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神奈川県相模原市

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  • 嘗てのフランスの詩人達に寄せて

    嘗てのフランスの詩人達に寄せて


    海を謳ったフランスの詩を探して図書館で調べてみたけれど、意外なことにあまりなくて、有名な詩人の詩集の中にもたかだか 1 編あるかないかだ。ジャン・コクトーの詩は体言止めでシンプル。ギリシャ神話を彷彿とさせる硬質さで、叙情がない。いいけどちょっと優しくない。アルチュール・ランボーの太陽と海を描いた詩「見つかった、何が?永遠が」は素晴らしすぎ。ここで敢えて何か言い添える必要もない。しかしこんな詩というか、妙な散文を見つけましたよ。情景としては、静かな海に敬礼する 1 人の青年。


    年老いた海原(うなばら)よ。おお、偉大な独身者よ。お前が自分の粘液質の王国の厳かな孤独の中を駆け巡る時、生まれながらの壮麗さを誇って当然だ。俺がお前に奉げずにはいられない讃辞も誇りとしてよい。渡り鳥は波の上に信頼しきって憩う。無限をかたどったお前の精神的偉大さは、哲学者の詳察のように、女の愛のように、鳥の神々しい美しさのように、詩人の瞑想のように、計り知れない。答えてくれ海原よ。俺の兄弟にならないか。猛烈に揺さぶってれ・・・もっと、もっと強くだ。それでいい。恐るべき波をころがせ、俺だけが理解している、おぞましい海原よ。俺はお前の前に這いつくばう。俺にはお前と肩を並べる権利などない。だからこそ俺はお前のすべての優越の前に、俺のすべての愛をささげよう。


    俺はお前を愛することができない。俺はお前を憎む。何故俺はお前の友情の腕の中に 1,000 回も帰ってきたのだろう。その腕に触れると俺の額の熱も消えてしまう。だから俺はもう一度だけお前に敬礼し、別れを告げたい。

    年老いた海原よ。水晶の波を持つ者よ。おれの眼は涙で湿っている。獣のような顔つきの人間たちの中に帰っていかなくてはならない時が来たように感じるからだ。だが、勇気を出そう。もうひと踏ん張りして、義務感を奮い立て、この地上での俺たちの義務を果たそう。俺はお前に敬礼する。年老いた海原よ。

     
     中略あり( 思潮社 ロートレアモン詩集 )
    ※ ロートレアモン( 普仏戦争時、夭逝。後世シュルレアリスト達に絶賛される。 )


    変わった詩人だけれど、いいですね。すごくいい。
    それからそうそう、ランボーのこの詩もよかった。


    もう充分に見たさ。幻(まぼろし)には、ありとあらゆる空気の中で、出くわしたのさ。
    もう充分に、味わったよ。町々の喧騒というやつ。夕方にも、陽が出ているときにも。そしてまたどんなときにも。
    もう充分に知ったとも。生きることの数ある故障。おお、喧騒と幻よ!
    出発だ、新しい情感と、新しい雑音の中へ!


     2021 年 10 月 KAZU

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