夢見る小さな部屋

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ゆめみ愛

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  • 小説?「夏休みのセミクジラ」、イチゴちゃん、ブルーベリーちゃん、キャプション他

    8月25日のブログ日記より転載

     

     

    ことどり図書館さんの「夏休み」企画に

    出させていただいた小説と絵です

     

    が、23日までだったのに間違えて24日に出してしまい

    しょんぼりでした;;

     

    へたくそ小説もどきですが

    自虐的にこちらでも載せますね^^;

     

     

     

     

     

     

    夏休みのセミクジラ

    「鈴木未唯さん、セミクジラって知ってる?」

    明日から夏休みが始まるという日

    終業式の終わって
    部活も終わった放課後

    1人で帰ろうとしていた私を呼び止めたのは黒メガネののび太君
    いやクラスメートの男子

    のび太は顔のイメージだけでわたしが勝手につけたあだな

    のび太の風上にも置けず成績はいつもクラスのトップクラスだったっけ

    名前は葉山アラタ

    のび太・・いた、葉山君は真っ赤な顔で続ける



    「セミクジラってヒゲクジラ亜目 セミクジラ科 セミクジラ属に属するクジラなんだ」

    「えっと?」

    「体長13mから18m、体重約60から80tもある。
    かなり大型であり、標準的なザトウクジラの倍の体重に達するんだ。

    頭部が大きくて全長の4分の1ほどもある

    口は大きく湾曲し、最大2mを超す長大なクジラヒゲが生えている」

    「・・・」

    脳裏にニヤッと歯をむき出して笑うかのようなセミクジラが浮かぶ

    いやいや
    ちょっと待って

    この人
    何の話をしてるの?

    蝉の話しならわかる

    昼間ジワジワうるさかったセミは
    今もジワジワうるさいから

    「和名のセミクジラは背中の曲線の美しさに由来する「背美鯨」または「背乾鯨」からとられたんだ

    セミクジラが長い時間、背部を海面上に出して遊泳し続ける性質があったからだ。 

    世界で最も精巣が大きい動物で、片側約500kg、合わせて約1トンもあって」


    「・・・」

    セミクジラの精巣になど興味はない
    私は中学生の乙女だ

    まだ彼が話を続けようとしたとき

    「おーい、生徒はもう帰りなさい。門の鍵を閉めるぞ」
    先生が門の前で叫ぶ



    「あ・・」
    乙女のようにブワワワワッと顔を真っ赤にした彼は「じゃあ!」
    と駆け出す

    「ちょっと」
    待て待て

    気になるじゃないか

    なんでセミクジラの話をしたのか


    なのに彼の背中は夕闇の中とけていってしまった






    ジワジワジワ

    セミクジラ・・いやセミが鳴く

    友だちのいない私はひまなひまな夏休み

    中学一年の時は友達がいた
    女の子たちのグループの中で何にも考えずにすごしていて

    小学生の友達だった百合がそのグループから仲間外れになって
    それがいじめもどきに発展して

    「そんなことやめよう」と
    言った私は孤立した

    「いい子ぶりっこしてさ」
    「正義の味方?」

    驚いたことに百合までグループに戻り、私のことは見て見ぬふり

    一気にむなしくなった

    もう、いいや
    その時から私は一人でいることを選んだ

    後悔はしてないけど
    こころは群れから外れたセミクジラ・・

    いやいや

    またセミクジラが浮かんできたよ

    夏休み

    なぜか私の頭からセミクジラが離れてくれない
    そういえば葉山アラタもいつも一人だっけ

    彼は小学生の時からずっと

    私より年季の入ったハズレセミクジラ

    あああああ
    体をよじる
    またセミクジラ~~~~


    大体セミクジラって群れで行動するの?

