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クリエイターと著作権 文:弁護士 益山直樹

「著作権相談室」

 著作権相談室は、読者のクリエイターの皆様から寄せられた著作権に関する質問・相談内容に対して、
益山弁護士に丁寧に解説していただく“クリエイターと著作権”特設コーナーです。
 下記の行為は著作権侵害となるのでしょうか?

著作物の例示

有名キャラクターをモチーフにしたアクセサリーを自作してプレゼントする行為。(自作アクセサリーの出来は、第三者が見れば有名キャラクターにそっくりと思われるくらいの再現性がある場合です。プレゼントは私的利用の範囲を超えるのでしょうか?)

親しい人へのプレゼントであれば、著作権侵害にはならないでしょう。

その有名キャラクターが何かは分かりませんが、漫画やアニメ、ゆるキャラなどのキャラクターそれ自体は概念的な存在であって著作物ではなく、そのキャラクターが具体的に表現された原画等が「著作物」に当たると考えられています。ですから「有名キャラクターにそっくりと思われるくらいの再現性」があるものを著作権者に無断で作製すれば、そのキャラクターの具体的表現物について複製権の侵害となる可能性があります。人気マンガのキャラクターであれば、著作権者はそのマンガ家でも、その作品を出版している出版社等がそのキャラクターの利用許諾の窓口となっていることが多いと思われます。ですから人気マンガのキャラクターを利用する場合、その権利許諾の窓口となっているであろう出版社等から許諾を得るのが原則といえるでしょう。
もっとも著作権法30条は、「個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲において使用することを目的とするとき」には、例外的に、その使用する者が自由に複製することができるとしています。このような規定がある理由は、私的領域内での複製まで禁じると人の行動の自由が過度に制限されてしまうこと、私的領域内での行為を規制することは実際上困難であること、家庭内など限られた範囲の使用であれば、著作権者等の不当に害しないことなどです。
そして「家庭内その他これに準ずる限られた範囲」とは、家庭に準じる程度の少人数で閉鎖的で親密な関係がある場合をいうとされていますので、家族はもちろん親密な友人間ならばその範囲にあると考えられます。
そこで、その「有名キャラクターにそっくりと思われるくらいの再現性」がある自作アクセサリーをプレゼントする相手が、それを作った人の家族や親密な友人等であれば、著作権法30条により著作権侵害にはならないでしょう。

特殊の著作物

上記1のアクセサリーの製作工程、完成品をブログに載せる行為。

製作工程はともかく、「有名キャラクターにそっくりと思われるくらいの再現性」がある自作アクセサリーの完成品の写真をブログで公開することは、写し方次第で著作権侵害にはなることもあれば、ならないこともあります。

その自作アクセサリーが、その有名キャラクターが表現された物の複製物であるとされれば、その画像をネットで公開することは、著作権(この場合は公衆送信権)の侵害になりえます。
ところで、撮影した写真自体も創作性が認められる限り「著作物」となりますが、著作権法30条の2により、写真を撮影する際に映り込む対象が他人の著作物であっても、その写り方が付随的なものであれば、その写真を利用することができます。
そこで、製作工程を撮影する際にその写真に映り込む程度のものであれば、著作権法30条の2により、その製作工程の画像をブログにアップしても問題ないと考えられます。
しかしそのキャラクターの具体的表現の複製物である完成品をメインに撮影してブログで公開した場合は、付随的な撮影対象とはいえませんので、著作権侵害になりえます。
もっとも、実際に権利者からクレームが来るかどうかは別問題です。

日本の著作権法で保護を受ける著作物の範囲

カフェで、有名キャラクターをラテアートで描いて、お客さんにその飲み物を提供する行為。(そのラテアート目当てでそのカフェに行くお客さんもいると思うので、侵害行為になるのでしょうか?)

侵害行為になりえます。

ラテアートはカップに口をつけたり、スプーンを入れればすぐに消えてしまうものなので、そもそもラテアートにより著作権侵害が成立するか疑問かもしれません。。しかし、例えば即興演奏でも著作物となりうることからすれば、すぐに消えてしまうラテアートによっても著作物を複製することは可能ですので、著作権侵害も成り立ちえます。しかし仮にそれが侵害となるとしても、現実問題としてそれで権利者からクレームが来るかは微妙なところでしょう。もっとも、例えば無断でONE PIECEのルフィやゾロなどの人気キャラクターのラテアートを出す店として宣伝したりすれば、さすがに集英社から権利侵害のクレームが来るかもしれません。どんなラテアートが出てくるかお楽しみ、といったささやかな提供のしかたであれば、黙認できる程度のものとして問題とされないかも知れません。

著作権相談室

クリエイターの著作権ではクリエイターの皆様からの疑問・質問を募集しています。
著作権に関して理解できてない事、身近に起こったトラブル等、
著作権に関する事ならどんなことでもOKです。
皆様からの質問は"クリエイターと著作権"の特設コーナーにて益山弁護士により
丁寧に解説させていただきます。

疑問・質問は以下のメールアドレスまでお送りください。

メール先

【件名】クリエイターと著作権:質問・相談係
【本文】お名前(クリエイター名)・職業・年齢・性別・CREATORS BANKのIDと
ご相談・質問事項を添えて上記メールアドレスまでお送りください。

沢山のご相談お待ちしております。

※一部のご相談・ご質問内容に対して解説記事を公開させて頂きます。
※記事にて公開させていただくのは職業・年齢・性別のみです。
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