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サウンド・音楽 > ミュージック

いくつかの鍵

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大きな屋敷である。

長い廊下がどこまでも続き、
その両側には、等間隔に扉が並んでいる。

私は、丸い金属環を片手に持っている。

己の尻尾を噛む蛇の意匠が施されたそれは
取っ手の穴を串刺しに
いくつかの鍵を携えて離さない。

私は、あるひとつの扉の前に立ち、
ある想いに囚われる。

(この扉に合う鍵は
 この束の中にあるのだろうか?)

私は、金属環を目の高さに持ち上げ、
垂れ下がる鍵に目をやる。

(そもそも、いくつの鍵があるのか?)
私は、ひとつひとつ鍵を数え始める。

しかし、それは環状になっているがゆえに
始まりと終わりの区切りがない。

途中で数がわからなくなってしまった。

とりあえず私は、ひとつの鍵を選び出し 
目の前の扉の鍵穴に挿し込んでみる。

しかし、鍵は回らない。

(鍵が合わないのだろうか。
 それとも、扉が合わないのだろうか?)

私は、意味もなく扉を撫でる。

(私は、この扉を開けようとしているけれど
 この扉でなければならない理由など
 そもそも、あるのだろうか?)

私は、扉をノックしてみる。

(また、仮に扉を開けることができたとして
 それから私は、なにをするつもりなのか?)

私は、周囲を見回す。
(このことは、どの扉についても言える)

その時、扉の内鍵の外れる気配がした。

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published : 2013/04/23

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