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サウンド・音楽 > ミュージック
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Commentいつもの駅と違っていた。
どうやらひとつ手前の駅のようだ。
失敗した。あれが最終電車だったのに・・・・
タクシー乗り場には長い列ができていた。
仕方ない。
家まで距離はあるが、歩いて帰ろう。
知らない道だが、だいたいの方角は見当がつく。
まあ大丈夫だろう。
暗い舗装道路に靴音が響く。
その音に違和感を感じて振り返る。
やはり気のせいだ。
誰もいない。
だんだん道が狭くなってきた。
やがて霊園の入り口に出てしまった。
こんなところに霊園があるとは知らなかった。
縁起でもない。
酔いが醒めてしまった。
道を間違えたのだ。
途中まで引き返そう。
振り返り、来た道を逆に戻る。
おかしい。
ますます道が狭くなるような気がする。
同じ道を引き返すのだから、そんなはずはない。
まだ酔いが残ってるのかもしれない。
だが、確実に道は細くなってゆく。
とうとう前に進めなくなってしまった。
やれやれ、情けない。
戻る道も間違えたのだ。
引き返すしかない。
立ち止まり、振り返って歩き始める。
しかし、変な道だな。
こんな細い道、誰が通るというのだろう。
やがて、再び霊園の入り口に出てしまう。
一本道なのに、どうなっているのだ。
しかし、この道を戻るしかなさそうだ。
疲れてきた。
うな垂れたまま振り返る。
おかしい。
さらに道が狭くなっている。
狭くて、もう一歩も前に進めない。
なんなのだ。
戻ることもできない。
わけがわからない。
呆然と振り返る。
やはり、そこに霊園の入り口がある。