    本棚をダラダラ眺めても、私の家には鯨の本などない

    「図書館に行ってみよ」


    ブラブラ
    なぜか足は
    葉山アラタの家のそばの図書館に向かう


    もしかしたら会っちゃうかな?
    いいや
    会ったらあったで、何でわたしにあんな話を仕掛けたのか問い詰められる

    勉強ができるあいつはきっと図書館で勉強してるはず

    決め付けて
    ドキドキ
    図書館に入る

    一周

    いない

    がくり
    そりゃそうだよね
    ドキドキした私のバカバカ

    仕方がないので鯨の本を探して読む

    「セミクジラ」

    「人間が大すき」

    (私と反対・・)

    「穏やかで親切な性質を持ち、遊び好き。

    水中で自ら積極的に人間を背中に乗せる、

    人間が怪我をしないように自ら避けてくれたり、「世界で最も優しい生物」と称される

    孤児を、全く関係のない母鯨が交代制で育てることもある

    自分の生まれた海に定期的に帰ってくるという習性も持つ

    好奇心旺盛で人懐っこいことから捕鯨に「都合がよい鯨」という皮肉を込めて、英名では『Right Whale』と表記す」



    パタンと閉じる


    「バカだ、コイツ」

    人間が好きで遊ぼうと近づいて傷つく
    「私みたいに人なんか避けて生きたらいいのに」




    でもあいつ葉山アラタは
    何を言おうとしたのだろう

    セミクジラのように
    人と仲よくしろ?

    まさかまさか

    あいつだってわたしと同じ穴のムジナ
    いつも一人だし


    なんだかセミクジラとあいつのことが頭から離れない


    家に帰って小学校の卒業文集を開いてみた

    グループに囲まれていた頃は
    1人でいる葉山アラタのことなど多分気にしたことはなかったし

    1人になってからは
    人の顔など見ようともしなかった

    だからあいつの顔はおぼろげで


    「・・・ふーん」

    地味な顔だと思ってた
    写真の中のあいつは
    じっくりみると
    目がセミクジラみたいに澄んでいてなかなかにきれいな顔だった



    それから、

    ひまな私は
    ひまを言い訳に

    毎日葉山アラタの家のそばの図書館に通い

    図鑑をチラチラ見た後は、することもないので家から持ち込んだ宿題をする

    おかげで夏休みの宿題はお盆前に終わってしまった





    ちえっ

    わたし何してるのかな

    結局夏休みの間中
    こころはあいつとセミクジラに占拠されてしまった

    「もうやめよう、バカらしい」


    帰ろうとして最後にもう一度セミクジラの載った鯨の本をペラペラめくり

    写真を見入っていると誰かが目の前に立った

    「あの!」

    ドキリ
    葉山アラタ?


