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Comment僕が街外れの海辺で佇んでいるのは、
「朝焼けの虹」というよく分からない噂を
彼女がどこからか仕入れて来たからだ。
夜が明けるにはまだ少しばかり遠い。
僕の意識はすでに波打ち始めていたが、
彼女は家から持ってきたペンキを右へ左へ
思い思いに飛沫を撒き散らしていた。
やがて赤だけでは虹は描けないと
気付いたように
彼女も海に向かって腰を下ろす。
赤み始めた水平線を見つめる彼女の口元で
膨らむガムがシャボンの様。
なるほど、確かに。
朝焼けの虹は見るに値する。
微睡み、漂う
by 玄輝アト
published : 2016/09/14