跳ねていた。
Web デザイナーへの道を歩み始めたハイジさん。でも少し不思議に思うのは、イラストではなくWebデザインにIntuos3がどう役に立つのかということ。聞いてみると、ちょっとしたアイディアを書き留めるにもPhotoshopにIntuos3で行っているという。まさにノート代わりだ。実際のWeb デザインのカンプもやはりPhotohsop+Intuos3。PhotoshopのブラシツールでWebデザインのカンプを描き、バナーなどはレイヤーに作って書き出したりする。そのような独特の使い方や基本的な操作も含め、すべて触りながら覚えた独学だという。独学だからこそ、固定観念に縛られない自由な操作方法や技術を身につけたのだろう。 最後に、ハイジさんにとってのペンタブレットの存在意義を尋ねると「画家さんが絵の具がなかったらどうします?」と切り替えされた。ハイジさんにとってペンタブレットは、クリエイティブに欠かせない当たり前のツールだった。