    「未唯ちゃん」


    「百合ちゃん・・」

    立っていたのは中一の時以来
    顔を見ようとしなかった昔の親友


    「わたし、未唯ちゃんを見かけて追いかけてきたんだ

    私中一の時・・」

    いきなり涙があふれだす百合ちゃん

    わたしは固まる

    「あの時、ごめんなさい!
    仲間はずれが怖くって

    うえ

    ずっと後悔してた

    ひー

    未唯ちゃんが一番大切だったのに」


    ビエ~~~~~

    図書館中の人がこちらを見る

    「出よう」
    あせってエグエグ泣く百合ちゃんを引っ張り出す

    じーわじーわ

    外は夏の終わりのセミの声でいっぱいだった
    アイスクリームを買ってきて百合ちゃんの口にほりこむ

    彼女は涙を拭きながらもぐもぐほおばる
    「落ち着いた?」

    濡れた目が私を見つめる

    「また友達に戻ってほしい」


    今さら無理だよ
    言おうと思ったけど

    胸の中でセミクジラがはねた

    人を信じる人なつっこいおバカなセミクジラ

    バカだな

    バカだけど

    「うん、いいよ」
    微笑んだ私に抱き付いてくる百合だった



    別れ際
    「未唯ちゃん、その本・・」

    ハッと手の中の鯨の本に気が付く
    持ってきちゃった
    あーーー


    「くじら好きだったんだね」
    ニコッとわらって手を振る百合に私は叫んだ


    「ううん。好きなのはセミクジラ!」



    うわーやばい
    図書館、もう閉まる時間だ

    ここからならうちの家のそばの図書館のほうが近い

    事情を言ってそっちに返そうかな
    確か同じ区の図書館なら、どこへ返してもいいはず


    走る


    図書館に入ろうとして
    ちょうど出て来た誰かにぶつかる


    ドン



    「ごめんなさい!」
    「いたた」

    お尻をついた私を助け起こしてくれたのは


    葉山アラタ


    ポカンと見つめ合う

    彼の視線は私の手の図鑑にむかう


    「あわわ
    いやいや

    セミクジラが気になって」

    「セミクジラ・・」

    「そ・・そうよ!セミクジラ!
    なんであんた
    自分の近所の図書館にいなかったのよ!
    何で私の家のそばの図書館にいるのよ!」


    「???それは・・」真っ赤になってうつむく彼

    「それは?」

    「鈴木さんにもしかしたら会えるかと思って通ってた・・」

    どどーん


    「私も葉山君の家の近くの図書館に毎日通ってた
    なんでセミクジラの話をしたのか知りたくて」


    どどーん


    完全なすれ違い


    「ぷぷ」
    「ははは」

    ふたりとも笑いがとまらなくなった




    そして




    夏休みの終わりの日
    わたしたちは水族館にいた

    もともと夏休みに水族館に一緒に行かないかと誘いたくて声をかけたらしい

    「でもなんでセミクジラの話をしたの?」

    「声をかけた後、頭が真っ白になって」

    「それでなんでセミクジラ・・」

    「セミクジラが好きで図鑑をもってたからついつい」

    「ついついって・・」


    図書館の本は次の日もちろん謝って返した
    私の本棚には葉山君からプレゼントされたセミクジラの本がある


    「そうか・・照れたあまりついついセミクジラの知識を話してくれたんだ」

    首筋まで真っ赤になる葉山アラタ

    「好きだから」

    何だか私も真っ赤になる

    「私も好き」

    「え!」
    おどろく葉山君に慌てて
    「セミクジラだよ!」と付け加える

    ってそこで彼が驚くってことは
    葉山君が「好きだから」って言ったのは・・私?


    ブワワワワ
    私の顔もたぶん真っ赤っか


    いや・・だからこそ
    水族館に誘ったのか・・
    ドキドキ

    私のどこが好きなんだろう・・


    いたたまれず目をそらし
    大きな水槽を見る

    泳ぐ色とりどりの魚たち

    「セミクジラは?」

    「えっ?」

    「ここにいないの?セミクジラ」

    「この水族館には大きな鯨はいないんだ」

    う~~~ん
    じゃあますます

    あのセミクジラの話は
    水族館に誘うのに何の関係もない・・・

    でもまあいいか

    セミクジラが頭から離れなかった夏休み
    きっと一生忘れない


    「もしよかったら」
    彼がささやくように言う

    「うん?」

    「来年の夏休みは海のセミクジラを見にいこうか」


    真っ赤な顔で目をそらす葉山君


    なんだかおかしくって
    「うん見に行こう」とニッコリ笑う


    お互いの伸ばした手がふれあって


    水族館の外
    入道雲は
    来年の夏休みのセミクジラにむかって続いていた


    お終い




    ココナラさんからの御依頼イラスト

    ラフ一回目

     

    今回はご紹介OKなので

    ラフ過程も載せさせていただきますね

     

     

     

    展示会の紹介文も

    オタオタしながらやっと書けました

     

    これだけのことを書くのにフーフーでした^^;

     

     

     

     

    おまじないの10月カレンダーもやっと完成したので

    カレンダーにつけるちょっとした小説(?)ができたら

    こちらに載せますね

     

     

     

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