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生まれも育ちも雪国なので、雪にまつわる思い出など。
日本そして世界有数の豪雪地帯なので、冬になると積もった雪で電線をまたげた。
ブルトーザーが道を作ると、子どもだった自分の身長の3倍くらいの高さの雪の壁ができた。その壁に穴を開けて、玄関までトンネルを掘ったりした。
二階から出入りする家もあった。
雪は、子どもにとって遊びの宝庫だった。
二階の屋根から「ウルトラマーン、ジュワッキ!」と叫びながら、雪の小山になった庭へ飛び込み前転をして遊んだ。
保育所の庭にモグラの通り道のような雪のトンネルの迷路を掘ったツワモノもいた。
なにかあればすぐ雪合戦になり、キンコロも作った。
握り締めた雪玉を、踏みつけて硬くした雪面に靴底で転がし、「キンコロ」という感じに硬くしたもの。
これを雪合戦に使ったら死ぬかもしれないので、互いのキンコロをぶつけあって、どちらのキンコロが割れるか競った。
雪の落とし穴も作った。
雪道の途中にシャベルで穴を掘り、掘った雪の上部を板状にしたもので蓋をして、その跡を軽く雪で隠したもの。
それで誰かネンザした、という話は聞かない。
雪の彫刻も作った。
スポーツカーの形にして、座席に乗ってドライブ気分。部活の気に入らない先輩の形にして、蹴り倒して鬱憤を晴らしたりもした。
高校時代は、同級生たちに手足をつかまれ、二階の教室から雪の裏庭に落とされた。
逆に、スカート制服の女子を仲間と一緒に落としたこともある。
いじめではなく、純粋に遊びなので、雪を払いながら一階の職員室の窓から中に入り、「すみません。落とされました」と言えば、教師たちも笑って許してくれた。
シミワタリも忘れられない。
普段ならカンジキでも履かなければ歩けないのに、日中の暖かさで解けかかった雪面が夜間の放射冷却で凍み、朝になると踏んでもへこまないくらいに硬くなり、歩いてどこまでも渡れるようになるのである。
タイヤにチェーンを巻いたオートバイで、この荒野の雪原を飛ばした奴がいる、という噂も聞いた。
当然、スキーやソリも楽しんだ。
近所は山だらけなので、リフトはないけど、長靴に革ベルトの木製スキーと竹製ストックで、繰り返し昇り降りしたものだ。
ジャンプして一回転して着地するような尊敬すべき友人もいた。
白っぽいけど明るくない灰色の低い空から、次から次へ舞い降りてくる綿雪の群をぼんやり眺めていると、これは天から大地に雪が降りてくるのではなく、雪に覆われた大地が天に向かってゆっくり昇っているところなのだ、という錯覚に襲われたりする。
身長ほどの氷柱、道なき道の登校、吹雪の下校、スキーの授業、雪下ろしのアルバイト、・・・・あれこれ思い出せば、キリがない。
まるで夢のような世界だった、と今頃になって気づく。
地球温暖化のためか、上京した頃から雪が少なくなった。
正月に帰省しても、屋根の雪下ろしや家の前の雪掻きなど、ほとんど手伝った記憶がない。
雪の結晶
by Tome館長
生まれも育ちも雪国なので、雪にまつわる思い出など。
日本そして世界有数の豪雪地帯なので、冬になると積もった雪で電線をまたげた。
ブルトーザーが道を作ると、子どもだった自分の身長の3倍くらいの高さの雪の壁ができた。その壁に穴を開けて、玄関までトンネルを掘ったりした。
二階から出入りする家もあった。
雪は、子どもにとって遊びの宝庫だった。
二階の屋根から「ウルトラマーン、ジュワッキ!」と叫びながら、雪の小山になった庭へ飛び込み前転をして遊んだ。
保育所の庭にモグラの通り道のような雪のトンネルの迷路を掘ったツワモノもいた。
なにかあればすぐ雪合戦になり、キンコロも作った。
握り締めた雪玉を、踏みつけて硬くした雪面に靴底で転がし、「キンコロ」という感じに硬くしたもの。
これを雪合戦に使ったら死ぬかもしれないので、互いのキンコロをぶつけあって、どちらのキンコロが割れるか競った。
雪の落とし穴も作った。
雪道の途中にシャベルで穴を掘り、掘った雪の上部を板状にしたもので蓋をして、その跡を軽く雪で隠したもの。
それで誰かネンザした、という話は聞かない。
雪の彫刻も作った。
スポーツカーの形にして、座席に乗ってドライブ気分。部活の気に入らない先輩の形にして、蹴り倒して鬱憤を晴らしたりもした。
高校時代は、同級生たちに手足をつかまれ、二階の教室から雪の裏庭に落とされた。
逆に、スカート制服の女子を仲間と一緒に落としたこともある。
いじめではなく、純粋に遊びなので、雪を払いながら一階の職員室の窓から中に入り、「すみません。落とされました」と言えば、教師たちも笑って許してくれた。
シミワタリも忘れられない。
普段ならカンジキでも履かなければ歩けないのに、日中の暖かさで解けかかった雪面が夜間の放射冷却で凍み、朝になると踏んでもへこまないくらいに硬くなり、歩いてどこまでも渡れるようになるのである。
タイヤにチェーンを巻いたオートバイで、この荒野の雪原を飛ばした奴がいる、という噂も聞いた。
当然、スキーやソリも楽しんだ。
近所は山だらけなので、リフトはないけど、長靴に革ベルトの木製スキーと竹製ストックで、繰り返し昇り降りしたものだ。
ジャンプして一回転して着地するような尊敬すべき友人もいた。
白っぽいけど明るくない灰色の低い空から、次から次へ舞い降りてくる綿雪の群をぼんやり眺めていると、これは天から大地に雪が降りてくるのではなく、雪に覆われた大地が天に向かってゆっくり昇っているところなのだ、という錯覚に襲われたりする。
身長ほどの氷柱、道なき道の登校、吹雪の下校、スキーの授業、雪下ろしのアルバイト、・・・・あれこれ思い出せば、キリがない。
まるで夢のような世界だった、と今頃になって気づく。
地球温暖化のためか、上京した頃から雪が少なくなった。
正月に帰省しても、屋根の雪下ろしや家の前の雪掻きなど、ほとんど手伝った記憶がない。
published : 2009/12/19